京都逍遥

◇◆◇京都に暮らす大阪人、京都を歩く

第63回日本伝統工芸展京都展

2016-10-15 00:33:51 | アート・文化
10月12日~17日の期間、京都高島屋7階グランドホールにて第63回日本伝統工芸展京都展が開催されている。
ずらっと並ぶ工芸作品の、その技量に圧倒される。
今回気になったのは、截金飾筥の数々。とんでもなくこまかい細工、金のきらめき。入り口近くに展示されていたそれら一つ一つに吸い寄せられるように近寄ったのだった。それにしても、この飾筥というのは、どこからどこまでが蓋?入れ物としての用をなさないのだろうか。

金工で日本工芸会長賞受賞の『鍛矧合壺「線」』、作品前に置かれた受賞作品解説を読んで驚いた。線状の金属を接ぎ合わせる?これは見てみないと、すごさは分からない。

陶芸を最も楽しみにしていたが、どうしてあんなに大きいものばかりなのだろう。実際に触ることはできないが、きっと重すぎる。飾るにしても、運ぶのが大変。実用的ではないと感じた。

染織では、刺繍の着物のすごさに目を見張り、経浮織男帯『麦秋至』、繍箔裾文様訪問着『若松』に惹きつけられた。

さて、本展のチケット写真になっている文部科学大臣賞縠織着物『海に聞く』。この「縠織(こめおり)」という言葉を初めて聞き、調べてみた。
「からみ織りの一種。粟粒のような点で文様を表す。薄くて透けた夏用の布。こめ。」(『大辞林』三省堂)
コトバンク https://kotobank.jp/word/%E7%B8%A0%E7%B9%94%E3%82%8A%E3%83%BB%E7%B8%A0%E7%B9%94-269623
「縠 釋名云縠……其形〇〇視之如粟也……」(『倭名類聚抄』巻第十二 布帛部第二十 錦綺類百五十九)
*〇は糸偏に戚
国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2544221?tocOpened=1

手持ちの紙辞書で確認してみる。
角川『新字源』改訂版三八版:「縠(コク)」ちりめん。しわもようのある、うすでのちぢみ絹。「羅縠 らこく」
大修館書店『新版 漢語林』八版:「縠(コク/ゴク)」うすでのちりめん(縮緬)。しわ模様のある、やや目が粗い薄い絹織物。
集英社『国語辞典』初版:「縠織(こめおり)」織り目の透けた、薄い絹織物。紋紗 もんしゃ の類。

「縠織」が掲載されている集英社は、三省堂と同様、実物に即した解説であった。
しかし、本来の「縠」の意味は、角川・大修館にある通り、縮緬である。受賞したきものは、夏向きの薄手の絹織物ではあるが、縮緬のシボはなかった。しかも「縠」に「こめ」という読みも意味もない。

「縠織=こめおり」という言葉は、いつかの昔に誰かが「縠」と「穀」とを混同して読みと意味を取り違え、それが現在にまで続いているように思えてならない。

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