保健福祉の現場から

感じるままに

TPPと医療・医薬品産業

2013年12月02日 | Weblog
東京新聞「甘利氏入院、TPPへの影響懸念 閣僚会合代理出席も」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013120201002200.html)。<以下引用>
<甘利明環太平洋連携協定(TPP)担当相の検査入院が2日明らかになり、政府内には年内の交渉妥結に向け大詰めを迎えるTPPへの影響を懸念する声が広がった。7日にシンガポールで始まる閣僚会合に甘利氏が参加できない場合に、代理で出席する閣僚の名として、岸田文雄外相や茂木敏充経済産業相、林芳正農相が挙がっている。閣僚会合は、難航分野で政治判断が必要な局面を迎え、甘利氏には、各国を相手に築いた人脈を生かす役回りが期待される。それだけにTPP対策本部の幹部は「入院は全く聞いていなかった」と困惑している。>

NHK「政府 業界団体にTPP説明会」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131203/k10013516851000.html)。<以下引用>
<政府は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に関する業界団体への説明会を開き、アメリカとの交渉では、コメや麦などの重要5項目の関税の取り扱いについて、日本の立場を強く伝えているとして理解を求めました。内閣府で開かれた説明会には、およそ220の業界団体から代表が出席し、TPP政府対策本部の渋谷内閣審議官は、1日行われた甘利経済再生担当大臣とアメリカの交渉責任者を務めるフロマン通商代表との会談では結論は出ず、協議は継続になったことなどを説明しました。これに対して業界団体側からは、コメや麦などの重要5項目の関税の取り扱いについて、「交渉で譲歩を重ねているのではないか」という指摘や、「関税を撤廃すれば大騒ぎになるので、しっかり守ってほしい」という要望が出されました。渋谷審議官は「甘利大臣は、きのうの会談でも、『これ以上1センチも譲れない』と日本の主張を相当強く伝えている」などとして、理解を求めました。説明会のあと、中央畜産会の伊佐地誠参与は、記者団に対し「重要5項目の関税を守るとした方針がどうなっているのか説明ではよく分からなかった。政府は、自民党や国会の委員会決議を守って交渉してほしい」と述べました。>

医事新報11月30日号のp26~で「TPPと医療・医薬品産業」が特集されており、「新薬の特許権強化が最大の焦点」、「医療に与える影響は小さくない」、「TPP参加を利用した規制改革により医療の営利化が加速する恐れがある」とされている。今年3月の自民党決議(http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf091_1.pdf)やInternational Business Times「Leaked TPP Chapter: 5 Scary Provisions In WikiLeaks' Trans-Pacific Partnership Release」(http://www.ibtimes.com/leaked-tpp-chapter-5-scary-provisions-wikileaks-trans-pacific-partnership-release-1468856)が出たように、TPP=農業問題ではない。国内報道では「重要5項目」に異常なまでに焦点があてられている感じがする。全国保険医団体連合会「TPPと医療の特集ページ」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/index.html)での「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)にも出ているように、もっと、知的財産権(http://thinktppip.jp/)等の非関税措置にも焦点があてられるべきである。医事新報10月26日号p129で、「TPP参加の「今そこにある危機」は医薬品・医療機器価格規制の撤廃・緩和による医薬品・医療機器価格の上昇であり、それは患者負担の増加と医療保険財政の悪化をもたらし、保険給付範囲の縮小と診療報酬の抑制につながる」とある。それにしても、満足な情報が入らない中で、マスコミ世論調査(http://www.asahi.com/politics/update/0317/TKY201303170178.html)(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2700Y_X21C13A0MM8000/)(http://sankei.jp.msn.com/region/news/130927/kgw13092702100002-n1.htm)ではTPP賛成が反対を大きく上回っていることに不思議な感じをするのは気のせいであろうか。
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医療従事者の結核

