キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

ソウイウモノ

2008年05月31日 | 雑文
 平たく言うと、ろくでなしだ。
 居心地が良いのはただの生存本能。人を近づけず、遠ざけもせず、いつでも切り捨てる準備をしていながら、両手を広げる振りをしている。
 だから、人から熱を奪わない割には、温度もなまぬるい。
 手が冷たいのはただ血行が悪いからだとか、背を丸めるのは支える筋力が足りていないからだとか、淡々と言う。
 勝手に出かけて、勝手に帰ってくる。
 たとえば、鬼束ちひろの『私とワルツを』に千昌夫の『星影のワルツ』を返すような、重なり合ったと思った部分が決定的なズレだったりする、そういうことを(多分)わざとやる。
 人の気持ちに寄り添うようで、ただ居るだけ。それで充分と言ったら居なくなる。
 踏み込むようなことを言ったかと思えば、視線を向けたときにはもう別のどこかへ行っている。
 空気のような軽やかさと寒々しさとを内包しているから、暖かくはなりきれない。
 けれど、温度を必要とするときには大体そば近くにいて。
 ほどよいなまぬるさに溶かされたりもする。
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a literateira dizeu um devaneiro

2008年04月27日 | 雑文
 王は老いる。そして騎士も。
 至高の若き騎士を失った今、この国が向かう先はたったひとつ。
「王がこの地を統べるのが運命だったと云うのならば、俺がそれを終焉に導くのも運命」
 笑いとばせよ、いつもみたいに。
 そうすれば、俺はおまえを叩き斬れる。
「運命に抗うことなど、結局無意味だ」
 さあ、笑えよ。お前は、そうするだろう?
「……何を自棄になって―――」
 声はそこで途切れた。陽気な皮肉屋は、倒れたきりもう何も云わなかった。
 血に染まった剣を片手に、理想屋は不機嫌そうに俺を睨んだ。
 倒れた男を見下ろす。
 ただ、血が広がってゆく。
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慎みをもってラをカタカナ表記とする

2008年04月06日 | 雑文
『ちょっと待ってて』
 電話越しの声は、終わり頃が少しくぐもった。電話口に手でも当てたのだろう。
『みーさん! そんな格好でうろうろしないでっていつも言ってるでしょ!』
 受話器を顔から離さないで怒鳴っては、手を当てた意味はほとんどない。
『ユリイカ!』
 どうやら、よく通る声の旦那さんはラ族らしい。
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それは誤解なのか

2008年03月08日 | 雑文
 必死にしがみついて自分の体温の移ったものを「そんなもの」と言い捨てられた。
 自分を指さされたみたいだと思った。
 手放せば違う温度になる、手放したくないもの。
 近い温度であればいい。自分の一部であればいい。混ざり合ってしまえばいい。
 「そんなもの」
 後生大事に抱え込んでいるものを指さしたら、どちらのことを言っているのかわからない。伝わらない。

 本当は「そいつと換わりたい」と言いたいのは顔を見ればわかる。
 でも「そんなもの」とそんな風に言う近さのある人は換えられない。

 結局、指は丸まる私の背を指した。
 私でない大切は近さを捨てた。

「そんなくだらないことにこだわってないで」と言われたものは、今は私を構成する一部に過ぎない。
 私はずいぶんくだらないものになってしまったらしい。
 近きは消えて遠くなった。これから関わることもないだろう。
 その分ずいぶん気が楽になった。
 私は「そんなもの」とともにあり、これからもきっと
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万物変化

2008年02月21日 | 雑文
どんな運命もいつかはこの手をはなれる

私がこの手を はなす
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そくらてす

2008年01月23日 | 雑文
今日も 町の名前で 人が死んでゆく
遠い 空の下で  遠くない 空の下で

今日も 町の名前で 人が死んでゆく
遠い 遠くない この空の下で 
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