『我が偽りの名の下へ集え、星々』紹介ブログ

カクヨム掲載中、ファミ通文庫より発売予定のライトノベル『我が偽り名の下へ集え、星々』の紹介ブログです。

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惑星アルケー動乱

2017-05-28 | 設定:歴史
汎銀河帝国側呼称「惑星アルケーの騒乱」。当時フィネガン恒星系と共に二大市民自治領と言われたアルケー恒星系の自治権返上を巡る戦闘を指す。
アルケー恒星系は皇帝グレゴールが要求する「自治権の返上と皇帝が派遣する総督の受け入れ」「市民の強制移住」「自治領軍の解体」を無視し続けていた。さらにアルケー自治領防衛軍は、オデッセウス作戦で壊滅、敗走した元ウーラント軍将兵を多数雇用しており、皇帝グレゴールはこれを危険と見なしていた。
3016年、皇帝グレゴールは自ら艦隊を率いてアルケー恒星系惑星アルケーIに進攻。約23時間(惑星アルケーIの一自転周期)の猶予を与えた上で、要求の全面受け入れを求めた。これに対してアルケー自治政府は明確な対応を示せなかった。もともとアルケー自治領政府は皇帝グレゴールの自治権返上要求についても、現実的な問題として検討しておらず、棚上げにしたままだったのである。
具体的な対応が取れない自治政府に対して、血気に逸ったアルケー自治領軍の一部将校は、期限を待たず帝国軍に対して一方的に攻撃を始めてしまった。この際、帝国軍側は宙雷艇二隻撃沈、ヤマシロ(Y)級巡洋艦ヨーク小破という被害を蒙った。これを要求拒絶、徹底抗戦の構えありと認識した皇帝グレゴールは、軍事力を持ってアルケー自治政府の排除を決断。本格的な戦闘が始まった。
全自治領の中では屈指の戦力を誇っていたアルケーだが、帝国正規軍の前にはなすすべも無かった。ここに至りアルケー自治政府は元帝国市民議会議員アーサー・マイルズに皇帝グレゴールとの交渉を一任した。マイルズはすでに政治の一線を退いて久しく、グレゴールと面識があるといっても、それはかつての政敵という間柄であった。自治政府は明確な方針を持っておらず、一任と言っても事実上それはマイルズへ丸投げしたも同然であった。
マイルズは自治権返上を飲む代わりに、総督の受け入れと強制移住について交渉しようとしたが、これを良しとしないアルケー自治領軍の将校はその身柄を拘束。交渉は頓挫した。
結局、半日余りの戦闘で帝国軍はアルケー自治領軍を壊滅させ、惑星アルケーIを制圧した。この際、惑星アルケー首都上空で激しい戦闘が行われ、一般市民にも甚大な被害があった。
アルケー自治政府と自治領軍が頼みとしていた元ウーラント軍将兵だが、帝国軍の脅威を体験している彼らは、戦闘が始まる前に逃走。またアルケー自治領軍も敗色濃厚となると惑星を見捨てて逃走した。
その後、アルケー恒星系は自治権を剥奪され、市民は他の恒星系へ強制移住。総督が着任後、新たに別の恒星系から移住してきた市民の元で復興している。
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汎銀河帝国 その2

