「類は友を呼ぶ」という諺(ことわざ)が
ありますね。
一般的には、
「似た者同士が自然に集まる」とか
「同じ性質を持った者どうしが寄り集まる」
という意味で使われますが、
人と人の間には、
もっと深い内面的なレベルで、
引き寄せ合う力が働いていると思われます。
つまり、
同じ心の波長を持っている者どうしが
引き寄せ合い、つながり合うのです。
作家の宮本 輝さんが、
『命の器』というエッセイの中で、
次のようなことを書いておられます。
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運の悪い人は、
運の悪い人と出会って
つながり合っていく。
へんくつな人は
へんくつな人と親しんでいく。
心根の清らかな人は
心根の清らかな人と、
山師は山師と出会い、
そしてつながり合っていく。
実に不思議なことだと思う。
「類は友を呼ぶ」ということわざが
含んでいるものより、
もっと奥深い法則が、
人と人の出会いをつくりだしている
としか思えない。
どうしてあんな品の悪い、
いやらしい男のもとに、
あんな人の良さそうな
美しい女が嫁いだのだろうと、
首をかしげたくなるような夫婦がいる。
しかし、そんなカップルを
じっくり観察していると、
やがて、ああ、なるほど と
気づくときがくる。
彼と彼女は、
目に見えぬその人間としての基底部に、
同じものを有しているのである。
それは性癖であったり、
仏教的な言葉を使えば、
宿命とか宿業であったりする。
それは事業家にもいえる。
伸びていく人は、
たとえどんなに仲がよくとも、
知らず知らずのうちに、
落ちていく人と疎遠になり、
いつのまにか、
自分と同じ伸びていく人とまじわっていく。
不思議としか言いようがない。
企んでそうなるのではなく、知らぬ間に、
そのようになってしまうのである。
最近、やっと
この人間世界に存在する数ある法則の中の
ひとつに気づいた。
「出会い」とは、
決して偶然ではないのだ。
でなければどうして、
「出会い」が、
ひとりの人間の転機と成り得よう。
私の言うことが嘘だと思う人は、
自分という人間を徹底的に分析し、
自分の妻を、あるいは自分の友人を、
徹底的に分析してみるといい。
「出会い」が断じて偶然ではなかったことに
気づくだろう。
(『命の器』宮本輝著より一部要約して引用)
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一流の作家ならではの人間観察ですね。
よき出会いをしたければ、
自分の心の波長(人間性)を高めていく必要がある、
ということですね。
野口嘉則
満月の法則」詳細はこちら
⇒ http://satoyasuyuki.com/book/life/book-358/