2013年12月02日 | Weblog
朝日新聞「近大付属病院の医師が結核発症 患者ら187人と接触」(http://apital.asahi.com/article/news/2013120200017.html)。<以下引用>
<近畿大は2日、医学部付属病院(大阪狭山市)の消化器内科の30代男性医師が肺結核を発症し、患者や職員187人と接触していたと発表した。感染させた疑いがあるため、5日から患者を対象にした説明会を開き、採血やX線写真による検査をする。近大によると、医師は昨年10月の健康診断のX線写真で胸に異常な影が見つかり、今年3月に精密検査を受けたが、異常と診断されなかった。今年10月に再び影が見つかり、CT検査やたんの検査で11月25日に肺結核と確定した。自覚症状はなかった。診療時は常にマスクをつけていたという。近大は、今年8月以降に医師と狭い部屋で一緒に過ごすなどした50~80歳代の入院患者41人と職員146人について感染していないかを調べている。感染者が見つかれば検査の対象を広げる。>

以前、「医療者の結核患者が増加」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38145.html)のネット記事があった。医療者の結核は、地域保健現場では時々経験するところである。一昨年6月には「医療機関等における院内感染対策について」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110620G0010.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/110623_2.pdf)が出ているが、結核は重点対策の一つであるのはいうまでもない。今回の報道ケースでは、健康診断で要精検とされてから、精検受診までの期間が長すぎる感じがしないでもない。喀痰検査での排菌量やCT検査での空洞影の有無が気になるが、自覚症状はなく、勤務中はマスクを着けていたことから感染力は高くないであろう。ところで、国立感染症研究所のIDWR速報(http://www.nih.go.jp/niid/ja/data/1613-sokuho-rireki.html)では、今年は平成24年結核登録者情報調査年報集計結果(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou03/12.html)の新登録結核患者数2万1283人を既に上回っている。結核は飛沫核感染(空気感染)で、電車、バス、エレベーター、サウナルームなど、普遍的に感染機会があることは認識しておきたい。
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糖尿病週末教育入院コースはダメなのか

2013年12月02日 | Weblog
11月29日の中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000030997.pdf)p6で「平成24年度診療報酬改定後、金曜日入院、月曜日退院、正午までの退院に関する評価については今後も継続する。」とされた。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000024463.pdf)p44には、金曜入院の最多理由は「緊急入院」、月曜退院の最多理由は「患者の希望」であり、「土日の病床稼働率をあげるため」は非常に少なかった。「金曜入院・月曜退院」を診療報酬で強制的に抑制することによる弊害が懸念される。例えば、厚労省通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)p40~の糖尿病の医療体制構築に係る指針では、「HbA1c8.4%以上が持続する場合はコントロール不可の状態であり、教育入院等を検討する必要がある。」とされているが、現実には、仕事を休めず、2週間ほどの教育入院ができない患者が多い。以前の「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl-att/2r9852000002ecj9.pdf)p4でも、「医師から糖尿病と言われたことがある人で、ほとんど治療を受けていない人は約4割で、また、定期通院を自己中断した主な理由としては、仕事が多忙であるとの理由が多く(51%)を占め、男性・若年・サラリーマンや専門職に中断が多くなっている」とあった。国立循環器病研究センターがプレスリリース「<糖尿病実態アンケート調査結果>約半数の患者さんが血糖管理目標に達していない」(http://www.ncvc.go.jp/pr/release/005581.html)の調査結果で「①約半数が血糖管理目標に達していない、②特に50代後半から60代に血糖管理が悪い方が多い、③4割以上が眼科を定期受診していない、④8割以上が糖尿病連携手帳を所持していない」とあり、まさに、糖尿病診療のひどい実態がわかる。平成23年国民健康栄養調査(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h23-houkoku.html)の結果(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h23-houkoku-06.pdf)p182の「糖尿病を指摘されたことがある者での未治療割合」でもそうである。一部の病院では、不十分ではあるが、短期間の週末教育入院コースを行っているところもあるが、平成24年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf)p213で「金曜日入院、月曜日退院の割合が明らかに高い医療機関の土曜日、日曜日の入院基本料の適正化」(金曜日入院、月曜日退院の割合の合計が40%を超える医療機関について、手術や高度の処置等を伴わない土曜日、日曜日に算定された入院基本料を8%減額)となったために、短期間の週末教育入院コースを積極的に打ち出せないでいる。国家戦略で糖尿病の重症化予防を展開していこうという中で、早急な見直しが必要と感じる。そして、糖尿病診療は専門病院中心から、「かかりつけ医中心&かかりつけ医・専門医の医療連携&地域全体でのチーム医療」への構造転換を図る必要がある。
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女性にやさしい職場と風しん予防