2017-05-11 | 設定:歴史
一般に「汎銀河帝国」が成立したのはこの時とされている。その後、アレッサンドラ女帝は祖父チェーザレ一世を初代、父チェーザレ二世を二代皇帝であると正式に宣言した。アレッサンドラ女帝自身は市民からそれほど認知されておらず、祖父と父の人気を取り込む意味があったと同時に、すでに国家としての体裁を整えていたウーラント軍よりも以前から成立していたと主張する意味合いもあった。
汎銀河帝国という名称がどこから来たのは今となっては明確ではない。アレッサンドラ女帝とクラウス・リンツ、そして少数の取り巻きの間で決定されたという。しかしそれ以前から、一般市民がバイロン一族を元首とした実在しない星間国家への呼称の一つに「汎銀河帝国」があったのは確かである。アレッサンドラ女帝らは単にこれを採用したに過ぎない。
自ら皇帝を名乗ったアレッサンドラを、市民は警戒するどころか熱狂的に迎えた。市民議会やいわゆる良識派の人々は「自称皇帝」「チェーザレ二世のような形だけの地位」と冷ややかだったが、アレッサンドラ女帝とクラウスは市民の支持を背景にじっくりと「帝国」を形成していった。
「帝国の設計者」と呼ばれるように、一連の行動は全てクラウスの発案による所が大きい。しかしアレッサンドラは完全に操り人形だっただわけでもない。若き日にアレッサンドラが残した文章からも、祖父を「皇帝」と呼び、帝制こそが人類社会を安定させると考えていた事が分かる。
アレッサンドラ女帝が単なる操り人形でなかった事は、意外ではあるが後継者にクラウスを指名した事でも分かる。
クラウスは皇帝位をバイロン家で継承するべきと考えていた。しかしアレッサンドラ女帝には子供がおらず、病に伏した後は再びバイロン一族内で後継者争いが勃発しようとしていた。このままでは帝国と皇帝の権威が保てない。そう考えたアレッサンドラ女帝はクラウスを次の皇帝に指名したのである。
クラウスは困惑したが、客観的に考えるなら、確かに適切な後継者は自分しかいない。結果的にアレッサンドラ女帝の願いを受け入れ、クラウス・リンツはリンツ朝初代皇帝として即位した。
「帝国の設計者」は皇帝となってから帝国の制度を着実に整備。こうして汎銀河帝国はリンツ朝クラウス帝の時代には完全に成立した。
多くの人々にとって「汎銀河帝国」という国家は、いつの間にか、気がついたら存在していたという不可思議な帝国なのである。
汎銀河帝国を成立させたクラウス帝であったが、彼もまた後継者には恵まれず、一度、その座を退いて復位するなど苦労を重ねた挙句、選帝侯制度のアイディアのみを残して没したため、それが選帝侯戦争の引き金となってしまったのである。
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汎銀河帝国 その1

2017-05-10 | 設定:歴史
汎銀河帝国は帝国を名乗るにしては、勇ましい英雄も居なければ、ドラマチックな建国伝説も無い、不思議な国家である。
汎銀河帝国の建国者はチェーザレ・バイロン一世とされているが、これは後年の権威付けであり、本人にはその意思がなかったのは明らかである。
チェーザレ一世は緩やかに衰退していく人類社会に、なんら有効な手段を打てない銀河共同体評議会に業を煮やし、事実上の無血クーデターで権力を掌握した。改革に乗り出したチェーザレ一世だがわずか二年後には急逝。チェーザレ一世のカリスマ性と市民からの人気に支えられていた臨時改革委員会は、当時18歳だった息子チェーザレ二世を実権の無い特別代表に据えた。これはあくまで広告塔としての起用であった。
チェーザレ二世は父と違って政治的センスは皆無であったが、容姿端麗で弁舌も巧みで、なによりを人を引きつける魅力に溢れていた。自らの政治的センスがない事も悟っていたチェーザレ二世は、広告塔としての役割を着実にこなした。しかし一つ想定外の事が起きてしまった。チェーザレ二世はずば抜けた長寿であり、実に120歳まで生きたのだ。特別代表として銀河系各地を回る事108年間。死の間際まで精力的に各地を周り、臨時改革委員会とその後身銀河市民議会への支持を訴えた。だが一般市民にとっては頻繁に代わる改革委員会や市民議会議員よりも、チェーザレ二世の方に親しみがあった。そして何より「チェーザレ」という名は「シーザー」即ち「皇帝」を意味する。初めは冗談半分であっても、108年の間にいつしかチェーザレ二世を本物の皇帝と思い込む市民も現れ始めた。
120年の生涯を閉じたチェーザレ二世だったが、死後新たな問題が浮上した。チェーザレ二世は大層な猟色家だったのだ。18歳の時にはすでに数人の隠し子がいたといわれ、亡くなった時、彼の子供、孫とされる人間は実に三桁に及んだ。
その一方で法的な配偶者はおらず、当然のように後継者問題が浮上した。もっともこの時点でのバイロン家は皇帝では無い。後継者にもチェーザレ一世、二世のような地位が与えられるとは限らない。財産はそれなりにあったものの、あくまで一般市民の後継者争いに過ぎなかった。それに介入した男がいた。
後に「帝国の設計者」と呼ばれるクラウス・リンツである。クラウスはチェーザレ二世が特別代表を務め、市民から「皇帝」と慕われていた時代が比較的平穏で平和だった事に気付いており、これに利用価値が有ると分かっていた。クラウスも緩やかに衰退していく人類社会に危惧を抱いており、その打破には社会の安定とその上でトップダウンによる強権発動が可能な社会体制が必要と考えていたのだ。
クラウスはチェーザレ二世の孫と言われる女性アレッサンドラの後ろ盾になり、バイロン家の後継者となるよう尽力した。クラウスの援助もありバイロン家を正式に継ぐ事になったアレッサンドラは、バイロン朝汎銀河帝国第三代皇帝に即位する事を宣言したのである。
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地球~66年間の沈黙

