夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『イヌゴエ』

2006年05月08日 | 映画(あ行)
『イヌゴエ』
監督:横井健司
出演:山本浩司,村上淳,馬渕英里何,宮下ともみ,大森博史他
声の出演:遠藤憲一

犬よりも猫派の私ですが、これには脱帽。
絶対お薦めしたい大好きな1本となりました。

悪臭公害対策協会に勤める芹澤直喜は、
犬並みの嗅覚を持つ臭気判定士。
悪臭に悩む地域の住民からSOSがあれば現地に赴き、
自前の鼻で悪臭の原因を突き止める。

しかし、直喜は鋭すぎる嗅覚ゆえ、
そこらじゅうのモノのにおいが気になって仕方がない。
においを遠ざけるため、どこへ行くにもマスクを着用。
食事のさいには換気扇を回し続け、
自分の便のにおいが消えるよう、薬を服用しているほど。

ある日、そんな彼のもとへ父親から連絡が入る。
同窓会に出かけることになったので、
留守中、ホームセンターで拾った犬を預かってほしいと。
犬だなんてとんでもないと直喜は断る。

翌日、某会社に出向いた直喜。
それは最近妙な芳香剤を連発している会社で、
直喜に新製品へのアドバイスを求めたいと言う。
リゾート地の海をイメージした芳香剤シリーズで、
新製品とは「日本海」のイメージ。
嗅いだ瞬間、想像を絶するそのにおいに直喜は失神。

同僚が運んでくれたらしく、気がつけば自宅のベッドの上。
そして、かたわらにはフレンチブルドッグ。
気を失っている間にやってきた父親は
「犬をよろしく」とのビデオレターを残していた。

犬の面倒を見ざるを得なくなった直喜。
呆然としていると、どこからか人の声が聞こえてくる。
どうやら犬の心の声が直喜に聞こえているようだ。
しかももの凄いオッサン声でベタベタの関西弁。
直喜が話しかけてもそれに反応する様子はない。
こうして一方的に話す犬と直喜の数日間が始まる。

笑いのセンス、間合い、抜群。オマケは心地よい涙。
動物映画と言えば文部省推奨のお涙頂戴になりがちですが、
本作といったら、主人公の直喜はイケてない、
犬もお世辞にも可愛いとは言えないうえ、エロ親父的要素も。
ところが、嫌々ながら毎日を一緒に過ごすうち、
意外とイイ奴な犬に人生観まで変えられてしまいます。

直喜が上司にふっかける「町には町のにおい」の台詞に、
においと繋がる町や通りをいっぱい思い出しました。
阪神パークから甲子園球場へ向かう動物園のにおい。
摂津富田駅から川沿いに漂う明治製菓のチョコレート工場のにおい。

吸わず(嗅がず)嫌いはやめにして、
においを感じ取れたら幸せですね。

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