実務家弁護士の法解釈のギモン

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時効の効力は権利の取得?消滅?(6)

2017-06-09 15:20:33 | 民法総則
 時効の存在根拠に照らして考えれば、おそらく③の証拠の散逸からの救済がメインの存在根拠なのであろう。
 ただし、神のみぞ知る権利関係からすれば、「有」が「無」になる関係が生じている可能性を否定できないし、もっと言えば、本当は「有」であることを争える状況ではないのだが、時効を利用して当事者が意識的に「有」を「無」に変換してしまうことも認めざるを得ない。そうでないと、時効制度は機能しなくなる恐れがあるからである。そうだとすると、①権利の上に眠る者は保護しない、という存在根拠は、時効制度を裏から支える正当化根拠ということになるだろうと思っている。
 ②の、事実状態の法的保護も、現状維持ということからすると存在根拠となり得そうだし、そう考えて何の問題もないとも思うが、私自身は、あくまでも時効が認められることによる機能面を言っているに過ぎず、それ自体は存在根拠にはならないのではないか、という気がしている。
 ただ、いずれにしても、この存在根拠論は、争いのある権利関係の処理と考えると、全体としてそれ程重視されるものではないだろう。
 以上のように、消滅したものと「みなす」、取得したものと「みなす」。これが、私の考える時効の効果であり、学説的に言えば、いわば擬制説である。
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