2017-05-07 | 設定:歴史
3020年現在、地球は無人の惑星であり、立ち入りは厳しく禁じられている。
21世紀の中頃には地球全土をテロが覆い尽くしていた。それは明確な戦線も無ければ、組織だった作戦も無い、まさに21世紀型の戦争であった。誰が誰と戦っているのも定かで無いまま国連はその状態を「第三次世界大戦」と定義した。
定義した所で戦争が終わるわけも無く、個人携帯型となった生物化学兵器、さらには超小型の核兵器まで使用されるようになる。人類は宇宙においてはリープストリームの利用を始めており、勇躍宇宙へと飛翔を始めていたが、その一方、地球では最悪の事態を迎えつつあった。
各国は戦費調達の為に恒星間移民を促進。リープストリームを使い、疎開、避難の名目で多くの人々を宇宙へと送り出していった。さらに戦闘が激化するに従い、移動が可能な文化財、歴史的史跡を宇宙へと避難させた。
宇宙へ送り出された人々は、相変わらず戦争を続ける地球政府に不満を抱き始め、いくつかの宇宙テロ組織が台頭する事になった。
21世紀後半には重力場の干渉が電子機器やヒトを初めとする高等生物の脳神経に致命的なダメージを与える事が分かっていた。それを利用すれば恐るべき殺戮兵器を作る事が出来るが、反面、実現するには複雑な電子機器やそれを操作する人間がいなければならず、到底完成は不可能だろうと思われていた。
しかしその重力波兵器が地球へ対して使用されてしまったのだ。
それを完成させたテロ組織は極めて単純なリレー回路の組み合わせで重力波兵器を作動させる事に成功していた。もっとも彼らもそれを実際に使用するつもりは無かった。戦争を止めない地球への警告を行い、必要とあらば限定的に使用する予定だった。だが初歩的なミスからテロリストたちは重力波兵器を全開で作動させてしまい自らも死亡。残った重力波兵器はおおよそ36時間で地球を死の星に変えてしまったのだ。
重力波兵器そのものは非常にシンプルで小型のシステムであり、また接近すると電子機器や高等生物の脳神経がダメージを負う為、発見、停止させるために実に66年間の時間を要した。これが俗に言う「66年間の沈黙」である。
その間、宇宙に進出した人類社会は混乱を来し、三大勢力分裂への道を歩み始めた。
66年間の沈黙を破り、死の星となった地球へ調査のため降り立った人間たちは、高等生物死滅という劇的な環境の変化により、暴走的な進化を遂げた一部病原体に感染して死亡。その他、生き延びた生物たちもどのような変化を起こしているのか確認出来ない以上、純粋に科学的な調査団以外が地球へ立ち入る事は固く禁じられている。
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ヒルデガルド帝の軍制改革

