ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

日本のビールの元祖。滋賀県甲賀市牛飼集落「総社神社」に伝わる、「麦酒祭」(むぎさけまつり)。

2016-08-04 | 奈良、近畿

「祇園祭の時期に行った、滋賀県のお祭りのこと、お話しなくちゃ~」とミモロ。そう、それは7月18日のことです。

ミモロは、滋賀県甲賀市にいるお友達に「すごく珍しいお祭りがあるけど、ミモロちゃん来ませんか?」と誘われました。
そこでミモロは、山科駅からJRを乗り継ぎに、約1時間。「貴生川(きぶかわ)」という駅に降り立ちました。
 
「この辺りって、田んぼ多いんだね~」
車窓の景色は、青々育つ稲が一面に広がっています。

滋賀県は、豊かな水から農業が盛んな県。お米だけでなく、麦の生産量は、全国4位。(もちろんダントツ1位は、北海道)。
初夏になると、琵琶湖周辺をはじめ、各所には、黄金色の麦が実ります。「麦秋って、夏の季語なんだよね~」とミモロ。

駅に迎えに来てくれたお友達に連れられ向かったのは、「山岳信仰の拠点・甲賀忍者の発祥の地」にある「総社神社」です。
田んぼに囲まれた場所にある集落の神社。田んぼの先には、飯道山系という修験道の聖地をのぞみます。

実は、この辺りは、横穴式石室をもつ古墳群があり、すでに古墳時代に集落があったのです。
神社のある地区は、「牛飼」という地名。なんでも聖武天皇が紫香楽野宮造営にあたり、農耕奨励のために牛を飼ったことにちなむものだそう。

その集落の鎮守社が、ご祭神 大己貴命(おおなむちのみこと)を祀る「総社神社」です。
 

さて、ミモロが訪れた7月18日は、「麦酒祭」の日。室町時代初期に本殿修復の折に、新麦をつかい麦酒をつくり奉納。麦の豊作に感謝し、毎年の豊穣を願ったことに始まる神事。その日以来、絶えることなく、宮守が醸造人となって麦酒を奉納しているのだそう。

神社の社務所の座敷には、奉納する麦酒が用意されています。
 
醸造された麦酒の樽が並び、地元で収穫された小麦・大麦・はだか麦・ビール麦が供えられています。

いよいよ神事が始まりました。

ミモロは、神事を外で見守ります。


奉納される麦酒とは、どういうものでしょうか?

室町時代から続く麦酒奉納。その醸造方法は、今も昔ながらの方法を伝承しています。

祭りが行われる7月18日に合わせ、前日の17日の朝、神職ら7人が、飯道山の谷川の水を200リットル汲みに行き、その水で祭りすべてを賄います。

汲みだされた水は、布でこし、一度沸騰させ、それを36度に保ちます。

蒸した麦と麹を、樽の中にいれた15リットルのお湯と合わせます。
それから30分ごとに、樽の温度を測定。温度を一定に保ち、麹の自然発酵を促します。
17日の夕方ぐらいから、泡が出て、発酵がスタート。

気温が高いと、発酵が進みすぎて、18日の神事にちょうどいい具合にならないのだそう。

発酵の具合を、神職などが徹夜の寝ずに番をして、発酵が進みすぎる場合は、ビニール袋に氷をいれて、樽の中を冷やします。気温が低いときは、ストーブなどで温めるそう。
「いい状態で発酵を止めるのが、すごくむずかしいんです」と。

完成した麦酒は、本殿に運ばれ、そこで神事が行われます。
  
「今から神事はじまるんだ~」とミモロは、また遠くから見守ります。


神事の間、ミモロは、麦酒を作った場所の見学に・・・・地元の方が忙しそうに作業をしています。
 
直会で氏子の人たちにお渡しする麦酒の瓶詰作業の真っ最中。ビール瓶に詰められた麦酒。その蓋は、杉の枝です。
「杉には、抗菌作用があり、また発酵を続けている麦酒を密閉しないように、ほどよい隙間ができるので…」
なるほど、杉の枝の蓋・・・昔は、きっと信楽焼の徳利などに入れていたのかもしれません。

「あ、記念撮影してる、神事終わったみたい…」


「参拝者の方は、こちらに~」との声で、ミモロたちは、拝殿へ。そこで麦酒を頂きます。
 
「甘いいい香りがする…クンクン・・・」昔ながらの方法で醸造された麦酒です。
「おかわりしてもいいんだって…」

地元の方によると、今年のできはよいそう。年によって味が微妙に異なるそう。

麦酒のそばには、ちょっと塩味がするジャコが…それをつまみながら麦酒をいただくと…
「美味しい…やっぱりお代わりしようかな~」

麦酒のお味は、どぶろくに近く、韓国のマッコリに似ています。

神様に奉納する麦酒を頂き、「なんかありがたいね~」とミモロ。


「美味しかったね~」と、このエリアが地元のイラストレーターの松取りむうさんに偶然お目にかかりました。
「うん、美味しいね~」とミモロとも意気投合。


「総社神社」のご祭神は、大己貴命。大国主命さまの別称です。
「縁結びの神様だから、いろんな出会い作ってくれるんだ~」とミモロ。

歴史の深い滋賀県。ミモロの知らないことがいっぱい…。
「ホント、滋賀県っていろんなお祭りあるんだよね~。京都からも1時間くらいで行けて、みんなが思うほど遠くないの…」

京都ほど観光客も多くなく、歴史好きには、見逃せないところです。

*「総社神社」滋賀県甲賀市水口町牛飼 交通:JR草津線貴生川駅からバスまたはタクシーで10分。

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