MINOKICHI JP   Tokyo Japan

毛玉生活満喫中?
濃すぎるポーリッシュ・ローランド・シープドッグのお話。

お引越し 3.

2011-10-31 20:28:09 | 日記
「親方さ、今後の工事の予定ってどうなってるの?」
「ああ?あんた聞いてないの?この建物違法建築だったんだとよ。俺らは解体だけだから後のことは知らんけど、図面の引きなおしって話になってるぞ。となると工事は一旦中止。これから引き直して申請して、かなり延びるぞ。」
「それは聞いてる。じゃあ、私の引越しはいつになるの?」
「まあ、10月って所だろうかね。」
「2ヶ月もかかんの?」

違法建築は聞いていたが、蓋を開けたら一部はラーメン構造でなく、基礎壁なんかが出てきちゃったとのこと。
それも私に移って欲しいと願っていた102号と103号の間の壁が基礎壁だと判明。この壁を撤去して、窓を増やしてベランダまで作るつもりだったのに・・・窓作ったら家壊れちゃうだろう。
更に102と103の間に扉一つ分の穴を空けるのもまずいんじゃないか?という話になったのだ。



で、「箕浦さんにはもっと明るいお部屋に移動していただいて、療養していただきたいんですよ!」なーんて説得していたネゴシエーターK氏、ぷっつり音信途絶えちゃった。
観葉植物で溢れかえるはずだったベランダ・・・消滅。
太陽燦燦とまではいかないにしても、窓も増えて爽やかな風が吹き抜けるはずだった通路側・・・窓作成不可で壁のまま。暗いままじゃないか。

設計士の男性が耳にペンを差し込みながら呻っていた。

「ねえねえ、話が違うわぁ~!ベランダどこいっちゃったの?お窓はどこなの?新しい設計図見せてよぉぉぉ!」
「今一生懸命考えてますから、待ってて。待ってて!!」
「ひどいわ~、お話が全く違うんだものー!!」
「考えますから、考えますから、待っててっ!」

まあ、いいんだけどね。だって、27平米から40平米(と言う話)になってお値段据え置き。文句言ったらバチ当たるでしょ。
太陽が入ろうが入るまいが、犬たちと住めればいいの。でもさ、一応嘘はいけないよって伝えておかないとね。

それから工事はストップしたまま2週間以上経過。
「どうなっちゃてんの?」と思い始めた矢先、次々と現れる色んなおっさん達。
あまりにも色んな人がいて、誰が誰なんだか不明。
「親方!」と叫ぶと何人も振り向くから、「何の親方さん?」と聞かないとわからない。



全体的な工事責任者は「主任さん」と呼ばれる人のようなので、最終的には「主任さん」狙いに決め込んだのだが、それまではそれぞれの担当に付きまとって、お願いしまくりみのちゃん。

例えば電気屋さん。
「ねえねえ、電気はどんな感じ?えっ?やだそんな電気。私さ、持っているこれつけたいんだけど、これつけてくれる?手前がこれで、奥はこれ、リビングはこのシャンデリア。よろぴく。」

建具屋さん。
「おじさん、そっちの部屋とそっちの部屋の間ってドア?いらないから、ドア。どのみち犬食っちゃうから、ドアつけないで、90センチのドア穴のままで角にゴムでもつけてくださいな。」

クロス屋さん。
「ねね、クッションフロアなんだけどさ、フローリングタイプじゃなくてさ、テラコッタタイプのものにして欲しいの。差額が出るようだったら差額はもちろんお支払いするから、いいかしら?」
「まさかさ、クロスも希望があるの?」
「ううん、そこまで言っちゃうとお金かかるから言わないよ。でも、どんなのにするの?あ、これ?問題ないでーす。」

賃貸なのにオーダーメイド。とっても施主気分。
だけど、そんな素振りはいけない。
後になってからは主任さん一人に絞って、あーでもないこーでもないと希望要望言いまくり。
でかい洗濯機やガスの乾太君の置き場所を考えて欲しいとか、窓の外のルーバーは取り外して欲しいとか。

「えっ、ルーバーはずしたら見えちゃうでしょ?」
「だって、曇りガラスだし、隣は空き家だし。ルーバーあったらタダでさえ入らない光が・・・全く入らないよっ!ベランダ無くなっちゃったし、観葉植物で溢れかえるベランダ無くなっちゃったんだもん!!」
「ああ、わかったわかった、ルーバー取るからっ。取ってあげるから!!」
「ベランダ無いから・・・乾太君とは離れられない・・・洗濯物乾かないもん!」
「ガスの配線引き込んでおくからっ。今のうちに工事に組み込んでおけばいいだけの話だからっ、ね。」

