夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『恋妻家宮本』

2017年02月12日 | 映画(か行)
『恋妻家宮本』
監督:遊川和彦
出演:阿部寛,天海祐希,菅野美穂,相武紗季,奥貫薫,佐藤二朗,
   富司純子,入江甚儀,佐津川愛美,浦上晟周,紺野彩夏他

病み上がり、TOHOシネマズ伊丹で2本ハシゴの2本目。
本作以上に観たい作品があったのですが、時間的に合わず。
妥協してこっちにしたというところです。

監督は『GTO』や『家政婦のミタ』の人気脚本家、遊川(ゆかわ)和彦。
原作は重松清の『ファミレス』で、映画を観た数日後に読了。そのレビューはこちら
阿部寛と天海祐希の共演となれば期待が高まるというもの。
結果、それなりに笑ったし泣いたけれど、余韻があるとはいえず。
TVドラマでよかったかもしれません。なんだか蛇足が多すぎる。

中学校の国語教師・宮本陽平(阿部寛)とその妻で専業主婦の美代子(天海祐希)。
一人息子の正(入江甚儀)が交際相手の優美(佐津川愛美)と結婚を決める。
陽平と美代子はできちゃった結婚だったため、正が出て行った今、
50歳にして初めて夫婦ふたりきりの生活を送ることに。

夫婦ふたりなのに、「お父さん」「お母さん」と呼び合うのもおかしい。
美代子はこの機会に昔のように名前で呼ぶことにしようと言うが、陽平は恥ずかしい。
何をどうしてよいかわからず、ぎこちなくて居心地の悪さを感じるばかり。

そんな折り、本棚に並ぶ懐かしい本を何気なく開いてみると、
そこには美代子の捺印済みの離婚届が挟まっていた。
別れを突きつけられるような心当たりはまったくなく、
かと言って美代子に問いただす勇気もない。ただおろおろする陽平。

1年前からかよいはじめた料理教室の仲間、
五十嵐真珠(菅野美穂)と門倉すみれ(相武紗季)に離婚届のことを相談すると、
真珠は「奥さんが不倫しているにちがいない」と言い、
結婚間近のすみれは頭の中がお花畑状態だから、まともな意見は聞けそうにもない。

一方、学校ではクラスの盛り上げ役・井上克也(浦上晟周)の様子が変だ。
克也の母親・尚子(奥貫薫)が不倫相手とドライブ中に事故に遭って入院したらしい。
克也と親しいクラスメートの菊池原明美(紺野彩夏)の話によれば、
現在克也の面倒を見ている祖母・礼子(富司純子)は凄い鬼婆。
何も手を打とうとしない陽平に明美は業を煮やすのだが……。

本作で何がいちばんよかったかといえば、この日のお客さんです。
陽平と美代子より上とおぼしき夫婦での鑑賞が多く(私はもちろん“おひとりさま”(笑))、
すでに共感能力が高くなっているのか、よく笑う笑う。
劇場内の雰囲気が良いと、たいしたことねぇなと思いつつも笑ってしまうのでした。

大学生時代の陽平に工藤阿須加、美代子に早見あかり
これってちょっとイメージがちがうように思いましたが、
終盤になればどちらもそれっぽくは見えてくるものなんだなぁ。
結婚生活に不満タラタラの真珠の夫役が誰なのかは見てのお楽しみ。笑えます。
いつも品のよいおばさま役の富司純子、鬼婆役でもさすが。
彼女がいるから作品が締まる。

「正しいこと」は大切かもしれない。
だけど、時として「正しいこと」は「優しくない」。
「優しいこと」が「正しいこと」よりも大切なときもある。
これには大きくうなずきました。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ミス・ペレグリンと奇妙な... | トップ | 『破門 ふたりのヤクビョーガ... »

映画(か行)」カテゴリの最新記事