保健福祉の現場から

感じるままに

認知症対策の新たな戦略

2014年11月06日 | Weblog
キャリアブレイン「オレンジプランに代わる新戦略、年内策定へ- 認知症イベントで首相が表明」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44184.html)。<以下引用>
<厚生労働省は、現行の認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)に代わる新たな戦略を策定する。年内を目途にまとめ、来年度予算編成に新プランの内容を反映させる方針だ。新戦略は省庁横断的な取り組みを前提に、昨年度に始まったオレンジプランを強化したもので、認知症の人が地域で長く生活できる社会の構築を目指す。東京都内で開かれた「認知症サミット日本後継イベント」で安倍晋三首相が6日、新プランの策定を表明し、塩崎恭久厚労相に取り組むよう指示した。同省は2012年9月、急増する認知症高齢者などに対応するため、13-17年度の認知症施策の推進計画としてオレンジプランを公表した。同プランには、症状の進行状態に応じた「認知症ケアパス」の作成・普及や、認知症初期集中支援チームの設置のほか、本人や家族の手助けを行う認知症サポーターを累計600万人まで増やすといった数値目標も盛り込まれた。塩崎厚労相は6日、同イベントの閉会式であいさつし、新プランの策定に意欲を見せた。策定に向けた3つの基本的な考え方も表明し、その1つに、認知症の人が住み慣れた地域でできる限り長く生活することを目指した「認知症地域包括ケアシステム」の実現を挙げた。具体的には、「医療・介護サービスが有機的に連携し、認知症の進行状態に応じて切れ目なく対応できる循環型のシステム」と説明した。オレンジプランの目標数値を、一部引き上げることも検討する。また、塩崎厚労相は、新戦略は省庁横断的なプランにするとし、▽認知症への理解を深めるための普及啓発 ▽認知症の人が生活しやすい環境整備や生活支援 ▽認知症の人の就労・社会参加支援や安全確保 ▽ICTの活用 ▽介護者への支援 ▽認知症予防などのための研究開発の推進▽国際連携-などの課題を含めた内容にする考えを示した。さらに、施策を推進する際には、認知症の本人やその家族にしか分からない視点に立って取り組んでいくとした。厚労省は今後、同省のほか内閣府と警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の担当者らで構成する「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議」を活用するなどし、新プランの内容を詰める。同会議は昨年9月に設置され、今年9月までに2回の会合を開いた。>

認知症対策(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html)は様々な観点から打ち出されている。認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=169920)が設置されているように、認知症は地域包括ケアの中ではウエイトが高い。今年度、全国各地の自治体で実施されている日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)をみれば、認知リスクを有する高齢者がいかに多いか把握でき、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000047999.pdf)p3にある認知症ピラミッドが実感されるであろう。しかし、各市町村において、生活機能評価やニーズ調査を通じて、認知リスク低下高齢者の実態が把握されても、初期段階で適切な診断・治療と対応にどれほど結びついているであろうか。警察庁「平成25年中における行方不明者の状況」(http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H25yukuehumeisha.pdf)p3の原因・動機別で、認知症による行方不明者10,322人(対前年+715)とあったように、ある程度進行して表面化しているのが実態であろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052532.pdf)p14で示されているように、現在策定中の各自治体の第6期介護保険事業計画では、地域包括ケアシステム構築のための重点取組事項として、認知症施策;認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000035rce.html)が打ち出される。自治体においては、「認知症ケアパス」(http://www.zaikei.or.jp/index.html)作成や「認知症初期集中支援チーム」(http://vexon-intnl.com/dasc/h25text.pdf)(http://dasc.jp/)(http://dasc.jp/wp-content/uploads/2014/05/c3dff154bb1efd88c140ccc28a66d035.pdf)(http://dasc.jp/wp-content/uploads/2014/05/6f0f6c627d0dab6b66d88dcca7183aa7.pdf)に係る研修等も行われているであろう。しかし、市町村単位での取り組みは必ずしも効果的・効率的とはいえないように感じる。また、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046397.pdf)p5「1年以上精神病床に入院している75歳以上の精神疾患患者の47.3%が認知症」、資料(http://dasc.jp/wp-content/uploads/2014/05/6f0f6c627d0dab6b66d88dcca7183aa7.pdf)p29では、認知症疾患を主傷病名とする入院患者の病床別割合で平成23年には精神病床が69%とあるように、認知症対策は精神医療改革(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaisei_seisin/index.html)とセットで推進されなければならない。また、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ff1-att/2r98520000036fkg.pdf)での精神疾患は、認知症に関して、①認知症の進行予防、②専門医療機関へのアクセス、③地域生活維持、④BPSDや身体疾患等が悪化した場合に分け、それぞれの目標、医療機関に求められる事項等を作成する(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-3.pdf)ことになっている。すなわち、①市町村域を超えた広域的連携、②精神医療改革との連動、③医療計画(精神疾患)との連動の観点から、認知症対策においても、市町村と保健所の連携・協働がもっと強調される必要があるように感じる。認知症に関しては、「認知症介護情報ネットワーク」(http://www.dcnet.gr.jp/)、「認知症情報サイト」(http://monowasure.org/ninchi/)、「認知症ライフサポート」(http://www.nli-research.co.jp/report/misc/)、「標準的な認知症ケアパスのための手引き」(http://www.zaikei.or.jp/index.html)などの有用なネット情報もあるが、宮城県気仙沼保健所「認知症支援パンフレット」(http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/ks-health/ninchisyou.html)のような地域レベルの情報掲載が必要であろう。各自治体においてオレンジプラン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002j8dh.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002j8dh-att/2r9852000002j8ey.pdf)の地域版が必要かもしれない。キャリアブレイン「認知症800万人時代、対策十分か- 鉄道事故訴訟で勉強会」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44174.html)の報道にはいろいろ感じる方もいるかもしれない。
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療養病床の行方

