一昨日の、
2009年7月24日(金)に福岡県等で大きな被害を出した豪雨に続き、
2009年7月26日(日)も九州北部で集中豪雨による被害が出ました。
天気図を見ても前線は九州北部で再び停滞。
24日との違いは西南西から東北東へ雨雲が流れたために、
長崎県、佐賀県でも大雨が降り続きました。
九州の南東海上には数日前から渦を巻いた雨雲があり、
低気圧の発生もまた梅雨前線の活動に影響を与えたようです。
また報道によると24日の豪雨災害は、
南西海上からの湿った空気による湿舌が大きな原因だったとされます。
今後気になるのは日本列島に次々と西から雨雲を運ぶ中国大陸の状況。
情報は未確認ですが、
アジア各地でも大きな気象変化が出ているような気がします。
7月21日山口県防府市での豪雨災害の記事でも触れましたが、
エルニーニョの影響を否定できません。
*長崎県で過去例のない大水害が起きた昭和57年(1982年)7月23日。
1時間に187㍉の降水量は国内で最高の降雨量を記録。
降り始めからの24時間の雨量は500㍉を超えています。
実はこの年もエルニーニョの年でした。
~今年フィリピン沖での強い台風の発生が少ないのも、
エルニーニョ現象の影響が示唆されます。
~さらに2007年の記録的な暑さはラニーニャが原因とされます。
また日本の南海上(太平洋)での海面温度が平年よりも高く、
北海上(日本海)での海面温度が低いこと(温度差)も、
原因のひとつかも知れないと考えます。
さらに寒気が入り込みやすい状態も3月頃から顕著で、
石川県(日本海側)での暑さ寒さの寒暖差が激しいと感じます。
海面温度が高くなると海水の蒸発量が高まります。
南海上で低気圧が発生すると湿った空気が次々と北に流れ込み、
日本列島に位置する前線を刺激します。
また、
雨雲とは蒸発した水が空で塊となり冷却されることによって密度が高くなれば、
重さに耐え切れず地上に降りそそぎます。
夏に大雨が多いのは気温が高くなることで水の循環が激しくなるからで、
梅雨末期の大雨もまた、
6月と比較し7月は平均3度前後気温が上昇するためと考えられます。
~このことは太平洋高気圧の張り出しが小さければ、
8月も豪雨がおきやすい状態が続くことを示唆します。
本来なら日本では7月末までに太平洋高気圧が張り出すことで、
梅雨前線が北上し高気圧のバリア(防壁)の中で猛烈な暑さにさらされます。
~前線や低気圧は高気圧を嫌うため近づくことができない。
しかし今年は今日26日の時点で沖縄県以外では梅雨明けの実感できない状況。
少なくとも7月末まで梅雨明けは望めず日本列島では、
今後も大雨の危険が付き纏います。
~九州南部や関東も現在梅雨の只中に入っていると考えるべきでしょう。
梅雨前線は明日は南下するために、
今日大雨被害があった九州北部地方や中国西部でも一息つけます。
ただし日本列島にはインド洋(ベンガル湾)から伸びる大きな雨雲が、
次々と西に進行中で油断できない状態が続きます。
気象災害とは必ず幾つかの条件が重なることで起きます。
異常気象との言葉を頻繁に耳にしますが気象条件が合えば、
九州北部や中国西部を襲った豪雨状況は日本のどこでも起き得ます。
地球温暖化が進めば過去に豪雨被害が多かった九州での降雨条件が、
以北の他府県でも起こりうるかもしれません。
~ただし本州と比較し九州地区で大雨を降らせる原因は、
<西から東に向かう雨雲の最初の通り道になるから>
との着目点も必要でしょう。
明日は北から寒気が降りてくるとの気象予報が出ており、
大雨被害と同時に突風や雷の被害が出る可能性も示唆されています。
雨雲レーダーで雨雲の強さを確認し、
強い雨の地域が近づいてきたら、
可能な限り室内で待機してください。
集中豪雨の可能性のある地域は安全な場所の確認が必要です。
明日の日本列島はあちらこちらで荒れ模様の気配。
気が重くなります。
*無料の携帯電話用雨雲レーダーのURL
http://www.i.river.go.jp
~携帯電話に上記URLを入力してアクセスしてください。
アクセス(国交省のHP)後は指示に従い地域を選択してください。