そ~お、悪いわねぇ~。



主任さんも40代で大病をして克服した人間なので、今の私の状況が不憫で仕方ないらしい。
「ゆっくり療養しないといけないのに、朝から夕方までこんな騒音の中じゃゆっくり寝ることもできないでしょ。それが心配だよ。」

だけどそんな事言う割りにこの人たち朝が異様に早くてたまげる。
この頃になると、毎日現場到着は朝7時半。8時開始が義務付けられているのか、それまでは準備しつつも着手せず。
その代わり、私の部屋の前の廊下で楽しげに会話に花を咲かせるのだ。
おいおい、ガールズトークならぬボーイズトーク・・・いやっ、おじさんトークだ。
せっかくだから、メンズトークとしとくかね。何で朝っぱらからこんなに会話がはずんでるんだと思うほどの盛り上がりで、バカ笑いに次ぐバカ笑い。
絶対に塩分撮り過ぎ、高血圧だよ、あんたたち。
5時にようやく眠っても2時間ちょっとで起こされる私の身にもなって欲しい。
ステロイドの場合、1回起きるとまた寝付くのが大変なんだよ。ぷんぷん。
そして、8時前から彼らの時計は8時の時を告げるらしく、工事開始。

ある日の朝8時。
ドンドンドン!

「へえぇぇーい・・・」
「今日はね、こんな工事になるんだけど・・・あ、寝てた?」
「主任さん、いちいち来なくていいよ。うるさいのは仕方ないし。自分の部屋ができるのにいちいち文句なんて言わないから。」
「そう?じゃあ、ゆっくり休んでね。ワンちゃんたちもかわいそうだよね、ストレスだと思うよ、こんな工事の音。」

ううん、主任・・・うちの子たちはシェパードやビアデッドではないから、大音響は全く気にしないで爆酔。問題はあなたなの。
あなたの声が一番大きいって知ってた?7時半から廊下で延々と携帯電話で打ち合わせしないで・・・。

ああ言えない、言えないわ。賃貸なのに施主気分の今、何も言えない・・・。
でも・・・施主なのに何だかとっても疲弊してないか、私。


お引越し 2.

2011-10-25 21:01:12 | 日記
商店街中央のマンション。トラックを入れての仕事は不可。

早朝にトラックをつけて機材等を降ろし、載せるものは載せ、近くの駐車場を押さえなくてはいけない。
それはわかるが、工事はせめて8時からにして欲しい。
7時過ぎた辺りから動かれると、こっちも7時過ぎに起こされて辛いのだ。

部屋の前に敷かれたブルーシートを見て、嫌な予感がしていたが、その予感的中。



大型機材は使えないから、作業は全て人の手。
解体で出る廃材や置きっぱなしにされた家具類を大きな台車に載せて、駐車場のトラックまで押して持っていく。その台車の通り道がこのブルーシート。

適度な大きさの物は階段を使って降ろすが、後のものはこの廊下突き当たりの2階のベランダから1階に落とし、台車に載せるのだ。



ドドーン(落としたっ!)よーいせ(載せたっ!)ふーりゃ(動かしたっ!)ガラガラガラガラ(部屋の前を通過する)

こういうのを人海戦術というのだろうが、まあ皆暑い中よく動く。
更にその中には私と同じくらいの女性がいたりして、びっくり。
若衆への指示だったり段取りだったり、結構小柄な女性が采配を振っているのにはたまげた。
今の時代、女が入り込んでいない職場なんてないんだね。
かっこいいぞ、皆!だけど・・・うるさい。

眠れない日々でヨロヨロする私の足元から伊作がササーっと廊下に出て行ってしまった。

「うわー!!なんだなんだ!まっくろくろすけだっ!」
工事のおっちゃん達にプリプリとお尻を振って愛想振り撒くこと、どこかのホステスのようだ。
オスなのに・・・。

「あれ?これさ、親方の犬じゃん?」
「は?違うだろ。」
「そーだよ、これそう。親方の犬。」
「違うよっ!」
「そーだってば。」

どうでもいいけど、私の犬だっつーの。意味不明な人たちだ。
こっちもお愛想笑いをして、伊作の首根っこ掴み部屋に引きずり入れると、次から次に毛玉たちが家から飛び出て行ってしまった。