2014年11月06日 | Weblog
日本経済新聞「介護療養病床、存続へ 厚労省、全廃方針を転換」(http://www.nikkei.com/article/DGXLZO79344460W4A101C1EE8000/)。<以下引用>
<厚生労働省は、長期入院の高齢者を受け入れる病院の「介護療養病床」を条件付きで存続させる方針を固めた。2017年度末に全廃するとしてきた改革方針を転換し、重篤者が多いなど5つの要件を満たす病院には介護報酬の支払いを続ける。家庭の事情で病院で暮らす「社会的入院」を減らして医療・介護費を効率化する改革は道半ばで軌道修正することになる。介護療養病床の存続は6日に開く社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護給付費分科会で具体案を示す。病院や施設に支払う介護報酬の3年に1度の改定に合わせ、来年4月実施を目指す。約7万1千床ある介護療養病床を、来年4月から「療養機能強化型(仮称)」とその他に区分けする。医療措置の必要度が比較的高い人を多く受け入れている病院を新区分に位置づけ、存続を認める方針だ。具体的には受け入れている患者の状態について、重篤な病気がある、たん吸引やチューブによる栄養補給などの処置を受けている、終末期のケアを受けている――など5つの要件を設定。これらの項目をすべて満たす病院を存続対象にする。新たな区分に入った病院には経営を続けられるよう今より手厚く介護報酬を支払う。一方で区分から外れた病院の報酬は引き下げ、リハビリを手掛ける介護老人保健施設への転換を促す。厚労省は06年、療養病床のうち、介護保険を適用する介護型の廃止を目指す方針を決定した。医療の必要性が乏しいのに家庭の事情などで病院で暮らす高齢者を自宅などに戻し、社会的入院を解消するためだった。高齢化で膨らむ社会保障費を効率化する狙いで、12年度時点で医療と介護の給付費を年3千億円抑える効果を見込んでいた。廃止方針を転換するのは、在宅で高齢者をケアする体制が整わず、病床廃止後に行き場がなくなる高齢者が出かねないと判断したためだ。同省は医療の必要度が高い人が多い病床に限って存続を認めることで、病床再編を通じた医療費の効率化は今後も進める方針。ただ存続が認められる病床数は、要件の詳細しだいで大きく変わる。患者一人ひとりの状態をみて入院の可否を判断するわけでもない。療養病床が社会的入院の温床になる余地は残る。▼療養病床 長く療養する人が使う入院ベッドのこと。医療保険を適用する「医療型」と介護保険の「介護型」がある。厚生労働省は2006年、約38万床(当時)のうち医療型を約25万床から約15万床に減らし、介護型は約13万床すべてを廃止して、リハビリ目的の老人保健施設などへの転換を促す方針を打ち出した。厚労省の当時の調査では利用者の5割が医師の対応が不要で、3割が自宅や福祉施設で生活できると判定された。>