2013年12月02日 | Weblog
キャリアブレイン「先天性風疹症候群、患者報告が急増- 昨年の6倍超、東京と大阪が突出」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/41519.html)。<以下一部引用>
<風疹の流行を受け、先天性風疹症候群(CRS)の報告数が昨年の6倍以上になっていることが、2日までに分かった。国立感染症研究所によると、昨年4件だった報告数は、今年は25件(11月20日現在)に急増。CRSの発症は、風疹の流行から20―30週程度の時間差があり、CRS児の出生はこれからがピークになることが見込まれる。同研究所は、妊娠初期検査で風疹抗体の陰性反応が出た場合や、低い抗体価の妊婦から出産した新生児に対し、「CRSを念頭に置き、注意深い対応を行う必要がある」としている。><25件のうち、母親が妊娠中に風疹に罹患したケースは18件。母親にワクチン接種歴がなかったケースは、判明しているだけでも10件あった。また、ワクチン接種歴があったにもかかわらず、出生児がCRSと診断された報告も4件あったという。厚生労働省も、ワクチン接種歴がある母親からCRS児が生まれたことに危機感を募らせている。同省は、接種歴があっても抗体検査で十分な免疫を保有していないことが判明した場合、予防接種の対象に加える方針を決め、11月中旬に開かれた厚生科学審議会の風疹に関する小委員会に対し、この方針を盛り込んだ接種基準案を提示。また、抗体価の低い妊婦などに対しては、特に流行地域では可能な限り人混みを避け、不要不急の外出を控えるといった“自衛策”も求めている。>

11月19日の風しんに関する小委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000029935.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000029942.pdf)で、特に予防対策が必要な方々として、①妊娠を希望する女性、②十分な抗体を保有していない妊婦に接する機会が多い方⇒ 家族、児童福祉施設等の職員、学校等の職員等、③風しんに罹患すると重篤な合併症を引き起こす体力の弱い方々等と接する機会が多い方⇒ 医療関係者等、④風しんが流行している地域への渡航者⇒ 海外渡航者等が例示され、「妊娠を希望する女性等の感染の影響を最小限度にとどめる必要性がある方々については、より高い免疫(例としてHI法32倍以上)を獲得することが望ましいと考えられる」とされた。職域の感染予防リーフレット(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000029944.pdf)が出されたが、職場での風しん抗体検査や風しん予防接種は実施されているであろうか。インフルエンザ予防接種とセットで実施されてもよいのではないか、と感じる。「女性にやさしい職場」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000t84e.html)ではどうであろうか。
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第4期障害福祉計画と精神医療の現状

2013年12月02日 | Weblog
11月19日の社会保障審議会障害者部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000029824.html)には目を通しておきたい。マスコミでは障害者虐待の実態(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029821.pdf)について報道されたが、保健福祉現場では、来年度からの「障害支援区分への見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029926.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029817.pdf)や来年度策定の「第4期障害福祉計画」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029818.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029819.pdf)にも関心が高いかもしれない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029818.pdf)p5では、精神障害者の退院促進の指標として、「入院後3ヶ月時点の退院率、入院後1年時点の退院率、在院期間1年以上の長期在院者の退院者数を新たな目標とすることが考えられるが、どうか。」とある。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029819.pdf)p7~8のまとめはわかりやすい。そういえば、11月11日の障害保健祉関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/)で「改正精神保健福祉法の施行について」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20131112_01_12.pdf)が出ていたが、改正精神保健福祉法に基づく精神医療指針(」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000almx.html#shingi141270))を踏まえ、この際、医療計画(精神疾患)と障害福祉計画の密接な連携が不可欠と感じる。また、改革するためには、精神保健福祉資料「630調査」データ分析(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/data.html)をもとにした政策科学としての戦略的な対応が求められるように感じる。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p19では「医療計画の策定サイクルを見直す(両者の計画期間が揃うよう、平成30年度以降、計画期間を6年に見直し、在宅医療など介護保険と関係する部分等は、中間年(3年)で必要な見直しを行う」とある。医療計画と介護保険事業計画との一体的推進は当然必要であるが、これまであまり強調されてこなかったように感じるのが、医療計画(精神疾患)と障害福祉計画(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029818.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000029819.pdf)との一体的推進である。例えば、「医療計画(精神疾患)について、障害福祉計画と関係する部分は中間年(3年)で必要な見直しを行う」とされないのであろうか。11月29日の中医協総会「精神医療について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031076.pdf)をみれば精神医療の現状がわかる。
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精神科病棟における退院支援

