Un jour

〜アン・ジュール(ある日…)〜

詩のこと、そして日々のこと。

白茶を注ぎ・・・

2011-03-29 | 日記
三月の終わり。自分の誕生日など、忘れてしまいそうになっていた。
大事な友人から、木漏れ日のような細いリボンがかけられた、白い小箱をもらった。
なかには、中国茶の一種という、白茶が丁寧に詰められていた。

いま、多くのひとは、遠くて近い町の寒空や、未知の、けれど慕わしいだれかを思い、傷んだ目を何度も何度もこすりながら、少しずつでも歩き続けようとして、明度を増しつつある空へ、顔を上げ始めたところではないだろうか。

顔も見えぬ、けれど、この瞬間にも懸命にひたむきに生きようとしている、北の町の命のいろ、かたちにかえって励まされながら、風や水の冷たさや、春のまばゆさを、かつてのどんな三月よりも、強く感じている。

自分以外のひとを思い、ゆっくり、ゆっくり、白茶を注ぐ。
口に含むと、ほのかな花の、やさしさ。
それは、遠くから風に運ばれてきた、無数の、祈りの歌のようだ。
束の間の花の甘さに、強く、強く目を閉じ、また開く。
これから、もっともっと、遠くを見渡せるように。

一日でも、一日でも早く、被災地のかたがたに、安心して暮らせるときが訪れますように。


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