保健福祉の現場から

感じるままに

給付と負担の適正化の前にすべきこと

2016年10月19日 | Weblog
キャリアブレイン「医療介護保険、給付と負担の適正化を確実に- 経団連が要望」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49827.html)。<以下引用>
<日本経済団体連合会(経団連)は18日、国が進める医療・介護制度改革に関する提言を公表した。外来受診の定額負担化や高額薬剤の薬価の早急な見直し、軽度者への介護保険給付の再検討などを行い、医療・介護保険の給付や負担の適正化を確実に進めるよう求めている。政府は、少子・高齢化が進展する中で社会保障制度を持続可能なものにするため、歳出改革などを推し進めている。その工程表では、社会保障分野などでの改革の実施期間を設定している。経団連の提言では、同工程表で主に「2016年末までに結論を得る」とされた施策についての見解が示されている。高齢化の進展などで医療や介護の給付費の増加が見込まれる中、人々が将来にわたって必要なサービスを受けられるよう、「徹底した給付の適正化・効率化」と「利用者負担の適正化」を確実に進めるよう要望した。■75歳以上の窓口負担、将来的に2割負担を 具体的には、外来受診について、頻回受診の防止や保険財政の健全化を促すため、現行の自己負担に加えた一定額を患者が負担する仕組みを導入する必要性を指摘した。薬剤に関しては、保険収載後の適応拡大によって市場規模が収載当初の想定を大幅に上回るケースもあり、保険財政への影響が懸念されると指摘。その上で、高額な薬剤について、「薬価の早急な見直しを行い、保険財政への安定性を確保することが求められる」とした。さらに、現在1割負担となっている75歳以上の医療機関での窓口負担について、所得が低い人に配慮しながら、将来的に原則2割負担とする方向で見直すよう求めた。■福祉用具の貸与、自己負担を視野に見直しを 介護関連では、保険制度を持続可能なものにするため、軽度者に対する給付の在り方を見直すとともに、重度者への給付を重点化するのは「不可避」と指摘。具体的な取り組みとして、要支援者に対する介護予防給付や、軽度の要介護者への洗濯や調理といった生活援助サービスの地域支援事業への移行を提言した。また、福祉用具の貸与や住宅の改修に関しては、全額を自費で負担することも視野に入れ、給付率を引き下げる方向で見直す必要があるとした。このほか、介護保険サービスの利用料を所得の低い人に配慮した上で原則2割負担とすることや、ケアマネジメントに関する利用者負担の導入も求めた。経団連は近く、この提言を厚生労働省や財務省などに送付する予定。>

日本経済団体連合会「医療・介護制度改革に関する経団連の考え方」(http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/093.html)が出ている(http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/093_gaiyo.pdf)。財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の資料「社会保障①(総論、医療・介護制度改革)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281004/01.pdf)p21「医療・介護制度改革の視点と具体的な検討項目」に掲げられているものばかりである。平成30年度は診療報酬と介護報酬の同時改定であり、医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)、介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の行方が注目される。しかし、給付と負担の適正化の前に徹底すべきことがある。例えば、日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/)の「導入患者の主要原疾患の割合推移」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p011.pdf)では「糖尿病性腎症」が圧倒的で、2014年の糖尿病性腎症による透析導入の平均年齢は67.2歳である(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p012.pdf)。これはまさに現役世代の健康管理の悪さが反映しているであろう。平成23年国民健康栄養調査(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h23-houkoku.html)の結果(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h23-houkoku-06.pdf)p182の「糖尿病を指摘されたことがある者における,治療の状況」では、40代・50代の治療継続者は半数以下である。国立循環器病研究センターがプレスリリース「<糖尿病実態アンケート調査結果>約半数の患者さんが血糖管理目標に達していない」(http://www.ncvc.go.jp/pr/release/005581.html)の調査結果で「①約半数が血糖管理目標に達していない、②特に50代後半から60代に血糖管理が悪い方が多い、③4割以上が眼科を定期受診していない、④8割以上が糖尿病連携手帳を所持していない」とあり、「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl-att/2r9852000002ecj9.pdf)p4では、「医師から糖尿病と言われたことがある人で、ほとんど治療を受けていない人は約4割で、また、定期通院を自己中断した主な理由としては、仕事が多忙であるとの理由が多く(51%)を占め、男性・若年・サラリーマンや専門職に中断が多くなっている」とあった。現役世代の健康管理が、将来の市町村国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を社会全体で持ちたい。「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)p1国保・後期高齢者医療「保険者努力支援制度の前倒し」は今年度からで、特別調整交付金(28年度分)に反映される。「保険者努力支援制度における評価指標候補」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160506S0020.pdf)の一つである「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)に取り組んでいる市町村も少なくないであろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、保健事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000126549.pdf)p7~p16で介護予防の取り組みによって要介護認定率が低下した事例が紹介されており、フレイル対策も同様かもしれない。しかし、市町村国保や後期高齢者医療の保険者努力だけではいけない。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/index.html#tab1014)の「メリハリを効かせた歳出改革の推進に向けて~第二、第三の矢の連携強化~」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1014/shiryo_03-1.pdf)では「一人当たり医療費の地域差(約16万円)の主要因は一人当たり入院費の地域差(約13万円)である。入院・外来別等を含めた一人当たり医療費の地域差、地域医療構想の進捗を検証・評価できる仕組みとすべき。また、その是正のために自治体が取りうる方策についても明らかにしていくべき。」などとあるが、もっと「現役世代の健康管理」を前面に出せないものであろうか。「保険者インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)はまさに現役世代こそ急務と感じる。定年退職後からの取り組みでは遅い。例えば、大企業が多い「健康保険組合」(http://www.kenporen.com/)や公務員の「共済組合」(http://www.kkr.or.jp/)(http://www.chikyoren.or.jp/)が率先して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)などに取り組むべきであろう。「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)の結果について、日本健康会議データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)に出ており、データマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)の都道府県地図をクリックし、「詳細」をみれば、それぞれの都道府県内の取り組み状況(市町村、保険者)が詳細にわかる。ブラック企業を叩くよりも、社員の健康管理に積極的に取り組む企業を社会全体で応援するような雰囲気があっても良いかもしれない。日本健康会議(http://kenkokaigi.jp/)にも期待したい。
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