詩と写真 *ミオ*

毎日は砂浜のように。
きらきら光る粒を探して歩く。

くちびる

2016年10月29日 | 
木の葉が舞うまでの時間に
傷口にやわらかくかぶさっていく
みみず腫れのような
厚いくちびる

グロテスクなクロッキーね
守っていた輪郭あふれて震えている

古い釘をふくみ
錆びた鉄の味覚を懐かしみ

襞など誰にも見えないのだから

大きな鏡が切り取った暗がりの隅に
開いたまま転がっている赤い傘
もうしずくよ乾いている
なにごとでもなかった
救急車のサイレンが近付いて
遠ざかっていく

過剰に露わになっていた
柔らかい部分が傷む
強い反射光のように削がれて

ひとつひとつ触れていった
血のまだらの青いところ
分類などせずに
ただそのものとして
しまわれていくフィルム

いつのまにか盗んでいった
部屋へ風が吹き込んで
紙片をさらっていくように
強い接触で
まだぷちぷちとつぶやいていた
幼年期は抜きとられ
かわりに安っぽく埃っぽいルージュ
もぐりこんでいく
古い本の頁を小さく這いまわる
銀色の虫のように

ゴムの木の葉っぱが丸く光っている
知ってしまったこと
知らないことにはできない
組成は少しずつ変わっていく

そのとき
このどこまでも閉じているひろがりに
煙のような闇へと導くとびら
厚いくちびるに縁どられた
深い口が開いていた
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