Tシャツとサンダルの候

誰もいない耳納の山中で、謎の少女に励まされる。

今日も山の話しで恐縮だが、毎日これぐらいしかしていない。

諦めて貰うほかない。

 

今日の予定は、高良山後谷ルートから発心山を目指す。

片道10kmぐらいになる筈だ。

後谷登山口は、無料の駐車場があるのがありがたい。

 

駐車場には、冬桜の一種であろうか。

ピンクの可憐な花を咲かせて出迎えてくれた。

このコースは、高良山の東側に出るコースで、耳納縦走を若干でもショートカットできる。

午後から雨の予報も出ている。急ごう。

この自然遊歩道を抜けると、耳納スカイラインに出る。

 

スカイラインに出て耳納山登山口辺りに差し掛かったころ、自転車に跨ったままの小学校3~4年生の女の子に出会った。

周りには車も止まっていないし、親らしき大人も見当たらぬ。

 

これはいくらなんでも、おかしかろう。

声掛けをせねば。

 

「どうしたの?一人?大丈夫?」

「うん。お姉ちゃんを待ってるの。」(女の子)

 

「??」

 

ここまで姉妹で登ってきたっていうのか?

不可能やろ。こんな山深い場所に子供だけで。しかも子供用の自転車で。

怪訝な顔をしていると、

 

「あの、この近くの〇〇って看板があるところの少し奥に家があります。」

「あー、そうなんだ。」

 

合点が言った。

それにしても、こんな山奥と言っていい場所に住んでいるとは。

 

「そんじゃね。おじちゃん行くね。車に気をつけんといかんよ。」

「はーい。頑張って下さい!」

 

耳納の山奥で謎の少女に、逆に励まされてしまった。

 

しばらくして、走って駆けあがってくる小さな足音が聞こえた。

振り返ると、例の女の子だった。

「自転車、どうした?」

「お姉ちゃんが持ってあがってきてくれてる。それじゃ、頑張ってね!」

 

再び、私に励ましの言葉をかけ、疾風のように追い越していく少女。

 

 

元気すぎるぜ。

車道を縫うように遊歩道もあるが、雨が心配だ。

今回は、車道を行った方が無難だろう。

漱石の句碑が見えてきた。

発心山までもうすぐである。

発心山到着。

発心山山頂は史跡でもある。

中世、この辺りを領していた草野氏による山城跡なのだ。

発心城跡

 

だーれもいない。

私のこの表情については、何も言わないで貰いたい。

 

『遠く流るる千歳川』

 

私の母校の旧制校歌の一節が、ふと脳裏に浮かぶ。

千歳川は筑後川の古い呼び名だ。

昼飯は、発心山から3~4km折り返した『耳納平』という、無料駐車場になっているところで取ることにした。

ロケーションがいいし、芝地もある。

今日も普賢岳がよく見える。

 

このところのお楽しみ、温かいコーヒーとコンビニ飯である。

 

さあて、

飯も食ったし、雨が降る前にとっとと帰るぜ。

帰りは、ランニングですっ飛ばす。

 

耳納山辺りまで降りてきたら・・・

「あ、おじちゃんだ。」

 

 

あいやー、さっきの、

 

 

 

って、

 

まだおったんかい!

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