みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「リセット言葉」

2015-12-30 18:46:37 | ブログ短編
「僕たち、もうダメだよ。別れよう。もう君とは付き合えない」
 彼女は、彼から唐突(とうとつ)に別れを切り出された。彼女にとっては青天(せいてん)の霹靂(へきれき)、雷(かみなり)に打たれた以上の衝撃(しょうげき)だった。彼女は絞(しぼ)り出すように言った。「ちょっと待ってよ」
 彼女の意識(いしき)が突然(とつぜん)飛んだ。時間が巻戻(まきもど)り、気づけば彼が別れ話を切り出す前に戻っていた。――最初、彼女は戸惑(とまど)った。しかし何度も同じことを繰り返すうち、彼女は冷静(れいせい)さを取り戻した。そして気づいたのだ。〈ちょっと待ってよ〉って言えば、時間が戻ってしまうことに。彼女は考えた。どうすれば、彼を思いとどまらせることができるのか…。
「わたし、絶対別れないからね!」彼女は先制攻撃(せんせいこうげき)を仕掛(しか)けたが、これは逆効果(ぎゃくこうか)だった。
 次はしおらしく、「わたしに悪い所があったら言って。わたし、なおすから…」
 彼は、彼女の悪い所を羅列(られつ)して…、結局、別れ話に突入(とつにゅう)してしまった。
 彼女は、もう何も思いつかなかった。彼と別れたくない。彼のことこんなに大好きなのに、何で別れなきゃいけないのよ。彼女はやけくそのように言った。「結婚して! わたしには、あなたしかいないの!」
 これには、彼もひるんだようだ。別れようと思っていた相手から、こんな言葉が出るなんて…。彼は戸惑いながら言った。「僕で…、僕なんかでいいのか?」
「もちろんよ。こんなわがままで、何にもできないわたしだけど、お願いします!」
<つぶやき>これで元通りになったのか…。結局、別れ話の原因って何だったんでしょう?
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「気づかなかった」

2015-12-26 18:57:34 | ブログ短編
「あのさ、君って、森田(もりた)のこと好きなんじゃないのか?」
 付き合い始めたばかりの彼から言われた。森田君は家が近くで、小さい頃(ころ)から一緒(いっしょ)に遊(あそ)んでいた同級生。別に好きだとか、そういうのは…。彼は言った。
「だって森田のこと話してる君は、とっても楽しそうだからさ。君、気づいてるかな…。僕と話をするとき、まず森田のことから始まるんだよなぁ」
「そ、そんなことないよ。別にわたし、そんなつもり…。ごめんなさい」
 それ以来(いらい)、彼とは何となく気まずくなって…。何ではっきり違(ちが)うって言えなかったんだろう。彼の言葉が妙(みょう)にわたしの心に引っかかっていた。〈森田のこと好きなんじゃ…〉
 こんなんじゃダメよ、何もできないわ。わたしははっきりさせようと、森田君の家へ向かった。森田君は家にいて、階段(かいだん)を上がって彼の部屋へ…。この部屋に入るのって、何年振(ぶ)りだろう。そう言えば、最近はあまり話しもしなくなっていた。森田君はわたしの顔を見て驚(おどろ)いて言った。「えっ、どうしたの? 何か…」
 わたしは単刀直入(たんとうちょくにゅう)に訊(き)いた。「森田君は、わたしのこと好き?」
 一瞬(いっしゅん)、空気(くうき)が止まった感じ…。森田君はじっと私の顔を見ていた。なに、この間(ま)は――。わたしは、とんでもないことを訊いてしまったと、気がついた。森田君は座り直(なお)して、
「うん、好きだよ。ずっと前から好きだったさ。やっと気づいたのかよ」
<つぶやき>森田君、そういうのは自分から言わないと…。ずっと気づかれないままだよ。
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「客寄せ」

