2009年7月29日と8月5日に放送された、
矢沢永吉さんの『SONGS(ソングス)Part1&Part2』
矢沢さんは今年6月にもSONGS&SONGSプレミアムに出演。
~2007年6~7月にも2週に渡り出演(下記リスト参照)。
その番組とはまったく別のバージョンで制作された今回の『SONGS』は、
20代の若者達との対話が核となっていました。
矢沢さんは過去にもNHK教育テレビ制作の、
『YOU ~限りなき夢との出会い~:矢沢永吉・いまを語る』(1985年放送)で、
若者達との対話をチョイスし強いメッセージを送っています。
また、
先日8月3日の夜には伝説の『若い広場:矢沢永吉からのメッセージ』が再放送。
今年還暦(60歳)を迎える矢沢永吉さんの貴重な映像が大挙放送されました。
今日8月6日は広島に原爆が投下された日。
矢沢永吉さんの人生にも深い影響を与えた<原爆の日>に、
矢沢さんが若者達に訴えたメッセージについて考えたいと思います。
<矢沢永吉からのメッセージ:20代と語る>
Part1:「何時の時代でもやる奴はやる。やらない奴はやらない。」
Q:ハングリー(貪欲)で居続けるには?(26歳男性:派遣社員)
A:キャロルの頃と同じハングリーはないよ。
でも変わらないものは真面目さ(真剣に取り組む)だよ。
真面目な気持ちが最終的に(自分を)助けてくれるよ。
Q:子供の教育や成長過程の注意点(25歳男性:湾岸管理)
A:この質問が一番苦手なのね。
親らしいことは何一つしてこなかったし。
夢を追い続けるばかりで家を顧みない男だしね。
家庭人じゃないし子供にする気持ちがあってもしてこなかった。
「親の背中見てるよ。」と言う知人の言葉にすがったりね。
でも妻には感謝している。
親の目から見てもイイ子供に育ってるよ。
「終わりよければすべてよし。」じゃないけどそんな感じです。
Q:人付き合いが苦手で親友がいない(26歳女性:メーカー勤務)
A:ボクもそうですよ。
毎日が忙しいから紛らうことがあるけれど。
でもみんな芯たる部分は同じ。
(君達の世代は)悩む時期でわいわいガヤガヤやっても、
1人になると孤独に苛(さいな)まれる。
多分みんな同じ悩み持ってますよ。
そんな時、ボク場合は自己暗示かけるの。
大きなコンサート前の緊張(みんな同じよ)。
眠れない気持ち。
でもボクサーでもテニス・プレイヤーでもゴルファーでも、
みんな試合の前日は緊張して眠れないんだろうなって。
そう考えると<1人じゃないんだ>と安心して眠れるんですよ。
~1人だと思ったらダメだよ。
Part2:「若い連中と人生について話し合いました。おもしろかったです。」
Q:目標がなくて“どうしたらいいか”教えてください(21歳女性:キャバクラ勤務)
A:ボクには15歳の時にビートルズに出会って光(キラッとするもの)が見えた。
東京に行って<ロック・シンガーになるんだ!>と決めた時に、
周りはすべて正気かい?って時代のことだよ。
自分がキラッとする瞬間に(貴女が)出会えればいいんだけど…。
でも(君の場合は)だらだらと迷ったまま毎日を過ごすなら辞めてみたら?
でも(水商売の待遇に)居心地はいいでしょ?楽だしね。
でも“このままじゃいけない。”って気持ちもある。
でも、
このまま毎日を過ごしても永遠(フォーエバー)に今の生活が保てるわけがない。
それは、半分は自分(貴女)の責任だと思う。
今の生活を続けて年齢を重ね自分(貴女)の心配してたことが現実になる時。
それは自分(貴女)の責任だよ。
それを世間や政治や他人の仕業(せい)にしてはいけないよ。
大事なのは自分の責任だと本気で思えたら怖くても出て行くしかないよ。
<近道をしていると近道が敵になる。>
僕はね、行動が早いんです。
なぜか理解できる?
僕は怖がりなんですよ。
怖いから早く行動(予防線)するんです。
~未来を想像して不安があれば早く手を打つ。
Q:周りに流されることと未来への不安(25歳女性:証券会社勤務)
A:僕は去年1年間活動を止めたんです。
で気付いたことは“人はそんなに器用でないよね”ってこと。
40歳位の時に“俺には音楽しかないのか?”と悩んだりもした。
音楽が面白くなくなった時期もあった。
でも1年間休んでみて(分かっていた事なんだけど)、
「俺には音楽があるよな。」って気付いた。
ひとつ神様にもらった。
1つあれば充分なんですよ。
それでやっていけるんだよね。
<60歳にして俺2回目のデビュー。>
嬉しかったね。
一瞬のハッピーがあれば戦い続けることができる。
人間ってそんなもんでしょ?