介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の資料が出ればみておきたい。8月7日の「平成27年度介護報酬改定に向けて(介護老人保健施設、介護療養型医療施設について)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000053838.pdf)p54では、介護療養型医療施設について「介護療養型医療施設は、他の介護保険施設と比較して、要介護高齢者の看取りやターミナルケアを中心とした長期療養を担っているとともに、喀痰吸引、経管栄養、排尿時の処置及び持続点滴を高頻度で実施している。今後、医療ニーズの高い中重度要介護者の増大、特に慢性疾患や認知症を有する高齢者の増加が見込まれる中で、現在の介護療養型医療施設が担っているこれらの機能については、今後とも確保していくことが必要ではないか。介護療養型医療施設が担っている看取りやターミナルケアの機能を引き続き確保するためには、どのような体制や取組が重要と考えるか。また、医療保険適用病床での看取りやターミナルケアへの対応と比較して、介護療養型医療施設における看取りやターミナルケアの提供にはどのような特徴や違いがあるか。」とされており、療養病床の行方も地域医療ビジョンで重点的に協議されるように感じる。しかし、一口に「療養病床」といってもピンキリである。中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031001.pdf)p65では、回復期リハビリテーション病棟入院料算定の49.5%が療養病床で、一般病床よりも多いことが出ていた。また、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)p38の地域包括ケア病棟入院料は、「療養病床については、1病棟に限り届出することができる」とされ、地域包括ケア病棟を考える療養病床も出てくる。療養病床を有する医療機関が、今年10月からの病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告項目(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000058910.pdf)で、どのように報告されているか、気になるところである。地域医療ビジョン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)において療養病床について協議するためには、介護サービスとの一体的な検討が不可欠と感じる。
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人生の最終段階における医療の行方

2014年11月06日 | Weblog
キャリアブレイン「3学会合同で、終末期医療ガイドライン公表- 救急・集中治療現場での対応の参考に」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/44162.html)。<以下引用>
<日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会の3学会は、共同で検討を重ねてきた「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~」の完成版を公表した。救急・集中治療における終末期の判断やその対応について「考え方の道筋を示したもの」で、同時にガイドラインの位置付けや使用方法について解説した「Q&A集」も公開された。同ガイドラインは、患者や家族の意思確認が難しい救急・集中治療の現場で参考にしてもらおうと、3学会が合同で策定したもの。3学会は、さまざまな学会や団体が個別にガイドラインや提言を発表する現状は混乱を招くとし、同じ問題意識を有する3学会で策定するに至ったという。複数回の議論を経て、パブリックコメントを募るなどし、「慎重で丁寧なステップを踏みつつ作成した」としている。ガイドラインでは、救急・集中治療における終末期を、「集中治療室などで治療されている急性重症患者に対し適切な治療を尽くしても救命の見込みがないと判断される時期」と定義。その上で、終末期の判断、終末期と判断した後の対応、延命措置の選択肢などを示した。また、終末期医療の質を向上させ、後に検証できるようにするためには診療録への記載が重要であるとし、医学的な検討やその説明、患者の意思、実際の対応など、必要と考えられる記載内容を細かく明示した。今回のガイドラインでは、「患者に意思決定能力がある、あるいは事前指示がある場合」の対応が盛り込まれているのが特徴で、医療チームは患者の意思決定能力を「慎重に評価」すべきであり、家族らに異論がないことを原則としながら、異論がある場合には同意が得られるよう適切な支援を行う必要があるとした。また、患者や家族らの意思は揺れ動くことがあることから、その変化には真摯に対応することが求められるとし、医療チームで判断できない場合には、「施設倫理委員会(臨床倫理委員会など)にて、判断の妥当性を検討することも勧められる」と付記した。一方、Q&A集では、ガイドラインの意義や想定される対象患者、事前指示の方法など、想定される17個の疑問に対する詳細な説明が提示された。3学会は、「同様な問題意識を有する他学会と議論し、また多方面からの意見に耳を傾けていく必要があると考えている」とし、今後のさらなる展開に意欲を見せている。>

「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提言~」(http://www.jaam.jp/html/info/2014/info-20141104_02.htm)が出ているのでみておきたい。厚労省「患者の意思を尊重した人生の最終段階における医療体制について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/)では、今年3月の「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/dl/saisyu_iryou09.pdf)、「終末期医療に関する意識調査等検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/dl/saisyu_iryou08.pdf)が掲載されている。「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/07/539d067291ae6f92aeefb95eb46a952f.pdf)のほか、日本老年医学会(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/)「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン ~人工的水分・栄養補給の導入を中心として~」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/guideline/index.html)について、医療・介護従事者に対する周知徹底が必要であろう。千葉県インターネット放送局(http://www.pref.chiba.lg.jp/kouhou/net-tv/tokubetsu/ending-001.html)から啓発ビデオ「最期まで自分らしく生きる」が出ている。報道資料(http://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/press/2014/shuumatuki.html)によると、「ある家族のドラマ」「人生の終わりの時期の現状を示すデータ」「有識者インタビュー(人生の終わりの時期の選択)」「有識者インタビュー(意思表明について)」で構成され、自治会や職場、グループ単位でのDVDの貸出もされるという。こうした取り組みの拡がりが期待される。そういえば、平成18年3月の事件(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/15th/06-342.html)から8年余経った。
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胃ろう問題

