南英世の 「くろねこ日記」

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政局と国会の解散

2017年08月09日 | 日常の風景
 
 安倍内閣に対する国民の支持率が低下している。今、衆議院を解散すれば、自民党は確実に議席を減らす。だから、安倍首相は解散をすることができない。首相は解散権を「脅し」としてちらつかせることによってリーダーシップを発揮する。「俺の言うことを聞かなければ、お前たちをクビにするぞ」(笑)。

誰だって解散は嫌だ。金もかかれば落選する恐れもある。だから、首相の言うことに従う。しかし、政権を私物化し内閣支持率が低下している現在、その伝家の宝刀を抜くことは難しい。となれば、首相の求心力は嫌でも低下する。ポスト安倍をめぐる駆け引きが水面下で始まっている。



1.自民党の派閥

 自民党には派閥がある。1993年に小選挙区制が導入され、2001年の小泉内閣の「自民党をぶっ潰す」宣言で、だいぶ派閥の影響力は小さくなった。とはいえ、いまなお派閥は存在する。大きさ順に並べると次のとおりである。

 ① 細田派(96人)
 ② 麻生派(59人)
 ③ 額賀派(55人)
 ④ 岸田派(46人)
 ⑤ 二階派(42人)
 ⑥ 石破派(20人)

 一口に自民党といっても、タカ派もいればハト派もいる。タカ派の代表は安倍首相のいる細田派(清和会)である。細田派は岸信介・鳩山一郎の流れをくむ保守の名門派閥である。岸は元皇学館大学総長を務めたこともあるということから、その思想は理解できよう。森喜朗もかつてはこの派閥に属した(当時は森派を名乗った)。

 これに対して、ハト派の代表は岸田派(宏池会)である。自民党の中にあって、リベラルを看板とする。宏池会は、吉田茂の直系の弟子である池田勇人によって創設され、池田をはじめ大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一の首相を輩出した名門派閥である。現在、岸田派を名乗るが、実質的オーナーはまだ古賀誠である。

 一方、田中角栄→竹下登→小渕恵三→橋本龍太郎の流れをくむのが、平成研究会で知られる額賀派である。この派閥も吉田茂に源流を持つ保守本流の名門派閥である。

 このほか、2017年5月に少数派閥が合流し、59人になった麻生派などがある。



2.ポスト安倍
 
 自民党は55年体制の下で38年間政権を担当してきた。しかし、自民党による長期政権が続いたとはいっても、その中でハト派、タカ派、金権派など、毛色の違う派閥が交代で政権を担うことによって、派閥の中で実質的な政権交代を行なってきたといってよい。

安倍内閣になってから、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保関連法、共謀罪など、右寄りの法律がかなり強引に作られてきた。こうした安倍政治に危機感を持ち、そのおごり高ぶった政治姿勢に鉄槌を下したのが2017年7月の東京都議会選挙である。自民党は歴史的大敗を喫し、「公明党の下駄を外せばこの程度の実力だったのかと」思い知らされる結果となった。

こう考えると、タカ派の次はハト派の出番(?)である。宏池会のプリンス岸田文雄が次期首相に最も近いとされるのも故あるべしである。国民に一番人気が高いのは石破茂なのだが・・・・・。
さて、どうなることやら。



3.首相の解散権

 ところで、憲法が定める衆議院の解散方法には2通りある。7条解散と69条解散である。7条解散は、「内閣の助言と承認」によって天皇の国事行為として解散するものである。これに対して69条解散は、衆議院で「内閣不信任決議」が可決され、その結果、内閣が解散を選択するものである。通常は7条解散が一般的であり、69条解散は戦後4回しか行われていない。

 しかし、考えてみれば7条解散とは「変な」解散方式である。内閣総理大臣が、与党にとって一番有利な時期を見計らって解散を選択できるのである。こうした解散方式は憲法違反ではないかとして、1952年、衆議院議員苫米地義三が解散の無効を主張し歳費請求訴訟を提起した。しかし、最高裁判所は統治行為論を採用し、高度に政治性のある国家行為については裁判所の審査権の外にあるとして、上告を棄却した(苫米地事件)。そして、これ以降は7条解散が一般的となり定着した。

 首相の解散権について、例えばドイツの場合、首相には任意の時期に解散を命じる解散権は認められていない。どうしても議会を解散したい場合には、自分の党の議員に命じて、わざと議会に内閣不信任決議を可決させる。議会が内閣不信任決議を可決しない限り、首相は議会を解散することができない仕組みになっている。

 イギリスも同様である。2010年までイギリスの首相は日本と同じように解散権を持っていた。しかし、2010年に「議会任期固定法」が成立し、これによって任期満了まで解散できないことになった。今はイギリスの首相は解散権を持っていないのである。どうしても下院を解散したい場合には、下院の3分の2以上の多数の賛成を得るという高いハードルを越えなければならない。与党だけではなく議会の多数が賛成した場合のみ、解散・総選挙が実施されるのである。

 一方、日本では「解散は首相の専権事項」「解散時期について首相は嘘をついてもよい」などと言われる。しかし、国民によって選ばれた国会議員を、政局の都合で首相が自由に解散できるとする現在の憲法解釈は、首相の権限(=行政権)をいたずらに強化するものであり、好ましいとはいえない。解散は69条に限定すべきである。



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