「やっぱ、そーじゃん、ほれあれそっくりじゃん。」
「あー、あれはそうだ。そうそう、あれ親方の犬。」

だからさ、私の犬だし、第三者になってないで犬の逃走を一緒に止めてはくれないだろうか。

「おうっ、この犬はなんていう犬だい?」
とんでもない早朝に我が家に現れたおっさんが、おもむろにポコポンを指して聞いてきた。
「ポンです。」
「ふーん・・・うちはさオールドが3頭いたんだ。父ちゃん・母ちゃん・息子・・・オスは50キロ越えててさ。気性も結構きつかったから大変だったさ。なんたって、毛の始末が大変でさ。」

まだオールドも珍しい時代、目の飛び出るような金額で購入したオールド。
お金もかかるし、散歩も大変だしと、最後の息子が亡くなったあとは飼うのを止めたそうだ。
丁度ポコポンはグレーと白が腰の部分で分かれているので、オールドの子犬のような色合いをしている。
懐かしそうにポコポンを見つめる親方に、「うっせえ、見るんじゃねえ、この親父!!」とヒステリックに哀川翔ばりの高音で叫ぶポコポン。親方かわいそう・・・。

「でもさ、寂しくてさ・・・やっぱ犬っていうか動物っていいんだよね。諦めきれずに猫にしたよ。今はヒマラヤン3頭飼ってるんだ。」

はっ?ヒマラヤン?ヒマラヤンだって毛、大変だっつーの。
結局ロン毛が好きな人はロン毛を飼うんだね。

動物好きの親方率いる解体グループ、ここから2週間頑張ってマンションを壊しまくり。
私の並びの102・103号なんか2日でスケルトンになって、亀女性が住んでいたという記憶まであやふやになっていく。
こうやって日常って過ぎていくんだね・・・ああ、怖い。



その間、早朝まで眠れない私は日々この大音響に悩まされ、体力の消耗著しい。
どんどん増えていく免疫抑制剤も合わないのか、効果が出すぎているのか・・・服用すると手足痺れまくりで体が異様にしんどい。
それでも住める家を失うわけにはいかず、女は黙ってエビスビールだ。

酒量増えちゃうね。

お引越し 1.

2011-10-23 22:30:10 | 日記
「昭和の女のように男の言う事を聞いてしまったよ。」
「昭和の女になってしまたのなら、後はトボトボついていくほか道はないでしょう。きっと上手くいきますよ。根拠があるわけではないですが、そんな予感がします。」
入院中仲良くさせてもらっていた50代の女性にため息混じりに報告したら、こんな返事が返ってきた。

「一ヶ月単位で先延ばしにしたところで、手遅れになるだけです。やりましょうよ、それしかないんですから。」
「手遅れ・・・?」
「このままだと本当に心筋にきます。そうしたら打つ手はありません。そうなる前に、頑張りましょうよ!」
「・・・ってことはさ、私にはまだ希望はあるの?まだ何とかなるってことなの?」
「当たり前じゃないですかっ!何言ってるんですよ!!だから、やろうって言ってるんじゃないですかっ!私はまだまだいけると思ってやってるんですよっ!」

いつも冷静なジャッカロープが声を張り上げてる。
ああ、本当にもうリミットなんだろうな。
チミチミチリチリチュワチュワ・・・シュシュジュッジュジュウゥゥゥ。

「音がするんだよね・・・筋肉が壊死していく音。」
「はっ!?(興味深々)」
「聞こえるか聞こえるかわからないよう小さな音。音というか感覚なのかもしれないけど、とても静かで・・・だけど継続する・・・泡沫の消滅のような感覚。」
「ええ。」
「間に合うなら・・・わかった・・・あなたの言うとおりにするわ。」

と、こんな感じで始めた入院しなくてOK量ステロイド服用と免疫抑制剤最大量。

30ミリ服用を始めた途端、全く眠れず。
睡眠薬を使ってもせいぜい3~4時間うとうとするだけで、どんどん体は疲弊していくのに眠れない。
ようやくウトウトし始めたら、ドアの外ではドッテンカッテンゴンゴンドンドン大音響。
マンション各部屋に残された家具等の運び出しと室内の解体が始まったのだ。

インターホンに異常に反応する毛玉たちのせいで、この部屋に入った時点で激昂した私はインタフォンをコードごと引き抜き、壁に叩きつけて破壊していた。
どんなにインターホンを押しても反応が無い私に痺れを切らした人物一人。

「(ドンドンドン!!)箕浦さんいる?」
「わんわんわんわんわんわん、ぎゃああああぎょええええっ!!」

なんなんだよっ!ドアをそんなに叩かないで!犬が大騒ぎになるから止めて!!

