詩と写真 *ミオ*

毎日は砂浜のように。
きらきら光る粒を探して歩く。

いまはただ揺れている

2016年10月13日 | 
アイスコーヒーにミルクを入れる
氷は色を映す透明さで
遥かな時間を閉じ込めて
褐色がかった宇宙を深くする
カラン……カラン……
褐色がかった氷の下の宇宙で
ドレスをひろげるクラゲ
泣き顔のようにくずれて
幾筋もの白い涙になって沈んだ

チェロの弦が弧を描く
切実な調べが
あの部屋に連れていく
くもりガラスは白んで
窓辺に寄せたオークのつくえに
ほおづえつくひとも
あびている
黒みがかった緑の影が
まだ細く若い一本の木で
いつもそこにあり
風が吹くと窓を
きゅっきゅっとこする
それは机と窓をわけあっている
同じオークのベッドで
ねむりのひたひたをゆるしている
境界を失った頭の内側をも
優しくこすっている
隣家の壁との薄い隙間に生えている
生えているきっとわたしのため
わたしのさみしさを永遠にするため

さみしさに理由はいらない
競う必要もない
感覚はただ奏でられている
哀しいメロディーとか季節の匂いとか
洗濯物の影とかに

その部屋にたびたびおとずれたひとは
十年後どのようにふりかえられるのか
わからないから不安でした
空白に孤独をマーブルケーキの
チョコレートのように織り込んで
声だけ残して帰っていきました

水滴のついたアイスコーヒーの
グラスの向こうの長袖
長袖から出ている手の形

時間が経つにつれ
固定されていくように見える過去
それは未来の
いまの反映に過ぎないのに
この先で大きく歪むことだって
あるかもしれないのに
磨りガラスに映っている植物の影のように
いまはただ穏やかに揺れている
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