2010年10月31日(日曜日)。
石川県金沢市JR金沢駅前に立地する石川県立音楽堂に、
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団が来演。
当日まで予定は未定だったが前日に県立音楽堂に電話をすると、
S席(5000円)のみ当日券を販売。
予定枚数210枚前後との情報。
気分はイッキに吹奏楽へ。
今日の午前は予定していた“すべき事”をしてお昼頃の電車でイザ金沢へ。
午後12時25分に金沢駅に到着。
前日電話で確認したとおり当日券売り場でなくチケットBOXで即時購入。
変則のチケット事情はS,A,B席共にエリア指定の自由席券。
開演まで時間があるので近江町の知り合いを尋ね1時45分まで滞在。
駅前フォーラスで、
ビートルズのリマスター赤盤、青盤をエコ・ポイント(JCB)で購入。
開場時間2時15分きっかりに石川県立音楽堂に到着。
★パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団:金沢公演☆
開場予定時間2時15分には既に長蛇の列。
予想はしていた事だが、
エリア指定で自由席の場合は基本的に全席自由と同じ。
指定エリアの中で少しでも良い席を取りたいのは人の心。
さらに吹奏楽のコンサートの場合は中高生の団体鑑賞も多い。
結局席に着いたのは2時35分頃。
石川県立音楽堂の場合、
2階最前列中央が一番良い音響とされている。
長蛇の列を見て2階席前列は諦め最初から1階席に入場。
ホール1F:中後列・中央に1席空いていたので着席。
石川県立音楽堂は比較的前方に音がこもりやすいので、
着席位置で音響環境はまるで変わる。
特に3階後列では後方まで音が届きにくく解像度が悪い。
*記憶:大阪のザ・シンフォニーホールで聴く解像度が最も素晴らしかった。
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団。
吹奏楽ファンにとって特別の響きのある権威ある名称。
特に1961年の来日公演と全日本吹奏楽コンクールでの招待演奏は、
当時の日本の吹奏楽関係者に大きな感銘と衝撃を与えたとされる。
2007年11月3日。
東京有楽町の国際フォーラムAホールでのギャルド日本公演を、
同日東京にいながらにして見逃した事は以前に記述。
翌2008年には、
NHK-BS&教育放送でAホールでのコンサート映像を放映。
関連記事→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20080207
映像を鑑賞しながら、
生でギャルドは観る事は一生ないのかな?と思っていたら、
偶然今週の週明け(10月25日)テレビでの告知で情報入手。
ようやくギャルドを体験する事ができた。
そしてその経験もまた、
一生忘れる事のない貴重な記憶となった。
演奏会の全体を通して、
素晴らしいものだったかと問われると疑問が残る。
曲により(私の感じ方に)バラツキを覚えた。
吹奏楽(管楽器を主体とした編成)と言うことで元気な楽曲が似合いそうだが、
前半の元気な2曲『キャンディード&ガイーヌ』の響きは強音・強奏を押さえ、
かと言って木管のバランスを保つわけでもなくアンバランスな響きに聴こえた。
演奏会の序盤にありがちな事態(力を押さえた合奏)だが、
特に吹奏楽器の場合は乾燥状態(喉の渇きや唇の状態)の影響で、
強音合奏は音の整いに不安が生じる。
出だしは安全運転。
そんな感じの立ち上がりだ。
『仮面舞踏会』は浅田真央さんでお馴染になったハチャトリアンの佳曲。
親しみのあるメロディーを余裕のある音量で膨らみを持って演奏。
そして本日のハイライトが訪れる。
レスピーギ作曲:『ローマの松』全曲。
理屈抜きで感動した。
パイプ・オルガンやピアノ、ハープ、鳥のさえずり。
この1曲だけで5000円也のチケット代金の価値はある。
臨場感&色彩感が豊かで緊張感も持続。
サックスのアンサンブルの素晴らしさやソロ楽器群の美音。
終曲の“アッピア街道の松”は吹奏楽ファンにも御馴染の曲だ。
~余談だが全日本吹奏楽コンクール発展期となる1967年の福岡電波高校、
1968年の豊島十中、1970年の富山商業高校等の名演が歴史に刻まれた。
“ローマの松”はギャルド初来日公演(1961年)での迫力ある演奏が伝説。
第3曲:ジャニコロの松の終盤に舞台照明を暗くし小鳥のさえずりから、
終曲:アッピア街道の松の導入部へ異動する演出はクラシックでは異質。
照明を暗くしていく際にオルガン奏者(片桐聖子さん)の後姿が浮かび上がり、
演奏会にドラマチックな効果をもたらした。
全体の響きの豊かさやパイプオルガンを交えたクライマックスの大音響は、
オーケストラ表現を超える興奮を覚えた。
1961年11月11日:東京文化会館での伝説の演奏は、
約50年の時を経て金沢の地で(私の中の)伝説になった。
私の隣に着席していた女性は感動に涙。
休憩中お隣さん(女性2人組み)と20分間の歓談。
声を揃えて「来てよかった。」と。
後半は『マーチ』が2曲(聴けてよかった)。
さらにお得意の『ボレロ』を手堅くまとめる。
其々のソロ楽器の音色の美しさを生で実感。
ただし私個人の感想は、
『ローマの松』で完全燃焼したために、
キズやピッチの不揃いが耳につき、
ラストの強奏も銅鑼の強音がバランスを害し、
少し疑問が残る演奏内容となったのは残念だ。
~オーケストラ演奏が耳に馴染んでいるため?
