みのる日記

サッカー観戦記のブログです。国内外で注目となる試合を主に取り扱い、勉強とその記録も兼ねて、試合内容をレポートしています。

バルセロナ × サラゴサ

2006年11月14日 | サッカー: リーガ
06/07 リーガ・エスパニョーラ 第10節: FCバルセロナ 3-1 レアル・サラゴサ

ここまで4連勝。不安なディフェンスラインの心配をよそに爆発する攻撃力を武器に、サラゴサは3位まで登りつめて好調を維持しています。対戦相手は2位の王者バルセロナ。カンプ・ノウに乗り込んでの激突です。

序盤から完全にペースを握ったのはホームのバルセロナでした。いつもは鈍重なグジョンセンも機敏な動き出しを見せ、中央から前線にかけてバランスの良い試合運びを行い、ワイドな展開でサッカーを繰り広げて行きます。
ですが前半17分、ここまでほとんどノーチャンスだったサラゴサに与えられた1本のコーナーキック。ここから、ゴール前中央に飛び込んできたDFのガブリエル・ミリートが強烈な一発で合わせ、この試合ようやく初となったチャンスをサラゴサは先制点へと結びつけました。

その後、バルセロナはメッシが、エジミウソンが。サラゴサはセラデスが負傷して、それぞれが途中交代で退かざるを得なくなるというアクシデントで、試合は中断しがちでした。
そこで集中力が切れたのかどうか、サラゴサはバルセロナのコーナーキックの場面でロナウジーニョをフリーとさせてしまい、ヘディングによる同点弾を浴びてしまいました。リードされていたバルセロナ、同じくコーナーキックからリベンジを果たしました。

後半もバルセロナはスルーパスを中心にチャンスメイクを画策し、ロナウジーニョが個人技を見せ付けます。ですが、グジョンセンは動きが良いものの、なかなか最終的なところで決定的なプレーができず、またメッシに代わって出場したジュリは終始封じられて存在感が消えているなど、今ひとつ攻めきれない感じでした。また、サラゴサの方も、MFのアイマールやダレッサンドロが1対1の局面で幾度も競り負けるなどして、全体的に調子が上がってきません。何より、両チームがファールすれすれのボディコンタクトでぶつかり合い、お互いを潰し合っていました。試合はこう着状態が続きます。

後半28分、一人の選手がピッチに倒れこみました。サラゴサのFW、ディエゴ・ミリートです。どうやらスローVTRで見て確認する限り、バルセロナのモッタの振り払った手がのど元に当たったみたいなのですが、客観的に見てもオーバーなアクションで、顔を手で覆いながらのた打ち回っています。これに対して、今日の主審のゴンサレスさん、暴力的な行為としてモッタに一発退場の判決を下したのです。当然、決して故意による事故ではないとして、猛然と主審に詰め寄るバルセロナイレブン。ベンチからも抗議のために人がグラウンドに入り乱れて、会場のカンプ・ノウは混乱を極める事態となってしまいました。しばらく試合は中断しますが、もちろん判定は覆りません。バルセロナは数的不利の厳しい立場となりました。

しかししかし、そのわずか4分後。サラゴサDFの、今日得点をマークしているガブリエル・ミリートが、自軍ペナルティエリア前にてサビオラにボールを奪われるという大失策を犯してしまいます。そのままキーパーと1対1になりそうなところを、ガブリエル・ミリート、サビオラを体ごと倒しこむファールで止めます。この決定的なチャンスの阻止に対するペナルティは、レッドカードという裁定でした。退場処分で再び同人数になる両軍。舞台は騒然としてきました。

興奮の続くバルセロナサポーターは、さらに感情を爆発させる場面を迎えます。後半41分、ペナルティエリア前、左40度付近からのフリーキックでした。これをロナウジーニョが素晴らしい曲線を描くシュートで、ゴール枠の右上隅に直接決めて、2-1と逆転に成功したのです。見事な一振りでした。
ロナウジーニョの驚異的な右足は、なおも止まりません。再び訪れたフリーキックのチャンスに、またしてもキーパーの届かない枠内へのシュートを放ち、ゴールバーの内側に当てます。このはね返りを詰めていたサビオラが難なく決めて、3点目。勝負は決しました。

黄色赤色含めて、出されたカードは両チーム合計で12枚と荒れた試合となりました。ゴンサレス主審は、一度出すと止まらないといった感じでカードを乱発し続けていました。この重要なゲームのコントロールは少し難しかったでしょうか。そんな状況の中、流れの中で決定機を生み出せずも、切り札のセットプレーから全得点を叩き出して、バルセロナはこの肝心な上位対決を白星で制しました。ここぞという時のロナウジーニョは、やはりさすがですね。

しかしながらバルセロナ、この勝ち点3と引き換えに、今日の試合で失った代償は大きいものでした。負傷で交代していたメッシは足の骨折が判明。手術に踏み切ることとなり、何と3~4ヶ月の離脱となってしまったのです。チームが低調なときでも、いつも一人だけ孤軍奮闘の活躍を見せるなど、欠かせない存在であり続けた今シーズンのメッシ。すでに長期欠場をしているエトーとともに、バルセロナにとってはまた、前線において大きな人材を失うこととなってしまいました。
さらにFWのサビオラも、この試合で全治1ヶ月以上のけが。途中交代で退出していた中盤のエジミウソンも、復帰に10日以上はかかる負傷でした。
今節の結果、リーグ戦においては首位となったものの、チャンピオンズリーグでは現在グループリーグにおいて窮地に立たされている状況で、そのリーグ突破にもさらなる不安が募ることになりました。手放しで喜べない勝利となってしまいましたが、残された選手たちが発奮を見せ、一丸となってこの危機感を振り払ってほしいところですね。


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