2014年11月06日 | Weblog
NHK「「口から食事」訓練に介護報酬加算へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141106/t10015977491000.html)。<以下引用>
<ものを飲み込む力が衰えたため胃に穴を開けるなどして管から栄養をとる高齢者が増えるなか、厚生労働省は来年春の介護報酬改定で再び口から食事をとれるよう訓練などを行った介護施設に報酬を加算する方針を固めました。加齢や病気などでものを飲み込む力が衰えたため胃に穴を開けるなどして管から栄養をとる高齢者は増え続け、その数は数十万人に上ると推計されています。食事を口からとれなくなることで生活の質が低下するほか、管から栄養をとる高齢者の数はイギリスの10倍に上るなど諸外国に比べ著しく多いと指摘されていることから、厚生労働省は来年春の介護報酬改定で再び口から食事をとれるよう訓練などを行った介護施設を手厚く評価する方針を固めました。具体的には、歯科医師や栄養士などが連携して高齢者の飲み込む力に応じて計画を立て、訓練などを行った場合介護報酬を加算するとしています。新たな加算はスタッフが比較的充実している特別養護老人ホームや老人保健施設などを対象に来年4月から導入し、厚生労働省は効果などを検証したうえで将来的には在宅の介護サービスへの普及も検討することにしています。>

介護報酬だけではない。診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)p133~p135の胃ろうに係る評価見直しは理解しておきたい。経口摂取回復促進加算や胃瘻抜去術技術料の新設は注目される。「胃ろう=終末期」とは限らない。一方で、機能回復が望めない高齢者が多く、療養病床の現状を考える必要がある。「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/07/539d067291ae6f92aeefb95eb46a952f.pdf)のほか、日本老年医学会(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/)「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン ~人工的水分・栄養補給の導入を中心として~」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/guideline/index.html)について、医療・介護従事者に対する周知徹底が必要であろう。しかし、「介護事業所の6割近くが従事者不足」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/40691.html)が出ているように人手不足は深刻らしい。介護人材確保地域戦略会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000050292.html)や福祉人材確保対策検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000almx.html#shingi198696)での資料をみておきたい。ところで、胃ろう問題を論ずる際には、なぜ、長期の人工的水分・栄養補給が必要な状態になったのかの分析が必要と感じる。「胃ろうはイヤ」という一般の方々を疾病予防・介護予防に積極的に誘導する方策が欲しい。今年度からの保健事業指針改正(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)をもっと真剣に受け止める必要があるように感じる。
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地域・職域連携

2014年11月06日 | Weblog
全国健康保険協会運営委員会(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat720/h26)の資料(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/direction/dai58kai/26091605.pdf)p6「協会けんぽ支部と地方自治体との包括的な協定締結状況;平成26年9月10日時点」が出ており、保健事業の共同実施に関して地方自治体等と協定締結した支部は37支部(うち都道府県との協定は21支部)、p7~8に取組事例が紹介されている。協会本部と国保中央会が契約締結し、来年1月から保険者間調整を全国展開予定(保健衛生ニュース11月3日号)とのことであり、もっと普及させたいところである。全国保健所長会要望書(http://www.phcd.jp/02/sengen/pdf/youbou_H27.pdf)p7では、「一部の被用者保険支部と地方自治体との間で、保健事業の連携・協働に関する基本協定が締結されており、地域・職域連携の観点から、その推進を図られたい。」とある。自治体にとって、医療費適正化計画と健康増進計画は、国保のデ-タだけでものをいう時代ではない。厚労省地域・職域連携推進事業関係者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128579)の10月3日の会合(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000060326.html)で、データヘルスの推進について(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000060316.pdf)協議されたように、地域・職域連携推進事業でもデータヘルスが積極的に取り組まれるべきであろう。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000060316.pdf)p17で、健保組合におけるレセプト・健診データの突合分析による糖尿病の重症化予防事業が紹介されているが、糖尿病の重症化予防は勤務世代からしっかり取り組まれなければいけない。勤務世代の取り組み如何が、退職後の国保(http://allabout.co.jp/gm/gc/12068/)、後期高齢者医療、介護保険にも影響することは認識したいところである。ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=220183)、ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=218218)で検討されているように、来年12月から事業所での労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度がスタート(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000059863.pdf)する。メンタルヘルス対策でも地域・職域連携は重要であろう。
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