アンコールの3曲。
『熊蜂の飛行』のクラリネット合奏(囁くように一糸乱れず)はお見事。
『カルメン』前奏曲は無理をせず終曲前の安全運転?はやや消化不良。
『8 1/2』はフェリーニ監督の名作映画(ニーノ・ロータの音楽)のアレンジ。
~フィギュア・スケートの高橋大輔さんの『道』もフェリーニ&ニーノ・ロータ作品。
『8 1/2』は大道芸を思わす楽しい音楽で最後のアッチェレランドは圧巻。
楽しいひと時を過ごした。
帰り際に指揮者フランソワ・ブーランシェさんのサイン会の文字を発見。
パンフレットかCDを購入の方にもれなくサインを記入。
500円也の小さなパンフを購入。
既に行列。
でも行列を待つ間に並んで待っていた吹奏楽経験者の女性と会話。
「12時30分からのリハーサル観られましたか?」
えっ?
今日のコンサートはチケットを持っているとリハーサル見学が可能だったとか。
12時30分には会場に居たのでちょっと悔しいけど会いたい知人に会えたし。
彼女は学生時代のトロンボーン経験者。
『ローマの松』には感動したと語っていた。
そして、
「リハーサルでもローマの松の最初と最後やりましたよ。
制服でなく私服のパリの方々のセンスは新鮮でした。」
…。
やっぱり少しだけ後悔(笑)。
【金沢公演のプログラム】
*「キャンディード」序曲 (バーンスタイン)
*「ガイーヌ」より、剣の舞・レズギンカ (ハチャトゥリアン)
*「仮面舞踏会」より、ワルツ (ハチャトゥリアン)
*交響詩「ローマの松」全曲 (レスピーギ)
~休憩~
*サンブル・エ・ムーズ連隊行進曲 (プランケット)
*ロレーヌ行進曲 (ガンヌ)
*「ボレロ」 (ラヴェル)
アンコール
*「熊蜂の飛行」(リムスキー・コルサコフ)
*「カルメン」より前奏曲(ビゼー)
*「8 1/2(はっかにぶんのいち)」より(ニーノ・ロータ)
『2010年:日本公演スケジュール』
10月30日(土)横浜みなとみらいホール
10月31日(日)石川県立音楽堂
11月 2日(火)東京芸術劇場(学校公演・非公開)
11月 3日(水)ザ・シンフォニーホール
11月 4日(木)アクトシティ浜松
11月 5日(金)東京芸術劇場
11月 7日(日)周南市文化会館
11月 9日(火)聖徳学園:川並香順記念講堂(学校公演・非公開)
11月10日(水)桐蔭学園鵜川メモリアル・ホール(学校公演・非公開)
*笑ってコラえて!特別編集「吹奏楽の旅・完結編2時間SP」
~日本テレビ系列:2010年11月3日(水)午後7時56分~9時53分
吹奏楽(ブラスバンド)経験者でなくも、
吹奏楽の魅力に目を向けさせた功労番組。
2004年、2005年と放送され好評を博した番組の2010年版。
2004年版は第42回ギャラクシー賞テレビ部門で大賞を受賞し、
番組としては異例の(年末に)再放送された。
番組は、
“吹奏楽の甲子園とされる東京:普門館”を目指す、
高校生吹奏楽部員の日々の練習を追う。
吹奏楽関係者にとっては“特別扱い”される高校生の扱いに、
必ずしも好意的ではないとの声も耳にするが、
一つの目標に向かい努力する姿の尊さは、
感動がスポーツだけではない事実を世間に示した。
特に全国コンクール出場レベルは真に体育会系。
私自身は吹奏楽指導者(当時)の友人からの強引な誘いを受け、
1987年、91年、95年と普門館で高校の部と中学の部を鑑賞。
また大学・職場・一般の部は、
金沢市(旧)観光会館(89年)と大津市の琵琶湖ホール(98年)で鑑賞。
当時は朝日新聞社に往復葉書で応募券を送ると抽選で入手できたように記憶。
~ほとんどの作業を友人がやってくれたので私は何もしなくてよかった。
さらに良い席確保のための寒空の下での早朝からの行列も名物だった。
訂正:友人にメールで確認したところ吹奏楽連盟へ郵便為替(現金)送付後抽選。
1995年頃までは応募すればチケットは確実に入手できたようです。
現在は1日2部構成(前半、後半)になり一般発売もされることから、
近年の吹奏楽人気は普門館への入場チケットの争奪戦が熾烈。
さらにテレビ放送は決定的だったようだ。
…。
とそんな裏話。
<普門館大会のジンクス>