2017-05-06 | 設定:歴史
ウーラント軍のエイペックス作戦に汎銀河帝国が苦戦したのは、軍の編成や装備品がまちまちで統一が取れていなかった事が最大の原因とされている。当時の帝国軍は指揮命令系統が明確にされておらず、また装備品も各貴族や自治領が自前で調達していたので銃弾の口径やバッテリーの規格が違う事など日常茶飯事であった。また銀河共同体時代後期からシビリアンコントロールを保つため宇宙軍、惑星軍、星間軍、軌道軍の四軍体制が敷かれ、帝制に移行してからも宇宙海軍、惑星陸軍、星間空軍、軌道海兵隊と名称を変えたままで維持されたが、各軍間の連携も全く取れていなかった。階級や権限は軍によってまちまち。戦艦よりも大きな上陸用舟艇があれば、その上陸用舟艇よりも大きな爆撃機が存在するという有様であった。
歴代皇帝はこの状態を看過していたしていたわけでもなかったが、銀河共同体からウーラント軍が分裂した経緯を考えると慎重にならざる得なく、また選帝侯戦争の際には各貴族や自治領から協力を得ていた為、シュトラウス朝になってからもヴァルデマール帝始め歴代皇帝も及び腰であった。
そこに改革のメスを入れたのがヒルデガルド女帝である。急逝したフリードリッヒ帝の後を継いで即位したヒルデガルド女帝は、喪も開けぬうちに軍制改革に乗り出した。
ヒルデガルド女帝が強気に出られたのは国民の圧倒的な支持があったからである。国民から信頼されていたとは言えなかったフリードリッヒ帝であるが、エイペックス作戦の流れを変えた「ラクタンガの隠者」作戦では、自ら囮を引き受け帝国を勝利に導き、そして戦勝祝賀会で倒れ、急逝してからは帝国臣民から救国の英雄と讃えられた。ヒルデガルド女帝はそんな父への支持を引き継いでおり、また自身も大学生になったばかりの18歳で優れた容姿の持ち主であった事も幸いした。さらには旧制度を維持しようとする軍関係者や貴族たちが、ヒルデガルド女帝を「軍や政治の事も分からぬ小娘」と見くびっていた事も有利に働いた。少なくともヒルデガルド女帝は「自分が分かっていない」事はきちんと分かっていたのだ。
事態を憂慮する軍関係者や貴族、そして一般市民からの支持も味方に付け、ヒルデガルド女帝は電撃的に軍の改革を進めた。階級や指揮権限の整理統合。装備品規格の統一。そこに最大の抵抗勢力が現れる。。
ヒルデガルド女帝のこの改革に猛然と反発した星間空軍である。そしてヒルデガルド女帝自身も星間空軍が一番の問題であると認識していた。
海軍の戦艦、空母に相当する能力を持つ兵器を「大型戦闘機」や「空中給油機」として保有。さらに惑星陸軍や軌道海兵隊の許可を得ぬまま天体や軌道上に基地を設営するなど、目に余る行為が多かったからである。ヴァルデマール帝が星間空軍を厚遇したのが原因とされてるが、いずれにせよそのひ孫であるヒルデガルド女帝はそれを横暴と受け止めていた。クーデターさえちらつかせる星間空軍高官に激怒したヒルデガルド女帝は、ついに星間空軍の解体を断行。他三軍もこれを受け入れ、星間空軍は航空隊として宇宙海軍、惑星陸軍、軌道海兵隊へ分割、再配置されたのである。この改革により軍事費は大幅に削減。皇帝を最高指揮官とする軍の指揮命令系統も整備され、ヒルデガルド女帝は息子のマクシミリアン帝と共に「帝国中興の祖」と呼ばれるようになるのである。
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