黒薔薇の皇子様

ラノベの定義

ライトな感覚で書かれた、軽小説と訳される少年少女(子供)向けのジュヴナイル。

黒薔薇の皇子様 (13)

2016-10-16 08:11:22 | 黒薔薇の皇子様
決闘場の内部には、たくさんの凹凸(おうとつ)がある。マロンが剣を構えた。ポルスとメルシアも同じく。男装の燕尾服が揺れる揺れる。その決闘場は、石で出来ており、床面は実に硬く、大理石みたいにピカピカ光っていた。
「さあさあ、そちらのお嬢ちゃんから?」
マロンがメルシアを誘う。
静謐な空気の流れを感じる。
やや、ゆっくりと、ゆったりと。
メルシアが剣を構えた。
「煙草は、バージニアスリムかい、メルシアさん?」
男装の襟を正しながら、マロン。
「わたしは煙草は吸いません!」
剣の切っ先がメルシアの肩口を跳ね上げるように、突く。
「煙草を吸うといいよ」
「何故、こんなタイミングで煙草なんて」
肩口を押さえるメルシア。
「いいかい。世の中は君みたいな不思議なものは要らないんだよ。迷惑だ」
マロンが次は、胸元を跳ね上げた。
反撃が出来ない。
メルシアが涙ぐむ。
「煙草を吸うってのはね、世界に反抗するってことなんだ。いい子のお嬢ちゃんじゃ、その賢い頭で考えても、感じてみてもわからない、そんなんだよ、世界は!」
気圧されるメルシア。
「煙草を吸うことは、シグナルだよ。だからこそ世界が悪くなったのなら、世界の創造者にサインを送れるんだ。なにが悲しくて、君はいい子のお嬢ちゃんなんだろうね?」
「わたしは負けません!」
刹那、マロンの剣がメルシアの手元を捉えた。
そのまま、メルシアが剣を落とす。
マロンの勝利だ。
「いいかな。君は煙草を吸うべきだ」
ぐずりぐずりと、メルシアが泣く。
「次は、誰かな? 黒薔薇の皇子様ッ!!」
大きく大きく、マロンが叫んだ。
彼女の一番の大声量で。
こだまする、マロンの声。
目を伏せ、ポルス、つまり黒薔薇の皇子様が動き出す。
それはそれでメルシアのために。
それはそれで愛を確かめ合った彼女のために。
「僕が闘います。もちろんです」
「いい目だ。君は一筋縄ではいかないようだな?」
「負けません。彼女のためにも」
「君は、おもしろいな」
「そうでしょうか?」
「勝利出来る、ブラックローズの目をしている!」
マロンが剣を持ち直し。
ポルスに切りかかった。
ジャンル:
小説
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