時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

リビア問題・補足

2014-03-01 23:16:30 | リビア・ウクライナ・南米・中東
紹介した翻訳サイトにカダフィが統治していた頃のリビアを知るのに
良い記事があった。日付は2011年10月26日、ちょうどカダフィが殺された直後だ。


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●リビアで二度と見られなくなる16項目


 リビアには電気代の請求書が存在しない。電気は全国民、無料だ

 融資には金利がなく、リビアの銀行は国営で、
 全国民に対して与えられる融資は、法律で金利ゼロ・パーセント。

 リビアでは住宅を所有することが人権と見なされている。

 リビアでは全ての新婚夫婦が、新家族の門出を支援するため、
 最初のアパート購入用に、政府から60,000ディナール(50,000ドル)を受け取る


 リビアでは教育と医療は無償。
 カダフィ以前、識字率はわずか25パーセントだった。現在、識字率は83パーセント。

 リビア人が農業の仕事につきたい場合には、農園を始めるための
 農地、家、器具、種、家畜が、全て無料で与えられる。

 リビア人が必要な教育あるいは医療施設を見いだせない場合、
 政府が外国に行くための資金を支払い、さらには実費のみならず、
 住宅費と自動車の経費として2,300ドル/月、支払われる


 リビア人が自動車を購入すると政府が価格の50パーセントの補助金を出す。

 リビアの石油価格は、リッターあたり、0.14ドル

 リビアに対外債務は無く、資産は1500億ドルにのぼるが、
 現在世界的に凍結されている。

 リビア人が、卒業後就職できない場合は、
 本人が雇用されているかのごとく、
 特定職業の平均給与を職が見つかるまで国が支払う


リビア石油のあらゆる売上の一部が
 リビア全国民の銀行口座に直接振り込まれていた。

 子供を生んだ母親は、5,000ドル支払われる。

 リビアでは、パン40斤が0.15ドル。

 リビア人の25パーセントが大学の学位を持っている。

 カダフィは、この砂漠国家のどこででも
 自由に水が得られるようにするため、大人工河川計画として
 知られる世界最大の灌漑プロジェクトを遂行した


http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/16-6517.html
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石油産出国という強みを最大限に利用した強福祉国家。

雇用と若い母親の支援策をみれば一目瞭然だが、
この国は若者を大切にする国だった。


翻って日本。

若年者の労働は基本的に本人任せ。
ブラック企業に勤めようがうつ病で失職しようが
本人が悪いと決め付け知らん顔。

就職できない若者を世間が嘲笑うのがデフォルトとなっている。

出産には入院費等を含め40万。結婚式にも数十万。
こども手当や(高校の)学費無償は廃止され、消費税は増すばかり。


これだけ欠陥が明らかなのに一向に修正されるばかりか
いつのまにか大衆とメディアが諸手をあげて
靖国マニアの極右首相をほめちぎる始末だ。

これが民主主義国だ。

イギリス(のちにアメリカに移住)の作家ハックスリは
『すばらしい新世界』という作品でソビエト連邦を批判した。


そろそろ『すばらしい民主主義国』という本も書かれるべきでは?


・・・とまぁ、かなり毒を吐いたが、リビア問題に対して思うのは
リビアやシリア、中国や北朝鮮のような他国を異様に描くことで、
相対的に自国の美化に努めているのではないだろうか
ということだ。


靖国参拝?君が代強制?軍拡?
リビアをみろ、北朝鮮をみろ。あそこと比べりゃまだましだ。

こう言っているような気がしてならないのである。


冷静に考えれば、アベノミクスや靖国参拝、いずれも破たんした
経済、外交政策であるのは明らかだし、実際に前代未聞の円安で
過去最大級の貿易赤字と石油高を招き、アメリカ政府にすら
「失望した」と見放される状態に陥っているのに、
それでもなお、安倍政権を美化、その成功を吹聴しているメディア。

その最も強力かつ最大の組織であるNHKの経営陣は
安倍が推薦する極右の人間が陣取っている。


これほど露骨な独裁はないと思えるが、それでもなお、
日本はリビアよりは民主主義国家なのである。



ここで問題となるのは民主主義を至高の存在とみなし、
それと違える制度を敷く国は劣った国、解放されなければ
ならない悪しき国と決めつける癖が左翼にもついていることである。

というより、左翼のほうが反権力を気取っているだけあって、
余計に性質が悪いといっても過言ではない。

自国に対して究極のところでは、
リビアや北朝鮮寄りはマシという世界観から、
徹底的な批判をしているつもりでも、実のところソコソコ批判しているだけで、
なんだかんだで文句を言いながらも追従している。それがリビア爆撃の称賛だった。


私は前回の記事で、世界観は非常に大事だと述べたが、
民主主義を義務と捉える人間が逆説的に本来の意味で
非民主的な国家を作り上げ(あるいは不平を言いながら黙認し)ている
ということを認知しなければ、今後も我々は
第2、第3のリビアを見殺しにしてしまうのではないか
と思う
のだ。


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