<mimifukuの見方。>
2週連続で放送されたSONGS。
20代の若者達150人に囲まれ本音を語った矢沢永吉さん。
確かに個性的な矢沢さんの言動に賛成しかねる部分もあると思います。
しかし真摯に若者の言葉に耳を傾け自分の経験を織り交ぜながらの、
熱いトークに多くの若者が感銘を受けたのではないかと期待します。
矢沢さんが家庭の話が苦手と語るのも、
著書『アー・ユー・ハッピー?』をお読みの方は理解できると思います。
著書『成りあがり』やNHK教育『若い広場』での家族と、
著書『アー・ユー・ハッピー?』や今回の放送での家族は違います。
~その事実は著作をお読みいただくのが一番の近道です。
矢沢永吉とE.YAZAWAの2つの顔。
『成りあがり』では子供の頃の理想を具現化したヒーローのYAZAWA。
『アー・ユー・ハッピー?』では自分が蒔いた種の雑草を懸命に刈り取る矢沢。
60歳:還暦前の矢沢永吉さんの発言は柔和で自信に満ちていました。
先日放送された『若い広場』では余裕なく自分を追い詰める苛立ちを感じました。
30年の年月は人をこうも変えるのか?
また再度『若い広場』を見直した鑑賞者の視点も大きく変わっています。
20代、40代、60代、80代の視点の変化。
でも<生きることの本質>に大きな違いはないように思います。
今回のインタビューで一番心に残ったのはキャバクラ勤務の女性への解答。
「今の生活が永遠なものでないことを理解しながら続けることの怖さ。
その怖さが現実のものになった時に“他人のせい”にしちゃいけない。
責任は自分にあることを認識しなくちゃいけないよ。」
との言葉の重みに感銘を受けました。
矢沢永吉が考える責任とは?
ヒントは著作『アー・ユー・ハッピー?(幸せかい?)』の中の一文。
「オレのおばあちゃんはカッコよかった。
払える家賃がないから小さな家に住み続けた。
それで人の家の草を刈ってお金をもらった。
そのお金で酒を飲む。
自分で稼いで自分で飲んで。
大事なことは自立なんですよ。
(自分の)子供達の家に身を寄せないで、
自分で稼いだ金で好きなお酒を飲んでいた。
おばあちゃんは身をもってオレにそれ(自立)を教えた。」
今日は原爆の日です。
1945年(昭和20年)8月6日に広島に原子爆弾が投下されました。
今年60歳を迎える矢沢永吉さんの誕生日は、
1949年(昭和24年)9月14日。
接点は無いように見えます。
著書『成りあがり』には、
矢沢さんの父:永一さんには妻と2人の子供がいたと記述されています。
原爆によって妻と2人の子供は亡くなりました。
もし原爆が落ちていなければ父:永一さんは再婚することもなく、
矢沢永吉さんはこの世に生まれ出なかっただろうと考えられます。
その父も矢沢さんが小学校2年生の時に亡くなりました。
著作によると原爆後遺症が原因のようです。
父の飲酒癖や暴力に耐え切れず矢沢さんが3歳の時に家出した母。
矢沢永吉少年は祖母(おばあちゃん)に育てられました。
矢沢さん自身が語る、
「読者には特殊な例だと感じるかもしれない。」
その後に、
「誰もがBIGになれる道(成功者)を持っていると信じている。」
1978年の矢沢さんの言葉です。
BIG(成功者)の意味。
矢沢さんが2001年に出した答えは、
「“幸せかい?”っ言葉は、“闘ってるかい?”っ意味かも知れない。
だから(闘ってるから)、めしがうまい!酒が旨い!家族が愛おしい!