「どちら様っ!?」
「ああ、あのね、工事の者です。今日からね、工事。よろしくお願いしますね~。」
「はあぁ、わかりました。」

いちいちお断りの訪問してくれなくてもいいのに・・・。今日は全然眠れなかったような・・・ん?
おいおい、おっさん、今何時だと思ってんだよっ!7時45分。いくらなんでも人様のおうち訪問7時45分、早すぎでしょ。
お電話だって10時前に電話したら「すみません、朝早くから」って一言添えるだろうに。

「寝てた?」
「・・・ふへえ・・・。」
「起こしちゃったんだ、ごめんね。」

寝てるでしょ、普通に。うちの店9時からだし、通勤時間3分だし。
あんたら、早すぎ、動くの。

家無き子 その顛末 11.

2011-10-19 01:14:57 | 日記
ガス・電気が払えなくても、家賃は絶対に払う。それが私のモットーなの、学生時代から。


※神奈川在住 ナデシコ/カゲトラ

あ、そーだ、思い出したよ。
学生時代、23000円だった家賃。
4部屋×23000円の家賃が生活費だったから(年金もあっただろうけど)、もう必死になって集金してたっけ、大家のおばあちゃん。
当時としても6万くらいの部屋が主流だった学生一人暮らし。学生課に紹介されたこの部屋に女子が入るのは初めてだったはず。
2階のベランダに洗濯機を置こうと思ったら、重量に耐えかねるから、一階の通路に置いてくれって言われた。どんな構造?
トイレは週一回やってくるバキュームカー汲み取り式。夏は部屋にかけてあったお洋服がとっても肥溜め臭かったし、冬は冬でコタツの上に置いた飲みかけの湯のみに朝うっすらと氷が張ってたね。
そうそう、押入れの掃除してたら、穴があって、その穴覗いたら・・・その穴の向こうに眼球があったんだ!
ぎゃああああっ!!
いつか・・・そうね・・・いつかこの話も書きたいな。私の青酸っぱい青春のひとかけら。


※東京在住 プルプル

またそれちゃった。

そんなこんなで、ジェットコースターに乗るような毎日ながら、家無き子を回避し、入院。
「この状態で引越しって何?本当に大丈夫?戻ったら家がなくなってるなんてこと無い?」
と、心配する主治医に、
「ラフカディオ・ハーンです。これまた夢、あれまた夢。全てはステロイド・・・そして免疫グロブリンの副作用がなせる髄膜炎による妄想かもしれません。」

意味不明。
不安だから契約書まで交わしてから入院してきてるのに、怪談話に仕立て上げてどうするんだ?
夏場の入院にかけてるんだろうけど、まだちょっと早い梅雨の時期。
絶対に頭いかれた患者扱いになっちゃうよ。

免疫グロブリン治療断念で退院後、次から次に居住者は立ち退きしていって、私と401号だけのマンション生活が始まった7月。
静かを通り越して、気味の悪いホーンテッドマンション化。
蜘蛛の巣は張るし、粉塵は溜まるし、共用部分の電気は切れるしで、ほとんどビル管理人のようにメンテナンスに励むことになっちゃった。
その分、勝手にマンション共用部分で犬達を遊ばせたり、友人達とビアガーデンしちゃったりして、お気楽だったんだけどね。
ただ、筋炎の再燃はひどくて、値はどんどん上昇。
体幹の筋肉がジュワジュワと音を立てて壊死していくのがわかって、ちょっと怖かった。


※神奈川在住 ひまわり

そんな中、強制退去者や居住者が残していった家財道具の搬出、各部屋の解体開始。
毎朝8時前からドッテンカッテンゴンゴンガンガンと大音量が響き渡ることになったのであった。
私の方も、筋炎の進行を止める為の決断を余儀なくされていた。

「これが限界。もうこれ以上いったら心臓にいっちゃいます!ステロイド増量に行きましょう。入院なしの増量と免疫抑制剤の最大量服用で頑張りましょう!」
主治医の後押しでまたまたステロイド生活開始。

ラフカディオ・ハーン。
ステロイド副作用の不眠による長い夜と早朝からの大騒音・・・これが本当の現実悪夢・・・8月の怪談スタートである。

家無き子 その顛末 10.

