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2キロワット短波無線電信機受信機の修復作業報告 その1(2015年9月22日)

2015年09月22日 15時39分48秒 | 01陸軍無線機器

2キロワット短波無線電信機受信機の修復作業報告 その1(2015年9月22日)

待望の商品が到着しましたが、自宅では大きすぎとても開封できません。
自宅から100キロ離れた作業所へ搬送し、やっと開封開始です。
この受信機は、特に重くまた巨大です。
現存する旧軍無線機の中でも最大級の大型受信機です。
残念なことに事前に落札した時点で、この受信機は一部ST管からMT管へ改造されていることはわかっておりました。
実際開封し、受信機内部をみると、高周波増幅部がST管からMT管へみごとに改造されています。
その他の箇所もかなり改造されており、オリジナルへの修復には時間がかかりそうです。
困難はありますが、修復のための準備作業を開始します。


本機の特徴・疑問点について
米国ナショナル社のNC-1OOAが本機の原型機のように思われます。
バンド切替の機構がきわめて類似しております。
もうひとつは、山口県のO氏所有のオリジナルの受信機の銘板をみると住友通信の仕様書番号がRSP-144-Bと本機の仕様と同一です。
ただし、本機は昭和21年1月製造のため、日本電気の社名となっています。
これは、日本電気が戦時中の昭和17年に住友通信に社名変更し、敗戦後の昭和20年11月に社名を復帰したことに起因します。
なぜ旧陸軍の仕様書の受信機を敗戦後4ヶ月で新規製造したのか、またいかなる機関が製造を依頼したいのか、事実は今では歴史の闇の中のようです。
急な製造でもあり、受信機内部のチョークコイルをみると日通工製の昭和18年9月と銘記されています。
メーカには敗戦末期でもかなりの部品在庫があった証拠です。
本機の短波受信機の呼称ですが、周波数レンジは1,500~20,000KHzまでカバーしていますので、全波通信型受信機の範疇になります。
中間周波数は400KHzです。
また、高周波増幅段の前段に、集所器なる非同調の増幅段がありますが、空中線の仕様が不明確なのでどのような機能をするのかよくわかりません。
永年、旧軍の通信機を調査・修復しておりますが、「集所器」なる単語は初めて知りました。
ただし、単一空中線の場合には、この機能は使用しません。


関連参考情報

山口県のO氏所有の2キロワット短波無線電信機受信機


ナショナル NC-1OOA


2キロワット短波無線電信機受信装置説明書を下記に添付します。

件名標題(日本語)

2「キロワット」短波無線電信機受信装置説明書及説明案

階層

国立公文書館国立公文書館は、内閣総理大臣が国の機関から移管を受けた歴史資料として重要な公文書等の適切な保存及び利用を図ることを目的とし、昭和46年(1971)に当時の総理府の付属機関として設置されました。明治以来の歴史的に重要な価値のある国の公文書約57万冊、明治政府が江戸幕府から引き継いだ日本や中国の図書類、明治政府が集めた国内外の出版物等約49万冊を所蔵しています。平成13年(2001)4月1日に内閣府が所管する独立行政法人となりました> 返還文書「返還文書」(へんかんぶんしょ)は、明治元年(1868)~昭和20年(1945)に作成された旧陸海軍・内務省などの公文書で、第二次世界大戦後に連合国側によって接収され、アメリカの議会図書館に保管された後、昭和48年(1973)に日本に返還された文書です。現在は「返還文書」の内、旧陸海軍関係を9つのサブシリーズに分けて提供しています。> 返還文書(旧陸海軍関係)「返還文書」(へんかんぶんしょ)は、明治元年(1868)~昭和20年(1945)に作成された旧陸海軍・内務省などの公文書で、第二次世界大戦後に連合国側によって接収され、アメリカの議会図書館に保管された後、昭和48年(1973)4月に日本に返還された文書です。現在は「返還文書」の内、旧陸海軍関係を9つのサブシリーズに分けて提供しています。> 返還文書6主に陸海軍に関係する文書や軍需産業の技術開発、研究に関する文書が、重要資源に関する地図などの雑資料とともに綴じられています。
二「キロワット」短波無線電信機受信装置説明書及説明書案解説はただいま準備中です。

