みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「海賊島9」

2015-05-31 19:52:27 | ブログ短編
 その時だ。どこからか人の話し声がした。そして、木々の間からチラチラと灯りが見え隠れする。伊集院(いじゅういん)と久美子(くみこ)は顔を見合わせて、祠(ほこら)の後ろの茂(しげ)みに身を潜(ひそ)めた。林田(はやしだ)は祠の方へ行こうとしたが、足元を滑(すべ)らせて目の前の斜面を滑り落ちて行った。
 話し声がだんだん大きくなり、松明(たいまつ)の灯りが飛び出して来た。灯りの中に浮かんでいる数人の人影。どうやら、この島の若者たちのようだ。
「絶対間違いないよ。さっきのは女の子の悲鳴だって」
「お前な、こんな時間に、こんな所に来る娘なんていないだろ」
「そうだぞ。きっとフクロウの鳴き声だったんじゃないのか。それとも、島神(しまがみ)様の――」
「よせよ。島神なんて信じてるのか?」
 若者たちは広場に点在(てんざい)している岩の上に腰を下ろした。その途端(とたん)に、一番若い男が悲鳴を上げた。一瞬、みんなの目線が一点に集中する。その先にあったのは、あの死体…。
 リーダーらしき男が声をあげた。「誰だよ。ちゃんと隠しとけって言ったろ」
「ああ、隠してた枝(えだ)が風で落ちたんだ」そう言うと、一人の男が死体に近づいて行き、「大丈夫だ。こっちは壊(こわ)れてない」
 伊集院と久美子は、この会話を聞いてクスクスと吹き出した。
<つぶやき>死体じゃなかったみたい。でも、この若者たちは何だってこんな時間に…。
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