2011-10-17 01:01:30 | 日記

※山口在住 リンゴン

「契約は101号のままでとりあえずやっておいていただいて・・・そーだ!火災保険代が別枠でかかりますが、よろしくお願いします。歩くのが大変なのはわかっているので、不動産会社まで来ていただく必要はありません。全部郵送で済ませますので、大丈夫ですよ。」
「了解いたしました。(渋々のフリ)」

Kちゃん、わかったわよお。何でもかんでもOKざますよ~。
もう家無き子じゃないとわかればいいのいいの。
借金の保証人じゃない限り、何にでもハンコついちゃうわよ~。

で、数日後届いた契約書。ちょっとわからない事があったので、不動産会社の担当の女性に電話をしてみた。

「あのー、この契約書には犬は飼っちゃ駄目って書いてあるんですが。。。私4頭飼いなんです。このまま判を押しても大丈夫?」
「ですからっ、今以上増やさないでてことですってば。飼ってる事わかってての契約でしょ。数は増やさないでってこと!」
「・・・(何この女?)でね、今の建物の名前は継続しないでしょ。住所変更しなくちゃいけないので(特定疾患の申請問題があるため)、新しい建物名を教えてください。」
「まだ決まってません!決まってるはずもないでしょ。工事だって始まってないんだから。」
「・・・(我慢我慢。ここで喧嘩して家無き子に戻るわけいかないしね。)」
「とにかく今の部屋のつもりで契約済ませちゃってくださいって言ってるんです。」
「えっ、でも内容は新規の家になってますよね。犬は飼っちゃいけないって・・・。」
「だから、まだ何にもきまってないうちにあーだこーだ言われても困るんですよっ!」
「じゃあ・・・決まったら教えてください・・・それと火災保険の件ですけど、前オーナーには何も要求されなかったんですが、不安だったので通常部屋を借りる時に入るものと同等のものに個人的に入っていて、昨年更新したばかりなんです。もし良かったら、こちらを使わせてください。」
「はああ?」


※神奈川在住 デューク

言われた通りに火災保険のコピーをファックス。
契約書も投函し、その足で銀行に行き、契約書に書かれた金額を即日入金。
次の日の夕方、同じ担当者に全て完了した旨の報告と確認をお願いする電話連絡を入れてみた。

「101号の箕浦ですが。」
「はーい、箕浦様!昨日は早速のご入金ありがとうございました。全ての確認が取れておりますので、何か問題がございましたら何でもお申し付けくださいね。よろしくお願いしまーす。ほほっ。」
「はあ・・・お手数おかけしますが、こちらこそよろしくお願いします・・・ではでは。」

言っておくが・・・これ、同じ女性担当者。
なんなのこの違い・・・?

要するに会社でも私はワケアリ扱いだったんでしょうね。
海のもの山のものともわからん難病者。金は払ってないし、だからと言って無理やり追い立てて裁判なんかに持ち込まれたって、会社側に勝ち目は無い。弱者だからね。
『国でさえ対処に躊躇してる人間をどうするんだよ。大事にされても面倒だ。厄介なもんを背負い込んじゃったよなあ。』
絶対に会議にかけられていたと思う。
そんな人間がごねる事も無く、金を無心することもなく、反対にやたらと話もスムーズで金払いもよく、更にはきちんと保険にも自発的に入っていたりしたわけだ。

掌を返したかのような対応にこっちが面食らう。
清く正しく美しく生きてて良かったよ。
って言うかさ、この都会の片隅で4頭と一緒に暮らしている以上、気を遣って生きているわけよ、自分なりに。
国税だってきちんと口座を教えてくれればちゃんと払ってたってば。

家無き子 その顛末 9.

2011-10-15 00:45:59 | 日記
「6月の入院前までに箕浦さんの行き先を決めて差し上げたいので、とりあず、401号さんと同じく居残りということにします。つきましては弊社は4月にこちらを所有しておりますので、お家賃は4月からということでお支払いください。」
「は?話を聞いたのは4月末ですから5月分からでしょ?」
「保証会社には家賃半月分を収めてください。弊社には敷金1、それと4月分からね。」

ちょっと変な話ではあるが、残れるならばまあいい。この際贅沢など言っていたら、病気のまま4毛玉抱えて路頭に迷うだけだ。
へいへいと頷いて、ああ良かったと思っていたら、数日後K氏がまた来訪。
「で、お願いがありまして・・・。今のこのお部屋でなくてですね、隣のお部屋にお引越ししてはいただけないでしょうか?」


