保健福祉の現場から

感じるままに

医療保険制度の行方

2009年09月16日 | Weblog
先週、「平成20 年度健保組合決算見込の概要」(http://www.kenporen.com/press/pdf/20090911170950-0.pdf)が出た。それによると、赤字組合は全組合の約7割で、健保組合全体で3,060億円もの大幅赤字とされる。そういえば、先日ブログ(http://blog.goo.ne.jp/miraikibou/e/ab7d126306b6972272ca28150c549c39)ったように、協会けんぽの収支状況も大幅に悪化しており、準備金残高がとうとう単年度赤字額を下回るようになってしまった。ネットではこの記事が目に付いた(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/18c08d2d96f253ac05ffe86b16323ad2)。<以下一部引用>

<城内  もう一つ私が恐れているのは、やはりアメリカの圧力によって日本の国民皆保険制度が壊されないかということです。アメリカの社会問題になっているのは、銃と麻薬と医療保険です。そのアメリカですら、日本の国民皆保険制度を視野に入れる学者や政治家がいるほどです。それがアメリカ政府をバックに医療保険会社が規制緩和を迫り、規制緩和という美辞麗句のもとに医療分野に止まらず、他の分野も規制緩和しようとしています。諸外国で失敗した例がいくらでもあるのに、それに学ぼうとしないのです。>

「平均保険料9%にアップも 協会けんぽ、最大の負担増に」(http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091701000217.html)。<以下引用>
<中小企業の従業員や家族約3500万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は17日、2010年度の保険料率(労使折半)について、財政を健全化させるには現在の全国平均8・2%から同9・0~9・1%へ大幅に引き上げる必要がある、との見通しを同協会運営委員会に示した。協会の保険料率は都道府県別で、今回の見通しは全国平均での機械的な試算。景気悪化で09年度の保険料収入が想定より落ち込むとみられるためで、加入者本人の負担は平均的な給料の場合で年間1万6千円程度増える。0・8~0・9ポイントの料率引き上げとなれば、前身の旧政府管掌健康保険の時代を通じ過去最大。協会けんぽの医療給付費は現在、13%が国からの補助金。保険料負担の急増を避けるために、一層の国庫補助を求める声が強まりそうだ。協会は09年度収支について、1500億円の赤字との見通しを既に示していたが、景気悪化による加入者の賃金低下に伴い保険料収入が減少。赤字幅は3100億円まで広がる見通しとなった。09年度末で800億円残る計算だった積立金も底を突き、逆に1500億円の不足に。不足を解消するか、当初見込みの800億円まで回復させるには、料率を大幅に引き上げて保険料収入を増やす必要があるという。協会への国庫補助率は健康保険法で16・4~20・0%と定められており、現在の13%は1992年度からの暫定措置。政府の来年度予算編成で、補助引き上げの論議が本格化する可能性もある。>
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雑感

2009年09月16日 | Weblog
昔、ある先生に「このケースはどうすればよいか」と相談すると、決まって「自分がもし当事者だったら...」、「この話が表に出た場合は...」と置き換えて話をされたものである。これはある意味、行政関係者の基本的な心構えのように感じる。別に何を指しているわけではないが、行政施策は、自分が行いにくいことや自分が受け手側の場合に拒否感を覚えるものではいけない。「行政関係者自身も住民の一員である」ということである。そしてもう一つ、徹底的な情報公開が避けられなくなっていることである。マスコミを使って行政側にとって都合の良い情報ばかりを流すわけにもいかず、都合の悪い情報がどんどん出てくる。住民の情報入手は、もはや新聞やテレビばかりではない。ネットでは、様々な資料が公開されており、ネット掲示板の世界は新聞投書欄を凌駕している感がある。そういえば、医療情報学の大家であるA先生は、2ちゃんねる(http://www2.2ch.net/2ch.html)の意義を強調されていた。一流企業ではネット掲示板対策が重視されているそうである。しかし、行政の職場ではそれを閲覧できないところが増えているという。行政関係者と社会の認識乖離が懸念されるところかもしれない。
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