2013年12月02日 | Weblog
11月22日の中医協資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000030115.pdf)p44~に「精神科病棟における退院支援の状況」が出ており、「退院支援を担当する専門部署」を設置しているのは47.3%、精神科デイ・ケア等を実施時における「疾患等に応じた診療計画」を患者全員に作成は71.3%である。11月11日の障害保健祉関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/)の「改正精神保健福祉法の施行について」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20131112_01_12.pdf)では、医療保護入院者退院支援委員会(仮称)の設置、入院診療計画書の様式などが示されているが、来年4月からの改正法施行での対応が注目される。
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新型インフル特定接種のワクチン必要数は常勤換算?

2013年12月02日 | Weblog
11月20日の新型インフルエンザ対策の自治体向け説明会(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/jichitai20131118-02.html)の「特定接種登録申請書の記載に関する手引き(案)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/jichitai20131118-02j.pdf)p5で、「登録対象業務の従業者数の記載は常勤換算」とするように示されているが、ワクチン必要数は常勤換算ではいけないことはいうまでもない。Q&A(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/jichitai20131118-02n.pdf)でもはっきりしない。
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予防接種の委託単価格差

2013年12月02日 | Weblog
11月18日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000030951.html)で、「予防接種費委託単価等調査(平成24年度)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000029883_1_1_2_2.pdf)、「ワクチン価格等調査」集計結果(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000029884_1_1_2_2.pdf)が出ていたが、坂本委員「国は市町村が負担している接種費用の9割を交付税の算定根拠としているが、委託単価にこれだけ幅があれば何の9割なのか」「算定根拠を一体どこにおいているのかという大きな疑問が出てくる」の発言が報道されている(保健衛生ニュース12月2日号)。以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002b5l0-att/2r9852000002b5nr.pdf)p41~に出ていた指定都市の平成23年度予防接種委託単価では大きな格差があることがわかっており、全国保健所長会の要望書(http://www.phcd.jp/02/sengen/pdf/youbou_H25.pdf)p4では、予防接種委託費用の適正価格について検討するよう要請されている。予防接種は自由診療であり、市町村による定期接種であっても自治体間で異なっている。一方で、保険診療には公定価格である診療報酬が設定されている。今後、今回の調査結果を踏まえた対応が注目される。しかし、公費事業の大きな単価格差は予防接種だけではない。例えば、今年7月に出た「市区町村におけるがん検診の実施状況調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000363zv-att/2r98520000036455.pdf)p7で、各がん検診の自己負担額が出ており、自治体によって大きな格差があることがわかるが、おそらく、委託単価自体にも大きな格差がみられるはずである。それは、例えば、日本対がん協会(http://www.jcancer.jp/)が出している各支部のがん検診単価表をみれば確認できるであろう。がん検診の精度を確保するためには、当然、一定水準以上の機器、スタッフ、情報管理などの確保が不可欠であって、それなりにコストがかかる。診療報酬に準じて単価設定している自治体も少なくないであろうが、自治体によって公費事業の単価設定に大きな格差がみられる実態を放置すべきではないように感じる。結論からいえば、予防接種事業や検診事業の自由診療では、統一単価設定は難しいかもしれないが、全国の自治体において公費で行われる事業は、財政措置する際の積算単価を明らかにするとともに、全国自治体の実態調査を実施し公表することを期待したい。
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地域医療再生基金の執行状況

