2016年の初夏頃のこと。
私は珍しく夜更かしをしてしまって、
夜中の3時まで起きていました。
その日に限って、部屋の昼夜灯(ちっちゃいランプ)なんか点けてみて、
とろ~んとした夕方のような明かりの中で、半分まどろみつつ、
神棚にむかって今日一日の感謝を捧げていました。
すると、神棚の中から、かわいい声がするのです。
「あれ、もういいのかな…?」
もう、最高に可愛い、マシュマロのような甘くピュアな声が。
とっさに、天使に違いない!と思いました。
そして、カタカタカタ、と木製の神棚を鳴らしながら出てきたのは、
ごきぶりでした。
M:(再び)「きゃあ~!!」G:(再び)「ああー!!」M:(再び)「どうしましょう。」G:(再び)「どうしよう、わたし。」
引っ込んでもらいましたが、こちらの心臓もあちらの心臓も、ドキドキがとまらないのが、空気を伝わってきます。
その後、私はなすすべもなく、ノイローゼのようになって、
このおそろしい共存状態に耐えながら、今ひと晩の眠りにつきましたが、
ただ黙ってはいけません。
翌日、防虫剤をたくさん買い込んできて、
神棚の周りに重点的に、食器棚や、逃げ出しも欲しくない所に、部屋中に
せっせ、せっせと撒き始めたのです。 これは、私からのメッセージです。
「このお家には、絶対に絶対にはいっちゃだめですよ!」
今すぐ、自らの意思で出ていくように、勧告したわけであります。
だって、ごきぶりは素早い。追って捕まえて追い出すよりは、自分の脚で出て行ってもらったほうが、何万倍も早い。
防虫剤の香りをあびせられた、ごきぶりは、
最初はぱたぱたと苦しんでいましたが、すぐに静かに耐えるようになりました。
私の方が、「死んじゃったかな?もしかして、殺しちゃったかな?」
と、心配で心配でしかたなく、こわくてたまらなくなりました。
数日後、神棚に向かっている時に
例のごきぶりのピュア・ボイスで
「どうしてこんなに苦しい目に遭わなきゃいけないの?何も悪い事してないのに。」
と、恨みがましい事を言っているのが、聞こえてきました。
M:「えー、単純に出てけばいいのに。」(汗)
なんで、素直にすみやかに退去するという発想が生まれないんだ。なぜなんだ。
双方、壁に突き当たり、解決の見通しなし。
このままではノイローゼになってしまうと思った私は、
神棚に熱心に祈りました。
神様のお慈悲なのでしょうか、
五日間ほど経ってから、例のごきぶりは神棚を出て、ドアの蝶番の所ではさまれて、
事故により死んでいました。
mimoko