レファレンスコード

A03032244200

所蔵館における請求記号

返赤60008000(所蔵館:国立公文書館)

言語

jpn

規模

40

内容

1-I 号 年月日 一「キロワット」短波無線電信機受信装置説明書 目次 第一章 概説 第一節 方式 台二節 受信周波数範囲 第三節 使用真空管 第四節 空中線 第二章 構造及機能 第一節構造 第二節主要部分ノ構成及作用 第一款集所器及高周波増幅器 第二款変調器 第三款中間周波増幅器 第四款第二局部発振器 第五款第二検波器及低周波増幅器 第六款電源整流器 第二編 台一章調整 第一節電信受信調整ノ順序及要領 第二節電話受信調整ノ順序及要領 第三節受信機取扱上ノ注意 第二章故障及修理 第一受話器ニ全ク音ヲ聞カザ

   

 


固定基地局無線機の資料としては、5キロワット短波無線電信機の字打機の木製の筐体を所有しています。
この字打機とは、高速度通信に使用される印刷電信(テレックス)の印字装置と思っておりましたが、どうも単純な電文清書用の電信用和文タイプライターのようです。

 


以下日本無線史第九巻の抜粋です。

固定無線通信所
固定無線通信所は、明治44年実用のものが始めて建設され、短波が実用通信に用いられるようになると逐次設備の拡張を来し、特に満州事変以後は急速に増設せられ、特に太平洋戦争に入るとや其の無線通信網は全東亜を掩うに至った。
中野、宇都宮、甲府
秦皇島
漢口
斉南
金澤
中野、石狩
陸軍中央無線通信所
天津
京城
上海
台北
北京
奉天
哈爾濱
新京
広東
南京
広島
張家口
羅津
牡丹江、東安、孫呉、海拉繭
上敷香
西貢(サイゴン)
札幌、大阪、福岡

固定無線通信器材
固定式無線機に就いては、下記6種のものを研究審査し、準制式として採用し、広く実用に供したものである。
10キロワット短波無線電信機
 5キロワット短波無線電信機
 2キロワット短波無線電信機
 1キロワット短波無線電信機
 500ワット短波無線電信機
 250ワット短波無線電信機
上記6種の中もっとも多く整備実用されたのは、5キロワット短波無線電信機及び2キロワット短波無線電信機であって、其の他は多くも数機、少なきは唯一機のみと云うものもあった。
又1キロワット短波無線電信機としては、唯一の例外を残し殆ど5キロワット短波無線電信機の励振機を以て充当したのである。

2キロワット短波無線電信機の諸元
本機の旧来のものの重要諸元は次の通りである。
1.通信距離  1,000-3,000粁
2.周波数範囲 3,000-20,000Kc
3.送信機
     出力 2Kw
     方式 水晶発振、周波数逓倍、電力増幅、2周波数手動切替
  真空管 UX47A 2個
      UX812 1個
      UX860 4個
      SN157D 2個
      UV211 2個
      HX966B 8個
      HV972 2個
      HV972A 6個
4.受信機
  方式 スーパーヘテロダィン
     高周波増幅1段-周波数変換-中間周波増幅2段-検波-低周波増幅1段
     水晶濾波器及び自動音量調整器付
  真空管
      UZ78 4個
      UZ77 1個
      Ut6A7 1個
      Ut6B7 1個
      UZ41 1個
      KX80 1個
5.電源
  送信 200V3相交流
     22HP発動発電機(17KVA)
  受信 100V単相交流又は200V及び8V蓄電池 
6.空中線
  送信 柱高30米ダブレット又は逆L型
  受信 柱高10-20米逆L型

 


参考文献
 日本無線史 第九巻 電波監理委員会
 JACAR(アジア歴史資料センター レファレンスコード A03032244200
 本邦軍用無線技術の概観 大西 成美

 

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