夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジュリエッタ』

2016年11月14日 | 映画(さ行)
『ジュリエッタ』(原題:Julieta)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:エマ・スアレス,アドリアーナ・ウガルテ,ダニエル・グラオ,インマ・クエスタ,
   ダリオ・グランディネッティ,ミシェル・ジェネール,ロッシ・デ・パルマ他

ダンナの国内出張中、月曜日は伊丹で2本。
火曜日は友人と焼肉食べ放題に行き、きっちり体重増加。
水曜日は体重を元に戻すべく、晩ごはん抜き。
晩ごはんなしでも空腹に気を取られないように(笑)、
連日終業後に遊び三昧でへろへろのなか、なんばまで映画を観に。

ちょっとご無沙汰のなんばパークスシネマ。
一時「なんばパークスシネマ地獄」に陥りかけましたが、
その都度発行される割引クーポンは無視することに。
で、クーポンは期限が切れてしまったから、
水曜日のみがパークスシネマで観るチャンス。

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の最新作。
前作の『アイム・ソー・エキサイテッド!』(2013)が半端にはっちゃけていたので、
これはどうかなと思っていましたが、好きでした。

マドリードで一人暮らしをする中年女性ジュリエッタ。
恋人のロレンソからポルトガルへ移住しようと誘われ、一緒に行くと決める。
荷造りを終えようかという日、街で懐かしい女性とばったり出会う。

その若い女性ベアは、ジュリエッタの娘アンティアのかつての親友。
つい最近、ベアはコモ湖でアンティアと会ったらしい。
コモ湖へ遊びにきていたアンティアはスイス在住、既婚で3人の子持ち。
急ぐというベアを引きとめ、ジュリエッタはアンティアの様子を根掘り葉掘り尋ねる。

実はアンティアは12年前に家を出ていったきり。
自らの意思でジュリエッタのもとを離れたことはわかっていたが、
娘のいない生活など考えることができず、
当時、警察に通報、探偵も雇ったが、行方を突き止められなかった。

ベアによれば、アンティアはジュリエッタがまだマドリードにいると思っている。
娘と再会する可能性があるのに、マドリードを去ることはできない。
ジュリエッタは理由も告げずにロレンソにポルトガル行きを断るのだが……。

所在がわからないから、書いても出すことのできない手紙。
そんな、娘に宛てた手紙の形で、ジュリエッタの過去が映し出されます。

どこか古くさい印象が残る映像。
しかしメロドラマ的なストーリーとその映像がよく合っていて、
睡魔に襲われても不思議はないのに、眠くはなりませんでした。

ジュリエッタの夫であり、アンティアの父親であるショアン。
彼のいわばセフレで、ジュリエッタの親友にもなったアバ。
ショアンの家の家政婦を務めるマリアン。
そして絶望の淵にいたジュリエッタに笑顔をもたらしたロレンソ。
それぞれとの出会いや関係が丁寧に描かれています。

辛いときを娘に救われ、その娘が自分から去ることなど考えられなかった母親。
娘の気持ちをないがしろにしていたことには長らく気づけませんでした。
だけど、母親の気持ちは母親になるまでわからないものなのですね。
察することはできても、心の奥底までは同じ立場にならなければわからない。

じんわりと来るラストです。
冒頭の深紅が目に焼き付くシーンとは対照的な、ラストの美しい景色。
やっぱり観ちゃうんですよね、この監督。

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