詩と写真 *ミオ*

毎日は砂浜のように。
きらきら光る粒を探して歩く。

キッチンで手は

2017年03月15日 | 
キッチンで手は
ふととめるようなものだ
塑造のように

皮がよれないよう
包丁をななめにすべらす
すらっとうつくしい長ねぎを切るとき

小さい塊のまま
歯の裏に残っている感触と匂い
奥歯に噛みながら
切り口を平らにするイメージを握り直す
腰を入れてまっすぐに立つ

その背中は声を集める
動かす手が黙しているから

ひとは距離も時間もまたいで闊歩する
ことばやできごとが信号しながら行き交い
空想が景色をふくよかにしていく
手がとまる
泳いでいる

背中に寄り集まってくる影
水が手に勢いよくあたった
はっと生身になる

通りぬけられた街はさっと色褪せ
どこかすぐにわからなくなる
けれど知らぬ間にまた
新しい街へすべり出す
動かす手は舟を漕ぎ
ミトコンドリアをかきわける
塑造のようにまた
ふいととまるための下ごしらえとして

新じゃがと冷蔵庫に残っていたごぼうにんじん豚肉は甘辛く煮て
アスパラはきのことバターで炒めて醤油を垂らし
あざやかなグリーン
おさしみを買ってある
栄養たっぷり

夫は近頃忙しく
今夜も夕食を家で食べられないとの連絡
じぶんひとりを太らせるための料理が
テーブルにつぎつぎ積みあがる



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