2013年12月02日 | Weblog
11月22日の社会保障審議会医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000030449.html)で、「地域医療再生基金の執行状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000030439.pdf)が出ており、平成24年度末の執行状況は21年度補正分(二次医療圏2350億円)で54.0%、22年度補正(3次医療圏2100億円)で29.7%とある。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p12~「都道府県の役割の強化等及び新たな財政支援制度」で、地域医療再生基金(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saiseikikin/)から変更される新たな医療基金の行方に注目である。各都道府県地域医療再生計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/21.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/22.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/24-2.html)が出ており、都道府県単位での執行状況が公開されるべきではないか。医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000030449.html)では「都道府県の役割の強化」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000030434.pdf)について、都道府県の権限強調に異論が出されている(医事新報11月30日号)というが、NDB(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/reseputo/dl/guide02_02.pdf)や医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)などに基づく客観的な分析結果や予算の執行状況に関する徹底的な情報公開が不可欠と感じるところである。
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健康づくり推進協議会とKDB、データヘルス

2013年12月02日 | Weblog
国保情報12月2日号「KDB拡充、今年度補正予算で/厚労省方針」。<以下引用>
<厚労省は今年度の補正予算案に、医療や介護のレセプト、健診データなどを活用して個人の健康データや統計情報を作成する国保データベース(KDB)システムについて、データベースの対象範囲を後期高齢者医療制度の被保険者に拡大するための費用を盛り込む方針を固めた。国保と後期高齢者医療制度のデータを紐付けできるようにして、より効果的な疾病予防や健康施策の構築をめざす。歯科レセプトを取り込む改修費用も盛り込む。>

