保健福祉の現場から

感じるままに

マイナス改定の行方と薬局

2015年12月01日 | Weblog
読売新聞「診療報酬マイナス改定へ/社会保障費1700億円抑制」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=127126)。<以下引用>
<政府は、医薬品の値段(薬価)や、医師、薬剤師らの技術料の価格(本体)を見直す2016年度の診療報酬改定で、全体の改定率をマイナスとする方向で調整に入った。16年度予算編成の焦点である社会保障費の抑制は、目標とする約1700億円の抑制分をほぼ診療報酬のマイナス改定でまかなう考えだ。診療報酬改定はほぼ2年に1度実施される。全体の改定率がマイナスになれば8年ぶりだ。厚生労働省による16年度予算の概算要求では、医療、年金、介護などの社会保障費は15年度予算より約6700億円増える。要因は、高齢化や、医療が高度化していることなど様々だ。政府は財政再建を着実に進めるため、高齢化で避けられないとされる年約5000億円増にとどめる方針だ。差額となる約1700億円の抑制は、〈1〉市場の実勢価格に応じて薬価を約1400億円引き下げ〈2〉本体を約300億円引き下げる――ことによって実現させる方針だ。改定の議論は今後本格化するが、最終的に1700億円に満たない場合、一部を高額療養費制度の見直しなど医療制度改革で賄うことも検討する。社会保障費の抑制は毎年度大きな課題だが、大半を医療関連だけで捻出するのは異例だ。本体の改定では、大病院前に立地する「門前薬局」など院外処方の薬局を対象に、薬剤師の技術料である調剤料を引き下げる方向で調整している。>

読売新聞「「門前薬局」に厳しい目…大手チェーン、調剤基本料下げも」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=127120)。<以下引用>
<厚生労働省は1970年代以降、薬の調剤を病院から院外の薬局で行う「医薬分業」を進めてきた。薬代で利益を得ようとした病院による薬漬け医療が問題化したためだ。病院や診療所近くに立地する「門前薬局」は、その副産物として生まれた。同省の2013年度調査では、全薬局の7割を門前薬局が占める。薬局で薬を受け取ると、病院での受け取りより、薬剤師の技術料が高めに設定されている。健康保険組合連合会が花粉症薬14日分にかかる医療費を計算すると、病院では1500円、薬局では3250円。内閣府が1036人に行ったインターネット調査では、薬局のサービスがこうした価格差に見合うかとの質問に6割近くが「高すぎる」と答えている。医療費の高騰が続くなか、近年、門前薬局には厳しい目が向けられている。厚労省はすでに、卸業者から大量に安く仕入れ、利益を稼げる構造にある大手のチェーン薬局に対する技術料の一部(調剤基本料)を低く設定しているが、今回の診療報酬改定では、さらに引き下げることも検討されている。薬の飲み方の指導や飲み残しの確認などをした場合の「薬剤服用歴管理指導料」も処方の9割超に支払われている。「適切な管理をしなくても受け取れ、形骸化している」(財政制度等審議会)との批判も強い。厚労省は医師と連携して不要な薬を削減したり、在宅の高齢者に対応したりする「かかりつけ」機能を求めており、薬局は役割の変革を迫られている。>

医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の2日会合、医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)の4日会合で、平成28年度診療報酬改定の基本方針(案)が示される。すでに「平成28年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000104771.pdf)が示されているが、具体的にどのようになるか、である。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の次回会合にも注目である。薬局に関しては、「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000102179.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/gaiyou_1.pdf)、健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=275402)の報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000098248.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000098248.html)にある、①服薬情報の一元的・継続的把握、②24時間対応・在宅対応、③医療機関等との連携に対応する薬局、に対応できるようにならなければ、今後厳しくなるように感じる。各都道府県がホームページ公表している「薬局機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/)について、例えば「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000095664.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)や「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)と同様に、診療報酬とリンクした実績公表が強化されるべきと感じる。
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