※神奈川在住 ヤマンバ・ヴォッコ/ドッキス/ゴーバ

隣は大家の親戚がたまの上京の際使っていた部屋で、ユニット等と収納一間を除けば賞味6畳くらいの部屋である。
そんなところに毛玉4つと住むのはきつい。

「ちょっと狭すぎなので。」
「いやいや、そんな狭い所が無理なのはわかっています。亀飼い女性の103号(102号と同じ間取り)と102号をくっつけますから、どうでしょう・・・そちらに移っていただけないですか?」
「はあ・・・。」

正直どこでもいいのだ。さも仕方なさそうに頷いてみたら・・・K氏、思いのほか大喜びで、こんな提案をしてきてくれた。
「いいお返事をしてくださったので、お家賃の派生は6月分からで結構です。ただ、保証会社の半月分と敷金1ヶ月分はお支払いいただかないといけませんが。」
「それは・・・致し方ないですから。(渋々のフリ)」

致し方ないどころじゃないでしょ。また2か月分家賃浮いちゃったわよ。どーなってるの?気味悪すぎ。

「でね、設計図を見てください。実はこの建物、よくよく調べてみたら違法建築でしてね。箕浦さんが住んでいる101号と102・103号の間に段差があるでしょ、あそこ・・・無理やりくっつけて一つのビルにしているんですが、通路として空けないと使用許可が出ない物件だったんです。つきましては、102・103を綺麗にして箕浦さんに移って頂いてから、今の箕浦さんの部屋をぶち壊します。4階まで通して建物の一部を解体して、空が見える通路にします。要するに、元々の建物のように2つの建物に分断するんです。コンクリートをはつる作業もあるので、7月・8月とかなりの音が出ますがご了承ください。」
「あら、そうなの?うるさいのね。でも致し方ないですねえ。(渋々のフリ)」
「でも見てください、箕浦さん。ほら、今まで無かったベランダができますし、この通路2メートルちょっとありますから、明るいお部屋になりますよ。せっかくだったら明るいお部屋で過ごしていただきたいんです。」
「そうお?(渋々のフリ)」

商店街うなぎの寝床。太陽などあまり入らない場所。
毛玉4つOKの場所なんてそんなにあるわけでもないし、そんなの百も承知。
明るくなるなら何の問題も無いし、ベランダがつくなんて最高じゃないの!鉢植えなんて置いちゃおうかしら?

家無き子 その顛末 8.

2011-10-13 00:45:08 | 日記
「401号さんが残るんだったら、私も残りたいんですが。」
「いやー、それは無いでしょう。お出になってください。」
「じゃあ、お部屋を用意してください。」
「うーん・・・ですから難しくって。」
「だったら、ここに残るしかないもんね。」
「・・・・」

筋炎再燃で免疫グロブリン治療の入院が迫ってきている。
何度となく店に足を運んできていたネゴシエーターK氏、ある提案をしてくれた。

「保証会社をつけて、通るか通らないかやってみましょう。駄目だったら友達やご家族もプラスアルファでつけてということになりますがいいですか?」
どんなワケアリ人間だと思ってるんだろうか?


※神奈川在住 お福

確かに私は今のマンションには不思議な形態で住んでいる。
まず、不動産会社を通さず、個人的な関係で前のオーナーと契約を交わしていた。
敷金3ヶ月で賃料の更新は無し。賃料は銀行振り込みでなく、2ヶ月に1回とか3ヶ月に1回の時もあれば毎月の時もあるなど、会う時にまとめて現金で渡し、手帳にハンコを貰っていた。
大家と私にしてみれば何の意味もない行動だったのだが、国税・地方裁判所にとっては不可思議な関係。更にはそれぞれには会社まで存在し、社長の座にいたりするから、何かしらの金の動きがあるのかもしれないと勘ぐられてもおかしくはない。
しかし・・・大家にも店子にも犬がゴロゴロいるは、更に店子は難病患者だは、その会社は吹けば飛ぶようなチンケぶり。
国税も私と大家の関係に首を捻るばかりだったようだ。

犬仲間の関係というものは不思議な部分がある。
幼馴染でもなく、犬という物体を介して、何の繋がりも無かった人間同士が結びついて急激に親密になったりする。
通常の生活では知り合えなかったような関係であっても、無二の親友に発展していく場合もあるからね。
それが犬との生活の醍醐味だったりするのだ。

そんな説明を国税にしたところでどうにもならんし、意味ないからしないけど。


※東京在住 ルーナ

で、ワケアリ人間の素性を調べたK氏と本社。
保証会社が一も二もなく「問題なし」と即日返答。
何かのブラックリストにでも乗ってると思っていたのか、断りの手段にしようとして肩透かし。
問題のある住人ばかりのマンションで私まで一緒にされていたようだが、「清く正しく美しくが」モットーの私はどこをどう調べても美しい。
何の申請でもあっという間に通るはずなのだ。
問題は国税が私を1年以上幽霊扱いにしているということだけなのっ!