全日本吹奏楽コンクールでは
“出演順1番目(朝イチ)の学校は金賞を取れない”
と言うジンクスがあり大会出場校に怖れられている。
1991年:淀川工業高校の「シチリア島の夕べの祈り」序曲の演奏後、
友人と“朝1番の悲劇”について(2番も同様)話したのが、
5000人を収容できる大きな会場(国内2位=1位は国際フォーラムA)と、
10月後半~11月前半に行われる早朝の寒さと会場の冷たい空気が、
観客の入場の際に観衆の熱や吐息(呼吸)により急激に空気が変わること。
音は振動で耳に伝わるので5000人余りの人間の熱気が空気を湿潤にする。
普門館での朝1番の出演を審査員が判断する2階席前方中央周辺で聴くと、
確かに音が2階席まで届かず前のほうで沈んでいく(落ちていく)のが確認できる。
ギャルドの項目で序盤の安全運転と記入したが、
オーケストラ演奏会でも1曲目に序曲などの小品を演奏する慣例も、
そうした事実が要因にあるのかも知れない。
~ただしあくまでも推測の域を出ませんが…。
*クラシック倶楽部:大阪市音楽団(吹奏楽)演奏会
~NHK-BS2:2010年11月 9日(火)午前10時~10時55分(放送休止)
~NHK-BS2:2010年11月17日(水)午前10時~10時55分(放送終了)
最後に紹介するのは大阪市音楽団の記念すべき、
第100回定期演奏会の模様を録画中継。
指揮は秋山和慶さん。
個人的な話だが、
大阪市音楽団と言えば日本を代表する指揮者、
故・朝比奈隆さんが指揮したCDを最近入手(中古廉価)。
『マスク』(マクベス)や、
『吹奏楽のための交響曲』から第4楽章(ジェイガー)。
1970年にCBSソニーから年毎に定期的に販売された、
全日本吹奏楽コンクールのレコードを蒐集した人には、
懐かしさも感じる楽曲。
『吹奏楽のための交響曲』は1970年の天理高校の名演。
『マスク』は1972年の嘉穂高校の快演はマニア必聴。
でももし、
朝比奈隆指揮:大阪市音楽団の『マスク』を聴くチャンスがあれば!
ベートーヴェンの運命ヨロシク一度聴いたら忘れられない楽曲の仲間入り。
~朝比奈隆さん&大阪市音楽団には大栗裕さんの貴重な作品集も存在。
今回放送(3度目の再放送)される楽曲は、
“デメイの指環物語”と“バーンズの交響曲第3番”
どちらも吹奏楽のオリジナル作品で近年注目される楽曲。
NHK-BS:クラシック倶楽部では過去に、
<東京佼成ウインドオーケストラ演奏会>や、
関連記事→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20080311
<シエナ・ウインド・オーケストラ演奏会>を放送。
関連記事→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090412
吹奏楽ファンにとっては待ち焦がれた、
“西の横綱の演奏会”を是非お楽しみください。
<放送される曲目>
1:交響曲第1番 「指輪物語」から第1番 (デメイ)
2:.交響曲第3番作品89 (バーンズ)
指揮:秋山和慶
演奏:大阪市音楽団(吹奏楽)
~収録:2010年6月12日(土)ザ・シンフォニーホール~
★演奏会当日のプログラム☆
*交響曲 第1番 「指輪物語」:ヨハン・デメイ作曲
I 魔法使いガンダルフ
II エルヴェンの森“ロスロリエン”
III “スメアゴル”という名のゴラム
IV 暗闇の旅
a.モリアの坑道
b.カザド=デュムの橋
V. ホビットたち
*交響曲 第3番 作品89:ジェイムズ・バーンズ作曲
I レント ~ アレグロ・リトミコ
II スケルツォ
III メスト“ナタリーのために”
IV フィナーレ/アレグロ・ジョコーソ
<ブログ内関連記事リンク>
*吹奏楽の旅2010&エルザの大聖堂の行列の話題。
→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20101104
*BS朝日『全日本吹奏楽コンクール2010(高校の部)』を放送。
→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20101217