安藤美姫

安藤美姫選手を応援している方々の素晴らしいメッセージに彩られたブログです。


美しき明日に...☆Your future is beautiful.

2008年06月03日 | 安藤美姫
 2007年の世界選手権で安藤美姫選手が優勝した時の感動を綴りたくて、私はこのブログを立ち上げました。今まで、安藤選手の魅力だけでなく、他の選手の素晴らしさも書き綴ってきましたが、前回の投稿で、二人のキティ、カタリナ・ヴィットとエカテリーナ・ゴルデーワを語っているうちに、私は感極まってしまいました。
 カタリナ・ヴィットが祖国ドイツのハノーファーで行った最後のショーで魅せた「花はどこへ行った」の映像を観た後、東西ドイツを分断していた国境線はどこにあったのだろうか、ベルリンの壁を越えようとして、命を落とした人達がどれほどいたのだろうかと、様々な思いが胸を過ぎりました。そして氷上人生の最後の日に「花はどこへ行った」を舞ったカタリナ・ヴィットのことを思うと、熱い気持ちが込み上げて来て、胸がいっぱいになりました。
 ベルリンの壁崩壊後、どんなに酷い罵詈雑言を浴びても、カタリナ・ヴィットは祖国ドイツを愛し続けるという信念を貫いたからこそ、ドイツの人々に拍手喝采であたたかく迎え入れられたのでしょう。
 カタリナ・ヴィットのその姿に感銘を受けて、最近、インターネットで、かつて見たドラマ「氷上のカルメン(Carmen On Ice)」を繰り返し観ました。すると、カタリナ・ヴィットとブライアン・ボイタノがどれほど「カルメン」について研究し、細部に至るまで、二人が話し合いを重ねて、役作りに没頭していたかがその演技からひしひしと伝わってきました。女優に憧れていたカタリナ・ヴィットの情熱が迸る「氷上のカルメン」は、カタリナだけでなく、その作品に係わったすべての人達の才能と努力が美しく結晶した傑作です。
 カタリナとエカテリーナの輝かしい記録、演技、美貌はどうしても忘れ難い。しかも、二人が、人間の、人生の本質的なテーマを氷上に描き、後世に残したことがどうしようもなく私の胸を打つのです。
 カタリナの「平和の祈り」の舞。そして、エカテリーナのマーラーのアダージェットの舞。一個人の悲嘆を芸術表現へと結実させたあのエカテリーナの渾身の舞は、ミャンマー、四川省で起きた未曾有の災害で、大切な人を失った御遺族、また最愛の人を亡くした人達へのレクイエムのようでもあります。
 カタリナとエカテリーナがフィギュアスケート界に築いた独自の芸術世界、その偉業、その境地の高さに敬意を表して、私はここで、私のブログの幕を閉じることにしました。



 安藤美姫さんは今やっと二十歳になったばかりです。これから果てしない未来が広がっています。
 ほんの数年前、まだ子供のようにあどけなかった少女は「(四回転は)なんにも考えずにヒュィっと跳ぶの」とか細い声で、恥ずかしそうに首をすくめながら、はにかんだ笑顔で答えていました。それは、内気な少女が涙の谷を越えて、ひたむきに前進して来たことが看て取れるいじらしい笑顔でした。楽しい時もあったでしょうが、自分の心に絡みつく寂しさを振り払うかのように、一途に練習に打ち込んだ時もあったことでしょう。その成果は凄まじい情熱の舞となり、16才の少女は天才と謳われるようになりました。
 「ジプシー・ソウル」は体の内からほとばしる強烈なエネルギーが氷を溶かすのではないかと思うほどの熱い炎の舞でした。しかもその炎の天才少女はがむしゃらに燃えているのではなく、調和が取れた美的洗練と大人の成熟を漂わせた美しい姿で、フィギュアスケートのファンでない人達の目も釘付けにしました。
 「天真爛漫」と言われていた少女ですが、私はむしろ、天才少女の表情に見え隠れする翳りに魅力を感じていました。その翳り、その暗さこそが、彼女を燃え立たせているようにさえ思えました。
 オリンピック・イヤーは、繊細な少女には、希望の年というよりは重圧の年になり、ひととき、少女は薄暗い迷路を彷徨っていたかのようでしたが、ようやく光に満ちた世界に出て、再び明るい笑顔を私達にみせてくれました。
 花束と喝采を受けて、勝者の柔らかく細い指先は、沢山のファンの人達の祝福の手で優しく握り締められました。勝者のその手は、子供の頃は、悲しい夢から目覚めると、失われた大きなあたたかい手を捜して、暗闇の虚空をまさぐっていた震える小さな手だったかもしれません。涙を流し、虚空を掻いて、あたたかい手のぬくもりを必死になって探し求めていた孤独な小さな手だったかもしれません。しかし、大人になった美しいその手は、病気の子供の頭を優しく撫で、悩みを抱えている人達に、そしてファンの人達に進んで差し出される寛容の手になりました。
 彫りの深い唇は優しく微笑むことはあっても、憂い事は語らず、口を固く閉ざしています。高い鼻筋につづく秀でた額の奥には、秘かに忍んだ悲しみが慎ましく隠されています。それは周りの人達を気遣う貴婦人の額です。
 これから、安藤美姫さんには、その美しい額の奥で、さらに思索を深め、芸術を友として、偉大な先人に連なる独自の芸術世界を銀盤に刻んで欲しいと願っています。
 ゲーテの言葉通り、人は努力し続ける限り、迷うものです。しかし険しい道を懸命に進む人には、必ず美しい贈り物が、美しい明日が待っていると私は信じています。
 そして、長く続く人生で、安藤美姫さんが、バンクーバーで光り輝くだけではなく、年を重ねるごとに、深みを増して輝く宝石になりますように。

  




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皆様へのご挨拶
今まで拙文を愛読して下さいました皆様、また、心温まるメッセージを送って下さいました皆様に心よりお礼申し上げます。
皆様から頂いた優しい言葉の数々、そして静かな読者の皆様の存在が励みになり、ここまで投稿を続けることが出来ました。実のところ、閲覧して下さる方がいなければ、とてもこんなに熱心に文章を綴ることは出来ませんでした。
皆様、今まで有難うございました。
皆様の明日も美しく幸せでありますように。
ジャンル:
芸術
キーワード
エカテリーナ フィギュアスケート 花はどこへ行った ミャンマー バンクーバー 美しい明日 アダージェット ベルリンの壁崩壊 ハノーファー ベルリンの壁
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