だけど。。。ごめんなさい。今回ばかりは自分から申告はしないわ。何かそちらからのアクションがあるまでは動かないので、悪しからず。
もう、生きていくだけで精一杯だからね。

今日は何の日、誕生日。

2011-10-06 11:22:05 | 日記
人目も憚らず、ヴォッコちゃんが伊作の子供をごんごん10頭も産んでしまったのは一年前の事。
5日の晩から6日のお昼までに10頭。

あれから1年が経過してしまったなんて、すごくない?
ってことは誕生日。

震災やら何やらで、大変な時期の日本で生き延びてくれた子犬達。
もう子犬では無いから子犬達とは言わず、子供達と言うかね。

8月末の段階で結構でかくなっていた子供達。
ちょこちょこと遊びに来てくれるから、ちょっと嬉しくなっちゃって、こんなくだらない動画なんか作ってしまうあたり、ただのお婆ちゃん。

★美人ペットショップ経営者変死★

子供って感じでもないんだけどね。
だって、これ見て。隣のでかい女ヴォッコが小さく見える男、デューク。
実際パパ伊作よりかなり大きい。



今回の子供達は野山を駆け巡る環境にあるから、皆余分な肉は全くついていなくて、どっちかというとかなり細い。
6ヶ月あたりまでぐんぐん大きくなって、それからは少しずつ大きくなるというのが子犬。
しかし・・・この子達・・・急激に大きくなるというより、微妙に大きくなっていき、10ヶ月を過ぎても会うたびに成長している。
未だ2週間前に会った時よりでかくなってて、「!?いつまで成長するつもりだい?」てな感じである。
急激な成長で関節を痛めるより、ゆっくりじっくり育ってくれる方がいいね。



つい先日の事。まとめてお洗濯と思ったら・・・汚い、でかい、うるさいの三重苦で、スタッフ疲労困憊。
何でこんなにでかくなっちゃったのかと思ったら、またブービエが2頭も中に紛れ込んでたよ。



ぎゃあぎゃあうるさいから、一部を公園に連れて行ったら、ニューファン梅吉に遭遇。
犬見知りも人見知りもしない図々しい子供達に育ってた。



わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい・・・なーんてCMが昔あったけど、ほんとね。
ヤマンバでも獣でもいい、健やかに育って欲しい。切に願う婆ちゃんです。


家なき子 その顛末 7.

2011-10-04 12:45:49 | 日記
後は201号・302号・401号の立ち退きだ。

201号の若夫婦は引っ越してきてまだ1年ちょっとだったはず。
家賃滞納もなく、ダックス1頭と猫を飼っていたが、前オーナーとの契約では猫はいないことになっていた。
いないはずの猫が商店街側の窓に張り付いて、発情期にニャアニャア。それも2匹。
契約違反だと不動産会社に文句を言ったら、「では今すぐにその猫二匹処分させます!!」と担当者が言ってきたそうだ。
動物好きの大家はついつい、「そんなことできるわけないじゃないのっ!もういいわ!!」と言ってしまったとか。
若夫婦も若夫婦で、嘘は心苦しかったようだ。
近所で今の家賃より安く、広く、動物の数の制限も無い所を見つけたとかで、費用を全部出してくれるならと7月頭に引っ越して行った。

302号はしょっちゅう違う女性を連れて来るAV男優である。
優しいが特にいい男でもないし、50過ぎのおっさんだ。
じゃあ、何でそんなにもてるのか?彼のサイトをチェックしてて椅子から転げ落ちそうになったよ。ビデオパッケージに写っている部屋に見覚えが・・・。
おそるべしっ!もてていたんじゃなくこのマンション内でAVを撮影していたとはっ!!
入れ替わり立ち代わり来ていた女の子達・・・簡単に脱いじゃ、駄目じゃないかっ!

