カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

スエーデンで学位審査

2010年09月10日 | サイエンス
ワルシャワの会議を終えて、今日(金曜)はスエーデンのルンド大学へやってきました。

ここの大学の旧知の友人から頼まれたのですが、博士号の学位審査の外部審査員の役目を果たしにやってきました。

スエーデンの学位審査のやり方は、カナダやアメリカの大学のやり方とかなり違って、外部審査員は大きな任務を授かります。どういうことかと、まず彼らは私のことを「Opponent(反対者)」と呼びます。英語でそのまな理解すると、ぎょっとしますが、これは歴史的な呼び方で、現在ではそれほど反対者としての発言はなされないようです。

朝10時から始まった審査は公開で、会場のレクチャールームにはPhD候補者M君の友人や家族親戚が彼の晴れ姿を見にやってきています。

そんな中で、まずOppnentである私が演台に呼ばれ、M君の研究内容の意義について約20分ほど話します。そして、今度は本人が約20分ほど自分の研究を紹介します。そして、今度はM君と私が観衆の前で机を隔てて向かいあい、質疑応答を行います。これがなんと1時間ほど続きます。

そのあと、外の審査員4名が簡単な質問を行い、最後に観衆の質問があるかどうか、Chairmanが尋ねます。すると、驚いたことに、一人の学生(M君の後輩)が手を上げて、この機会にM君に見せたいものがあるが、それをしてもいいかどうか、Chairmanに尋ねます。すぐにOKがでると、この学生外数名が演台に上がり、PowerPointの準備を始めました。そして、Movieをまじえて、M君の大学院生活の裏の一面を皆に披露して、喝采をあびます。

すべての公開行事が終了すると(すでに1時近く!)、今度は審査員は別室に移り、審査結果を議論、私がまず発言を求められます。M君は業績も著しく、大変うまく審査をこなしたので、まったく問題なくパスでした。

そして、その後昼食を含めたレセプションで50名ほどの人々が来ていました。なんと、ランチは寿司のケータリング(!)でした。外部審査委員ではるばるやってきた私への配慮もあってのことでしょう。楽しく皆さんと歓談して、すべての行事を終了しました。

準備が少し大変でしたが、無事役目を終えて、M君が卒業できてほっとしました。たのしくて、有意義な経験をさせてもらいました。各地の学位審査に呼ばれますが、このスエーデンのやり方は、とても興味深く、貴重な経験となりました。

さあ、明日は帰宅です!



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