健康保険組合連合会「平成24年度 高額レセプト上位の概要」(http://www.kenporen.com/include/press/2013/2013091303.pdf)p4~5の金額階級別交付件数の推移をみると、40万円~100万円が9万434件(対前年度-1.93%)だが、100万円~200万円が18万9342件(同+6.56%)、200万円~300万円が3万4928件(同+9.01件)、300万円~400万円が1万2181件(同+5.78%)、400万円~500万円が4842件(同+5.03%)、500万円以上が4805件(同+7.81%)であり、高額のレセプト件数が大幅に増えている。これは医療技術の進歩によるところも大きいと思われるが、被保険者の取り組みで抑制する余地がないものであろうか。p8に出ているように、高額医療交付金交付事業の対象は、レセプト1 件の月額医療費のうち、交付基準額(一般疾病は100万円、特定疾病(慢性腎不全の人工透析、血友病、AIDS) は40万円)を超えた部分である。資料(http://www.kenporen.com/include/press/2013/2013091303.pdf)では1000万円以上のレセプトの病名一覧が出ているが、40万円以上の前述ランク別にレセプトの病名件数を公表すべきである。おそらく、慢性腎不全、がん、心筋梗塞、脳卒中などが多いであろう。となれば、被保険者の取り組み(がん検診による早期発見・治療、糖尿病・高血圧・脂質異常等の管理、禁煙等)によって、高額レセプトを抑制することは十分可能といえる。例えば、透析について、社)日本透析医学会 統計調査委員会(http://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html)の資料では、2011年末の透析患者は30万4592人で増加の一途(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2012/p03.pdf)であり、もっと関心を持ちたい。健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf)p52の都道府県別糖尿病腎症による新規透析導入患者の状況、p54の血圧変化による糖尿病患者の透析導入リスクは理解したい。協会けんぽ資料(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/resources/content/59728/20101227-095025.pdf)p10に示されるように、人工透析患者1人当たり人工透析医療費は月額50万円弱であり、透析導入予防は医療費適正化対策としても重要である。以前、「日本の総医療費30兆円のうち1兆円が透析に費やされている」(http://blog.m3.com/TL/20090605/1)という記事があった。患者には医療費助成(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/nanbyo/nk_shien/touseki/index.html)もあって、自己負担が軽減されているが、透析にかかる全体の医療費については、ぜひ認識したいところである。とにかく、早期介入による重症化予防が欠かせないが、そのためには糖尿病や高血圧等の管理が適切に行われる必要がある。そういえば、厚生労働省が「国民の健康寿命が延伸する社会」に向けた予防・健康管理に関する取組の推進」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000019326.html)で5兆円規模の医療費・介護費の抑制目標を発表(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401250-Hokenkyoku-Iryouhitekiseikataisakusuishinshitsu/0000019923.pdf)している。平成24年度医療費の動向(http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/12/dl/iryouhi_data.pdf)によれば、平成24年度の医療費は、前年度比約0.6兆円増の38.4兆円で、うち75歳以上は13.7兆円(35.6%)を占める。政府「健康・医療戦略厚生労働省推進本部」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002vr1p.html)の資料(http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226616107488)では、p36の「保険者によるICT利活用推進」では、「レセプトデータ、特定健診データ等を連携させた国民健康保険中央会の国保データベース(KDB)システム(平成25年10月稼働予定)を市町村が利活用し、地域の医療費分析や、健康課題の把握、きめ細かな保健事業を実施することにより、医療介護情報の統合的利活用を推進する。(再掲)(厚生労働省)」、p37の「分析結果に基づく保健事業の促進」では「レセプト等のデータ分析に基づく保健事業の実施を推進する(再掲)ほか、質の高い健康寿命伸長サービスの実現につなげていく(平成26年度から実施する。:総務省、厚生労働省、経済産業省)」とある。医療費適正化対策推進室の「平成26年度に向けた保健事業をめぐる動きについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000028517.pdf)では、データヘルスの推進として、保険者による電⼦レセプトの保健事業への活⽤が示されている。医療費適正化(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02c.html)を推進するためには、目に見える成果を保険者や自治体が出していく必要があり、データに基づく保健事業(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/dl/c4.pdf)を本格化したいところである。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ予防活動による大幅な医療費適正化事例が紹介されている。ところで、先日の管内N市の健康づくり推進協議会では、KDBによる国保レセプト分析結果が一部出されていた。月100万円以上を超えるのは、がん、虚血性心疾患、脳卒中が多い。急性心筋梗塞では月700万円になるものもある。一方、特定健診受診者の分析では、Ⅲ度高血圧では6割余が未治療、HbA1c7以上では2割余が未治療で、また、肺がん検診を除く各がん検診の受診率は目標を大きく下回っている。医療費適正化(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02c.html)のためには、レセプト分析結果を積極的に公表し、疾病予防、重症化予防を推進させなければならないと改めて感じたところである。一部の参加委員からは、「高い医療費がかかった方が非難されるので公表を控えてほしい」との意見があったが、無論、高額な医療費がかかる患者を非難してはいけない。公的医療保険は社会全体で支え合うものである。しかし、「どんな病気で、どれだけ医療費がかかっているのか」、徹底的に開示すべき時代にきているように感じる。おそらく、それは、「成人病」が「生活習慣病」に概念転換されたときからの宿命だったように感じる。ところで、N市の健康づくり推進協議会では、介護保険や介護予防等に関する資料がなかったのが不満であった。新たな市町村健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)では、「高齢者の健康」に関する目標値として、「介護保険サービス利用者の増加の抑制」「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を認知している国民の割合の増加」「低栄養傾向(BMI20以下)の高齢者の割合の増加の抑制」「足腰に痛みのある高齢者の割合の減少(1,000人当たり)」「高齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加)」が掲げられているが、これらは、市町村の介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画、地域福祉計画等にも通じるものである。第一、健康増進計画は、「健康寿命の延伸」を最大目標に掲げており、これは、介護保険や介護予防等に関する資料なしでは十分な議論ができない。例えば、「介護予防Webアトラス」(http://www.doctoral.co.jp/WebAtlas/top.html)では、保険者別に介護予防プログラムの実施回数・参加者数の詳細な情報が公表されている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/1.pdf)p45~にある「介護保険総合データベースを活用した調査結果の「見える化」(分析支援)」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/3.pdf)がスタートし、p20~に示されるように、日常生活圏域ニーズ調査の報告が要請されている。これによって、各市町村では、介護予防事業の評価がしやすくなるであろう。市町村では組織横断による総合的な取り組みが不可欠であって、地域包括支援センターと保健センターの縦割り発想ではいけない。また、事業評価には、国保データベース(KDB)システムとの一体的運用を期待したい。全国保健所長会の要望書(http://www.phcd.jp/02/sengen/pdf/youbou_H25.pdf)p12では、「国保データベース(KDB)システムを活用した、特定健診・保健指導データ、レセプトデータ、介護保険データの総合的な分析評価が各自治体において積極的に取り組まれるよう、技術的・財政的な面から支援されたい。」とある。
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