「景気悪いしさ、事務所なんて別枠で払ってらんないよ。住むたって、ワンルームでいいんだし。」
一番高い時期に入ってしまっていて、生活費を切り詰める為にも引越ししたいと思っていた矢先の話だったようだ。

「○十万円貰うことにして、明後日持ってきてくれるって事だから、来週引っ越すわ。この景気じゃ今後のことも考えないとね。渡りに船だよ。」
話は素早いし、今時立ち退きでこんなに払ってくれる事ないんじゃないのっていう金額を提示して、OKを貰っちゃうあたりすごいと思う。
シュナウザーを連れて6月半ばにさっさか出て行ってしまった。

残るは私と401号の黒シュナウザー飼いご夫婦のみ。
「主人の仕事の関係もあるし、引越しも面倒だし。単刀直入に出してもらえる金額を聞いて、引っ越しが得か得じゃないかの計算をしたのよ。で、このままここに残る方がいいと判断させてもらったわ。」
前々から思っていたのだが、なかなか冷静な奥さんなのだ。
惑わされる事も無く、淡々と交渉についていた。

「家賃をきちんと払っていただいていた方達には私達も無理は申しません。401号さんは何の問題もないんです。ですから、ご希望ご要望をまとめて、残っていただくこととなりました。」
旦那は上場企業に勤めていたり、きちんと家賃を納めていたり、401号に非は全く無く、動かしようが無かったようだ。
会社側は全入居者に出て行ってもらって、一挙にリフォームをかけ、新たな形態にしたい所だったのに。
そういう意味では家賃未払いや、素行不良は追い出しのいい理由になる。

こうなったら、私も考えなくはならない。

家なき子 その顛末 6.

2011-10-01 22:23:41 | 日記
要するにあまりにも厳しい条件で、不動産業のプロでも新たな部屋を見つけることができなかったのだ。
20キロ1頭でも難しいのに、4頭がメエメエ鳴いているんだもの。
で、地域は中野新橋で1階じゃなきゃいけないって、難し過ぎるでしょ。

「箕浦さんねえ、この街は難しいですねぇ。とっても排他的な部分があって、地元民とかここに住もうとかしている人には門戸を広げるけど、部外者には秘密主義な街なんですか?業者間の情報収集にも非常に非協力的でね。私達には地元情報は流してくれないようです。」
ふふふっ、そうよ、この街は本当に特殊なの。新宿すぐそこ、大都会。でもここ、中野新橋村。
簡単には行かないってわかってたから、のんびり構えてたんだよ~ん。

「そーですか、そりゃ知りませんでした。困りましたね~・・・。私は体も悪いですし、どこに行けと言われても・・・ああ困った、困ったわあ。」

そうこうしているうちに、101号の亀・猫女性が5月いっぱいで強制退去になることになった。

「冗談じゃないよ!金も無いのにどこに行きゃあいいんだよ!金貰わなきゃ困るんだよ!!」
と、自分から不動産会社に乗り込んで行ったはいいが、玉砕。
退去費用は10万のみ。それも退去完了確認後の支払いしかしないと言い放たれたとのこと。
国税に1年も家賃を納めていない事実がネックになり、地方裁判所発行書類に「悪質」と明記されていたようだ。
悪質扱いはもう1名。そう、例の301号、猫2匹飼い女性。
泣き寝入りは嫌だと、勤務する飲食店のお客さんにアドバイスしてもらったり、無料の法律相談を利用したりして対応していたが、結局折衝はうまくいかずに揉めたようだった。
7月には家の鍵を付け替えられてしまい、8月5日から始まった解体で残されていた家具・用品等全て廃棄処分されてしまった。

このご時勢に誰が引越しなんかしたい?
追われるように引っ越して行った前オーナーから敷金は戻るはずも無し。
退去費用は10万しか出ないのに、動物飼いが新たな部屋を借りるには最低でも何十万とかかる。
マンションを出て、何処に行ったかわからなくなる前に手を打っておこうというのであろうか。
国税、泣きっ面に蜂のこの二人に「1年分の滞納家賃を完済するように!」と連絡してきたらしい。
一挙に100万以上払えって言われても・・・払えないだろう。その前に家も探さなきゃいけないのに。

この二人とちっとニュアンスは違うが、家賃滞納という意味では同じ立場の私。
またまた、国税に無視され、なんの連絡も無し。
もう不安だらけで、ついついネゴシエーターK氏相手に告解しちゃったりして。

「あの・・・私も1年間払ってないんです。いいのでしょうか?」
「えー!!払ってないの!?そんなこと何も書かれてませんよ。ただ・・・箕浦さんに関しては、理由はわかりませんが・・・地方裁判所からは丁重に事を進めるように言われています。無理をしちゃいかんと。やさしく対応してあげるようにと記載されています。」

なんなのっ、それ!!どんな書類なのよ!なんだかもう全てが気味悪くて居心地悪い。