乱文御免!映画とドラマの感想を書いていくブログ

子供が生まれてからはなかなか更新出来ていない上に、子供向けコンテンツの鑑賞の機会が増えました。

鍵泥棒のメソッド

2013-10-30 02:52:55 | Weblog

内田監督の作品は初見だったのだけど、なるほどね。脚本も書く監督さんなのか。伏線が上手く張られていてよく出来た話だなと思った。まぁ、細かいところをつっこみたい人にとっては、後半の展開なんかはざっくり過ぎるかなという印象かもしれないけど、ストレスなく、純粋に楽しんで観られる。と言っても、軽い娯楽作というチープさもない。ちゃんとした映画になっている。ここら辺のバランスがいい作品だと思う。

記憶喪失になった香川照之が、底辺の生活をしていた堺雅人の人生を代わりに生きることになったものの、その真面目さ、几帳面さで、底辺から結構いいところまで這い上がっていくのが笑える。もし、自分が同じ立場だったらどうだっただろうか。。と思ったりもするし、人間、環境が悪くても、元の性質次第では人生って何とかなるものなのかもとも思えてくる。

ネットのレビューに、役者の良さを殺している。みたいなのがあったけど、殺すまではいかなくても、脚本が中心で役者はコマだという印象はまぁ、少しだけあるかな。往年の堺雅人ファンとしては、他の作品の方がもっと堺雅人の良さが出ているぞと思ったりもするし、香川照之は相変わらずとっても上手いんだけど、この作品で良さを発揮しているというよりは、元々演技の上手い人がいつも通りに本領を発揮しているという印象。

広末涼子は良かった方だと思うけど、他の人がやってもそれなりだったかもとも思う。ただ、個人的にこのキャラは結構好き。一流品にやたらと詳しい本物志向という設定が、同じ志向の広末の家族も合わせて、嫌味を感じさせないのが良い。あと、広末が編集長を勤める編集チームの人達が広末の婚活に協力する様も、見ようによってはイタいキャラの編集長をバカにもせず、淡々と真面目に協力しているのが素敵だなと思う。

ところで、この作品での広末の役柄はそのままリーガルハイの裁判官役に引き継がれている感じがする。裁判官の方がだいぶ性格が歪んでいるけど、演技のベースは似ていると思う。両方共、地味なバリキャリで男に縁がないという設定がそう思わせるのかなと思うが。

荒川良々は悪役だったけど、最初から最後まで間抜けないい人に見えてしまった。悪役で出すなら鶴瓶みたいに、安心感がある容姿で実は鋭い人とか怖い人っていう演出の仕方もあったと思うんだが、あれはあれで良いのか???

森口瑤子は地味さと派手さのギャップが激しくて、こういう役にはピッタリの人だと思う。顔立ちの整った華やかな美人だけれども、化粧っ気がないと一気に生活感のあるおばさんになれる。

全体的に、この作品は役者の良さを生かすというよりは、脚本の面白さを、演じる人達がソツなく表現したという印象を持った。だから、エンターテイメントなんだけど、職人さんみたいな堅気の仕事振りをそれぞれに感じた。