みのる日記

サッカー観戦記のブログです。国内外で注目となる試合を主に取り扱い、勉強とその記録も兼ねて、試合内容をレポートしています。

日本 × サウジアラビア

2006年11月16日 | サッカー: 日本代表
AFC アジアカップ 2007 予選: 日本 3-1 サウジアラビア

すでに両国は今予選通過を決めてましたが、お互いにこのアジア杯の覇者であり続けてきたプライドが懸かっており、負けるわけにはいきません。特に日本にとっては、9月のアウェー戦において、決定力不足などから攻めきれずに悔しい完封負けを喫していた相手です。リベンジを是が非でも果たしたいところです。日本はその前回の対戦とまるで同様に、鈴木をワンボランチとし、駒野と加地を両翼に据えて、三都主を中盤の前方に置くという、攻撃的な3-1-4-2を選択しました。明らかに点を取りに行く姿勢で臨みます。ツートップは巻と我那覇。欠場中のMF遠藤に代わって、今日も中村憲剛が出場します。

序盤はサウジアラビアのキャプテン、スリマニの働きに手を焼く日本でしたが、ここを鈴木、加地、阿部のトライアングルで封殺しながら機を待ちます。そして立て続けに訪れたコーナーキックの一つから、最終的に闘莉王が決める先制点を得ると、それをきっかけとして待望の、勢いある日本の時間帯が生まれました。

今日の前半の日本は、例の「走るサッカー」というテーマにおいては満点の内容でした。いざボールを保持すれば、2人以上が連動的にフリーランニングを敢行し、攻撃をフォローします。これらが再三に渡って繰り返され、この積極的な走り込みによりパスの出所は多彩となり、日本はスムーズな流れの動きが取れていました。この走力の前に、以降のサウジアラビアはただ沈黙することしかできません。そして思ったほどよりは実力も低いかのような印象で、サウジは動き出しも重く、カウンターもまるで繰り出せません。よって、あまり攻め込まれるシーンもなかったことから、今日の日本の守備陣の連携、および運動量についてはなかなかチェックできませんでしたが、少なくとも攻撃面における迫力は、オシムジャパン発足以降では鮮烈といっていい内容でした。

またツートップの下に4枚の選手を置くという布陣も、今日は当たりました。左からは駒野と三都主が、右からは加地と中村が効果的に駆け込んで、両サイドを制圧するという、全体的にサウジアラビアを押し込める展開を作ってくれていました。前述の連動性も、この両サイド間で交互に披露。一方がそのサイドで起点となれば、もう片方のサイド側が空いたスペースを見逃さずに突いていくという動きで、可能性を感じさせます。前半の25分には、右の加地のクロスから、フリーで存在していた左の駒野がシュートを撃つという、それを象徴するようなシーンも見られました。これらは結果として点には結びつきませんでしたが、今までのオシム日本には見られなかった良い意味でのチャレンジであったと思います。

そして、特に加地が顕著でしたが、サイドに張る選手たちは、自分が置かれたポジションにこだわることなく、果敢に中央へ切れ込むなど、本来のエリアでない場所へでも自在にプレーする姿勢が度々見受けられました。それは組織を無視したバラバラな動きということではなく、機を見て流動的に、空いた間を効率的に攻めるというものです。前半29分、左サイド側でDFを担当していた今野は、試合の流れもあって自陣の右側にいました。そこから加地との連携で大胆にオーバーラップするや否や、今度はルーズとなっていた中央へとドリブルで侵入する自由な動きを見せます。そこから放たれたロングクロスは、我那覇のヘディングゴールを誘いました。
これで2点差。日本は自分たちのペースの中で得点を重ねる、充実した時間帯を送ります。