これは観客席にしがみついて(何もせず)ゴタゴタ言ってるだけの奴等にゃ、
永遠にわからない歓びだろう。」
そして2009年。
「60歳にして俺、2度目のデビュー。」
「幸せだ、幸せだ。」と言いながら過去の自分をいつも否定する矢沢語録。
でも今回の放送での言動は本当に幸せそうに感じます。
世間では定年後をどのように過ごそうかと考える年齢60歳。
現役続行。
永ちゃん見てたら“団塊の世代”も燃えるはず。
若者だけでなく永ちゃんの今後の活躍はあらゆる世代に影響を与えそうな、
そんな番組になっていました。
<関連記事>
*NHK教育「若い広場&YOU」:矢沢永吉、オフコース、YMO、RC登場。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090803
*SONGS【矢沢永吉BEST】&コンサート・スケジュール2009
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090603
~以下NHKホームページより記事転載。
*SONGS「矢沢永吉 part1」
2009年7月29日(水)午後11:00~午後11:30(放送終了)
2007年より放送を開始した「SONGS」。
第100回となる7月29日の放送は矢沢永吉さんの特集。
昨年ライブ活動を休止していた矢沢さんが約1年間の充電期間を経て復活。
この8月にはオリジナル・アルバムとしてはおよそ4年ぶりとなる、
新作『ROCK’N’ROLL』を発表します。
番組では代表曲から最新アルバム曲まで、
最新パフォーマンスをお送りします。
<曲目リスト>
『コバルトの空』
~今年6月にリリースされた最新シングル
『チャイナタウン』
~1977年アルバム『ドアを開けろ』収録。
『Sweet Rock’n’Roll』
~最新アルバム『ROCK’N’ROLL』収録のナンバー
『いつの日か』
~1994年リリースのシングル( 服部隆之:Arr/Cond)
*SONGS「矢沢永吉 part2」
2009年 8月 5日(水)午後11:00~午後11:30(30分)
2週にわたる矢沢永吉特集のPart2。
前回に引き続きスタジオに20代の男女150名を集めてのトーク&ライブ。
夢や人生を見失いがちな若者たちに向けて矢沢さんが熱く語りかけます。
そして9月には還暦(60歳)を記念したバースディライブを東京ドームで開催。
矢沢さんの最新アルバム『ROCK’N’ROLL』からの楽曲。
そしてヒット曲『Take It Time』など最新パフォーマンスをお送りします。
<曲目リスト>
『小悪魔ハニービー』
~最新アルバム『ROCK’N’ROLL』収録のナンバー
『Loser』
~去年のライブ休止からの復活第一弾として今年2月に発表された曲。
『Take It Time』
~1985年リリースの疾走感あふれるロックナンバー。
『パセオラの風が』
~2001年発表のアルバム『YOU, TOO COOL』収録のバラード
*矢沢永吉プロフィール
1949年9月14日広島生まれ。
1972年:ロックンロールバンド「キャロル」のリーダーとしてデビュー。
約2年半の短い活動期間であったが日本語ロックの走りとして、
その後の日本のミュージシャンたちに大きな影響を与えた。
1975年:ソロデビューを果たす。
1977年:日本人ロックアーティストとして初の武道館公演、
また歌手活動以外に俳優としても活躍。
<資料1>
*矢沢永吉 Part 1(2007年6月27日放送分)
日本のロックシーンを常にリードしてきた矢沢永吉を特集。
名曲「YES MY LOVE」を披露するほか、
服部隆之編曲・指揮によるオーケストラとの共演による「星に願いを」。
女性バンドとの共演による「アリよさらば」。
等多彩なアレンジで聴かせます。
また矢沢の大ファンである俳優・浅野忠信をゲストに迎えじっくりと対談。
矢沢のコンサート映像集を見ながらその活動の軌跡を振り返ります。
『YES MY LOVE』 矢沢永吉
『共犯者』 矢沢永吉
『星に願いを』 矢沢永吉(編曲・指揮 服部隆之)
『アリよさらば』 矢沢永吉 with Girls Band
*矢沢永吉 Part 2(2007年7月4日放送分)
日本のロックシーンを常にリードし精力的に活動を続ける矢沢永吉特集の2週目。
今回は矢沢を敬愛するミュージシャン布袋寅泰との初共演が実現。
日本のロックシーンに君臨する二人が白熱のライブ・セッション。
対談ゲストは先週に引き続き俳優の浅野忠信。
「時間よ止まれ」、「トラベリン・バス」等、
武道館コンサートでのライブ映像を見ながら、
矢沢ならではの人生哲学を聞き出します。
『PURE GOLD』矢沢永吉
『もうひとりの俺』矢沢永吉・布袋寅泰
『A DAY』 矢沢永吉(編曲・指揮 服部隆之)
<資料:2>
*SONGS:「矢沢永吉BEST」
~2009年6月3日(総合)放送分曲目リスト。
「PURE GOLD」
「コバルトの空」
「もうひとりの俺」
「YES MY LOVE」
*SONGS:「矢沢永吉プレミアム」
~2009年6月26日(BShi)放送分曲目リスト。
「サブウェイ特急」
「時間よ止まれ」
「共犯者」
「アリよさらば」
「もうひとりの俺」
「星に願いを」
「YES MY LOVE」
「A DAY」
「PURE GOLD」