2015-12-22 19:06:59 | ブログ短編
 まったく流行(はや)っていない喫茶店(きっさてん)。猫(ねこ)をかかえた妻(つま)が帰ってきた。夫がそれに気づいて、「おい、ちょっと待てよ。どういうつもりだ」
 妻は平然(へいぜん)と、「お客が来ないから、この猫(こ)に客寄(きゃくよ)せしてもらうのよ」
「そんなこと出来るわけないだろ。それにうちは食べ物を扱(あつか)ってんだ。ノラ猫なんか――」
「あなたがちゃんと仕事しないからでしょ。義父(おとう)さんがやってた時は、あんなにお客が入ってたのに。あなたに代わってから…。もう、この猫(こ)に頼(たよ)るしかないでしょ」
「大丈夫(だいじょうぶ)だよ。俺(おれ)、新しいメニュー考えたんだ。これで、どんどん客が入るぞ」
 妻はカウンターの上にあるトレーの中に並(なら)んでいるものを見て、「なに、これ?」
「見れば分かるだろ。ホットケーキだよ。でも、そんじょそこらのホットケーキじゃないぞ。中身(なかみ)が違うんだ。こいつは絶対(ぜったい)に当(あ)たるぞ。まあ、見てなって」
「こんなのダメでしょ。大きさはバラバラだし。これなんか、真っ黒に焦(こ)げてるじゃない」
「いいんだよ。これくらい焼けてる方が美味(うま)いんだ。なあ、お前もそう思うだろ?」
 夫はノラ猫に声をかけた。ノラ猫は「ニャー」と一声鳴(な)いてカウンターに飛び乗ると、ホットケーキらしきものをくわえて店から飛び出して行った。夫は慌(あわ)てて叫(さけ)んだ。
「こら! 金払えよ。食い逃げすんな!」
 翌日の朝。夫が店を開けようと表に出ると、店の前には無数の猫が並んでいた。夫が唖然(あぜん)としている間(あいだ)に、猫たちは一匹、また一匹と店内へ吸(す)い込まれていった。
<つぶやき>いったいどんな材料を使ったんでしょう? 猫たちには効果はあったみたい。
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「未来の話」

2015-12-18 19:32:20 | ブログ短編
 彼は思いつめた顔で彼女に言った。「君といても、僕たちの未来(みらい)が見えてこないんだ」
 彼女は信じられないという顔で、「どうして? あたしにはちゃんと見えてるわよ」
「君が見てる未来って、どんな感じなのかな?」彼は恐(おそ)る恐る訊(き)いた。
「そうね…。あたしは、やりがいのある仕事をもっとやって、会社に認(みと)められるでしょ。で、もっと重要(じゅうよう)な仕事を任(まか)されるの。それで――」
「その君の未来に、僕はいるのかな?」
「もちろんいるわよ。あなたがいなくちゃ、あたし困(こま)るわ。だって、家のことは誰がやるの? あなたの方が、家事(かじ)とか得意(とくい)じゃない。だからあたし、あなたと…」
 彼は悲(かな)しげな目をして言った。「そこには、愛はあるのかな?」
「あい? それは…、あるわよ。決まってるじゃない。あたし、あなたのこと、こんなに愛してるのよ。そうでしょ? だからあたし、あなたのプロポーズを受けたのよ」
 彼は立ち上がると、自分の感情(かんじょう)を押(お)し殺すように言った。
「それは、違(ちが)うよね。君は、僕のことなんか愛してなんかいない。君が愛してるのは…」
 彼女は彼をなだめるように言った。「なに言ってるの? もう、あたしが愛してるのはあなただけよ。そうでしょ? あたしがいっぱい稼(かせ)いでくれば、あなただって嬉(うれ)しいはずよ。今よりも、良い暮(く)らしができるの。二人で幸(しあわ)せになりましょ」
<つぶやき>愛とは何なんでしょうね? 二人が、同じ未来を描けるといいのですが…。
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「しずく40~戸惑い」

2015-12-14 19:06:48 | ブログ連載~しずく
 学校の屋上(おくじょう)に月島(つきしま)しずくと柊(ひいらぎ)あずみの姿(すがた)があった。屋上は一応(いちおう)立入禁止になっていて、生徒はもちろん、先生さえ滅多(めった)に上がって来ることはなかった。ここなら誰にも邪魔(じゃま)されることはないはずだ。あずみはしずくに強い口調で言った。
「これで分かったでしょ。これはあなた一人の問題じゃないの。あなたの周(まわ)りの人達を巻き込まないためにも、あなたにはやらなきゃならないことがある」
 しずくは目をそらして、「私…、私にどうしろって言うの。私には…」
「そうね、今のあなたじゃ何の役(やく)にもたたないわ。そんな中途半端(ちゅうとはんぱ)な気持ちじゃ、能力(ちから)をコントロールすることなんか…。あなただって、自分に能力があることぐらい――」
「分かってるわよ! でも私には…、そんなのいらない。もう、人から変な目で見られたくないの。私は、普通の女の子でいたいだけ!」
「いつまで甘(あま)ったれてるの? もう時間はないのよ。敵(てき)はすぐそこまで来てるのに――」
「敵…、敵って何ですか? 私、そんなの知らないわ! 私には…」
「関係ないって言いたいの? あなたも、楓(かえで)おばさんから聞いてるはずよ」
「何で…、お母さんのこと知ってるんですか? 先生は…、いったい何なのよ」
「もういいわ。今日は真っ直ぐ帰りなさい。あなたのお母さんが待ってるわ。――私ね、楓おばさんに助けられたことがあるのよ。もしそれがなかったら、私は死んでたわ」
<つぶやき>先生にも凄絶な過去があるようです。敵の正体とは、何者なのでしょうか?
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