前半31分に、ほとんどノーチャンスであったサウジアラビアに訪れたPKで、1点差とされてしまった日本。仮にこれで勝利したとしても、同じ勝ち点15で並び、このままでは当該対戦国間での結果が惜しくも劣ってしまうことから、もう1点取ってグループ1位の座を勝ち取りたいところです。
会心のサッカーを続ける日本、後半開始早々に、この試合圧倒してきたサイドの働きがついに実を結ぶというかたちで、やってくれました。
発端は、またも今野からのロングフィードからでした。これが駒野を左サイドでえぐらせるチャンスへとつながり、駒野は当然そこからクロスを流し込みます。そこで待っていたのは、またも決定機と見るや否や連動的に走り込み、いつの間にか中央にいたという神出鬼没の加地でした。加地はこれを、DFを十分に引き連れてスルー。流れてきたボールを、走り込んでいた我那覇が左足でゴールに突き刺し、日本は再び2点の差へと開くことに成功したのでした。

スタメンに抜擢されて見事2得点の我那覇。FWとして結果を出したのもさることながら、得点以外にも今日は前線において頼もしい存在感を発していました。巻と我那覇という起用でツインタワーを組んだ日本のツートップは、サイドに、時として中央に駆け巡るチームのポストプレー役として、目立たないながらも、軽快な日本の攻撃の、影の立役者として活躍していました。特に我那覇は懐が深く、抜群のキープ力を見せ、攻めの安定度の向上に貢献していました。紛れも無く今日の試合でMVP級の選手だったと言っていいでしょう。本人にとっても、代表FWとして自信をつけることのできた試合だったのではないでしょうか。

まだ観ていたい日本優勢のゲームでありましたが、ここで試合以外のところで、極めて異例となるハプニングが!この試合のハーフタイムあたりに、北海道のさらに北、千島列島あたりで大地震が起こったそうなのです。この影響により、北海道太平洋沿岸から静岡県に至るまでの広い広い範囲で、津波警報ならびに注意報が発令されました。これを受けて、NHKでは急遽、警戒情報に番組を切り替えるという事態。その後、試合中継がなされることはありませんでした。私、この日は事情もあって、衛星第一の放送を録画してから夜中に観たものですから、試合の実況を続けていたというTBSの方にチャンネルを換えることはできず、以降の試合は観られなくなってしまったのです。残念でした・・・。
当然、全ての内容を自分の目でチェックしたいものです。ぜひNHKは何とかして、この試合の再放送を検討してはくれないでしょうかね。

こうして後半の大半のゲームは観ることが出来ませんでしたが、その後の情報を拾い集める限り、日本は運動量が落ちてしまい(そりゃ、あれだけハイペースでしたからね・・・)、鈴木やディフェンスラインが不安定に陥ったとのことだったり、闘莉王がPKを豪快に外したりなど、前半に比べては精彩を欠いてしまっていたようですね。ここら辺りは、どうにかして後半戦の映像を入手して実際に確認したいところですが、90分を通して前半のような戦いが出来れば、というのが今回の課題のようですね。
それにしても、サウジアラビアが予想以上の低調であったことも加わって、今日の日本はとても良いパフォーマンスを見せてくれました。おそらく、オシム監督になってからは、一番の内容の試合であったのではないでしょうか。今年最後の代表戦として、上出来の内容で締めくくることができました。

今後の日本代表は、来年に強化合宿を経て、3月に行われる韓国との親善試合にて再始動をします。そして夏に開催される、就任したオシム監督にとって最大の目標であるアジアカップ。これの3連覇へ向けて、数試合の国際Aマッチも含めながら調整を図っていくことになります。今日の試合でオシム監督の目指すサッカーに、ある一定の成果を出すことが出来た日本。これに、次回からは召集されていくであろう、卓越した個人技を持つ海外組との融合も加わって、どのように進化していくことができるのかが注目となります。うまく躍進をして、ぜひともアジアNo.1の座を守ってほしいところですね。
晴れて予選A組を代表する、1位突破。嬉しい一日でした。


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1 コメント

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こんにちわぁ (YES)
2011-02-16 17:45:18
そうですかぁ・・・。
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