選択後見やすいように静止画面に切り替え<お気に入り>に登録。
いつでも見ることが可能です。
お手持ちの携帯電話の入力の仕方が分からなければURLをドラッグし、
パソコンのメールから携帯電話にメールを送信。
受信メールを開いて直接アクセスすることも可能だと思います。
無料と言っても通信費はかかります。
専門機関の有料お天気サイトに登録されることをお薦めします。
<データ:日本気象協会/tenki.jp転載>
*日積算降水量の記録。
~2009年7月26日:積算雨量
1. 福岡 九千部山 :311.0mm
2. 福岡 太宰府 :285.5mm
3. 佐賀 嬉野 :211.5mm
4. 福岡 飯塚 :197.5mm
5. 佐賀 権現山 :195.5mm
6. 長崎 国見山 :188.0mm
7. 佐賀 八幡岳 :184.5mm
8. 福岡 博多 :176.5mm
9. 佐賀 多良岳 :175.5mm
10. 佐賀 佐賀 :170.5mm
*日積算降水量の記録。
~2009年7月26日:1時間最大雨量
1. 福岡 九千部山:76.5mm(11時)
2. 福島 金山:71.0mm(18時)
3. 福岡 太宰府:65.0mm(10時)
4. 京都 本庄:62.0mm(11時)
5. 高知 佐川:62.0mm(12時)
6. 長崎 松浦:61.5mm(9時)
7. 長崎 国見山:53.5mm(10時)
8. 兵庫 三田:51.0mm(11時)
9. 佐賀 権現山:48.5mm(10時)
10. 福岡 博多:46.5mm(11時)
*福岡県福岡市博多区
~時間別雨量(8時間)
13時: 0.5㍉
12時: 3.0㍉
11時:46.5㍉
10時:36.0㍉
9時:33.0㍉
8時:28.5㍉
7時:14.0㍉
6時: 7.5㍉
*福岡管区気象台は九州北部を襲った豪雨の原因を、
『湿舌(しつぜつ)』という現象とみている。
『湿舌』とは南西からの暖かく湿った空気が太平洋高気圧の縁(へり)を回って、
梅雨前線に流れ込む現象で等温線などでは舌のように見えることから命名。
同気象台によると、
湿舌が起きたのは7月24日:午後6時~同9時頃にかけて。
対馬海峡付近に停滞していた梅雨前線に南からの、
暖かく湿った空気が送り込まれ梅雨前線を刺激した。
これにより前線付近で積乱雲が次から次にでき、
先端が細くなった形に見える「テーパリングクラウド(にんじん雲)」が発生。
湿った空気が前線付近に供給され続けたことで猛烈な雨が、
長時間にわたって降り続けたという。
湿舌は梅雨末期特有の気象現象で大雨の原因とされ、
1982年の長崎豪雨など数々の災害を引き起こしている。
(2009年7月25日:読売新聞記事転載)
*気象庁は27日、
2009年7月19~26日に中国地方や九州北部に被害をもたらした豪雨を
「平成21(2009)年7月中国・九州北部豪雨」と命名した。
*26日午前11時10分頃、
九州自動車道(福岡~太宰府間)で土砂崩れが起き車両が巻き込まれた。
車両には男女2人が乗車しており遺体で発見された。
*27日午前1時15分頃に長崎県佐世保市で土砂崩れが発生。
水道管を3本破損し市内の約1万7800世帯が断水。
~以上Web記事を編集転載。
*九州北部での被害は27日午前10時現在で、
・死者:10名。
・行方不明:2名
・負傷:2名
・住宅損壊:57棟
・住宅浸水:3504棟
・がけ崩れ:625箇所
~西日本新聞調べ:2007年7月.26日。
<関連記事>
*九州北部の記録的集中豪雨と情報伝達:2009年7月24日
→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/60beced2629fd96c65c5a2a1e1389a5d
*平成21年7月中国・九州北部豪雨(気象庁PDF)
→ http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/new/jyun_sokuji20090719-26.pdf
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