河口公男の絵画:元国立西洋美術館保存修復研究員の絵画への理解はどの様なものだったか?

油彩画の修復家として、専門は北方ルネッサンス絵画、特に初期フランドル絵画を学んできた経験の集大成を試みる

林先生が驚く、初耳学・・・TBSの番組から

2016-10-17 21:59:50 | 絵画
番組の中で、「浮世絵の背景に青が使われるようになったのは、プルシャンブルーという絵具が発明され、大量にに青が使われるようになったら・・・・。先生ご存知でした?林先生は「知ってました」という返事。
えー?そうなの?私は知りませんでした!!
本当ですかね?
番組では、初期の浮世絵(美人画)と広重の《東海道五十三次》の一枚の部分を紹介して、前者は背景がなく、後者は遠景に風景が描かれ、青が使われているものを比較させた。今まで使われなかった青が、プルシャンブルーが使えるようになったから・・・・というような発言で・・・進行役のアナウンサーが「先生、お見事です!」という。
いやー知りませんでした・・・。いやいや先生!青色が日本には無かったような話はいけませんよ。
この国には昔から…おそらく古代から・・・、量は少ないものの世界各地でとれる岩群青(アズライト、藍銅鉱、塩基性炭酸塩)と藍(あい、インデイゴ)が使われてきたし、青がなかったような話にしてはいけませんよ。それまでの日本画には多くの青が使われてます。
初期の浮世絵は当初は白黒の線描の版画であったものが、大衆的要望によって、手彩色で色付けするようになり、さらに百年の歴史の中で色摺り版画として庶民に愛されるようになったもので、青色がなかったから初期版画が色なしのモノクロだったわけではないのです。またプルシャンブルーが手に入ったから青が摺られたのでもありません。これは時代の中での表現様式の変化と考えるべきでしょう。

当時の青、群青は鉱石として出たものを、粉砕して水簸(すいひ)したものを粒子の細かさで分別し、それぞれ色の濃さ、粒子の大きさが異なるものを、用途に応じて使ってきた。粒子が細かいと乱反射が大きくて水色のように明るく、粒子が大きいものは青さが濃い。これは水性絵の具として用いるのは構わないが、油と混ぜて用いると屈折率のせいで、暗く濁った色になり、美しい青味は失せて適しなかったために、鉛白と混ぜて青味を際立たせて用いられた。西洋では中世期からラピスラズリという青色絵具は世界の大半がアフガニスタンで産出し、日本で使われた証拠はないが、用い方は群青と同じである。
マルチタレントの林先生ですが、TBSのプロデューサーのいうがままに従っていると、博識に傷がつきますよ。
しかしプルシャンブルーが浮世絵に使われているとは知りませんでした。誰か裏付けを採ったのでしょうか?文献などありましたら教えてください。

そこで、取りあえず本に書かれているような知識だけは提示しておきましょう。
プルシャンブルー(プロイセン青)1704年にドイツで発明された。フェロシアン第二鉄またはそれに類似した化合物であるとか・・・この鉄の化合物は占領に近い性格を有しており、様々なバリエーションで類似した製法があって、色味も濃青色から黒青色や赤みを帯びたものまである。透明性のある染料の性格をしているが、細かな粒子で、沈殿してできる。これを用いて鉛白を染め付けると目に見えるほどの顔料になる。
この微粒子染料でプロイセン軍の軍服を青色に染めたらしい。
光や空気にかなりの耐久性があるとされているが、アルカリには鋭敏に反応して弱く、褐色に変色する。アルカリの石灰で地を作るフレスコ画には用いられなかった。酸には強いらしい。油に混ぜると褐色に変色することがあるらしい。今日ではペイントや印刷用インクとして用いられる。

そこで発明は1704年でも、詳細な製法が公表されたのは1724年でヨーロッパ全体で生産されるようになったのは1750年頃だそうだ。最初に絵に用いられたのは1770年で、その後ありふれたものになったらしい。
私が画学生であった1970年頃にプルシャンブルーの油絵の具があったように思うが・・・いつの間にか無くなった。私の正直な感想は「汚い青色」であった。ボールペンの青色と同じで美しくはなかった。

そこで最初に戻って、時代のことを言えば、広重の浮世絵は1835年頃の版である。空の青は地平線から薄青い色から濃い青になるが、プルシャンブルーの色味ではなかった。当時はまだ完全な開国はされておらず、輸入していたとは・・・知りませんでした。
勿論日本での生産はあり得ない話だ。
しかし林先生がプルシャンブルーだとおっしゃるなら、ぜひ文献などを紹介していただきたく思います。
河口公男の初耳学です。
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