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『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』

2017年01月24日 | 映画(た行)
『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』
監督:中島貞夫
ナレーター:梶原誠

この日もフリーパスで何か観るはずが、
TOHOシネマズ梅田9:00の回に間に合うように起きられず、
予定を変更してテアトル梅田で本作を。
ロフトに向かう途中でローソンに寄り、レッドブル購入。
劇場に到着したら、初回限定サービスを利用してコーヒーを半額(150円)で飲む。
これで眠気払いは万端……のはず。

幼いころから、なぜかわが家では時代劇を観ませんでした。
昭和一桁生まれで読書が趣味の父は時代小説はおそらく大好き。
時代劇を観ても不思議はないのに、テレビで時代劇を観た記憶なし。
だから私は『水戸黄門』も『桃太郎侍』も『鬼平犯科帳』も観たことがありません。

そのせいだからなのでしょうけれども、映画でも時代劇が長らく苦手でした。
避けずに観るようになったのは、ここ10年ぐらいのような気がします。
もっともそれは三池崇史監督の作品だったりして、取っつきやすいのですけれども。

映画発祥の地といわれる京都。
そんな京都の撮影所で長年仕事を続けてきた大ベテラン、中島貞夫監督が、
京都で制作された時代劇の歴史と魅力を解き明かそうというドキュメンタリー。

冒頭、『太秦ライムライト』(2013)の出演女優、山本千尋が登場。
中島監督と時代劇に縁のある京都の地を巡ります。
はっきり言ってこれは要らん。
台本をなぞっているのが丸出しだし、監督の声も決して聞き取りやすくはない。
なんだか説教くさい話しかたでもあり、
若い女の子相手に能書き垂れたかっただけちゃうんと思ってしまう。すみません。
ちゃんとしたナレーションで観たかったなぁ。

そんななかでも嬉しかったのは、去年初訪問した立誠シネマプロジェクトが映ったとき。
そうです、旧・立誠小学校前にこの看板がありましたとワクワク。

時代劇の歴史が始まってから少々睡魔に襲われましたが、
第二次大戦後のアメリカ占領下で、チャンバラ映画が禁じられたことに興味を惹かれます。
アメリカ人にとってたぶん日本刀は不気味なもの。
チャンバラ映画を観た日本人が日本刀を持って復讐に走ることを考えたのではないかと。

斬り役、斬られ役の面々のインタビューが始まると、
松方弘樹福本清三をはじめとする役者の皆さんの話、傑作です。

殺陣(タテ)とは、「静」があって「動」が生きるもの。
斬った斬られたあとの止まりかた。それが難しい。
監督、役者それぞれに美学があり、どう斬られるかはさまざま。
立ち回りなんて、斬られる役者が下手ならば、
斬った役者は真ん中で踊っているだけの人になってしまう(笑)。

斬られるのが専門の役者さんが、「たまに斬ってみたいと思いませんか」と問われ、
「そりゃ斬ってみたかった。松方さんとか高橋英樹さんとかね」と答え、場内爆笑でした。

まだまだ時代劇歴の浅い私ですが、時代劇がなくなってほしくはありません。
その美学を伝えつづけてほしいと思います。

20年前に結婚式に呼ばれてオハイオへ行ったとき、
新郎が自室に日本刀を飾っているのを見ました。
「本物の日本刀だよ。美しいだろう」と自慢していたけれど、
ステンレスやで、その刀。ホンモノとちゃうからとは言えませんでした。(^^;

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