みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「海賊島8」

2015-04-25 19:16:41 | ブログ短編
 三人は立入禁止(たちいりきんし)のロープをくぐり森の中へ入って行った。行くにつれて道がさらに細くなり、次第(しだい)に上り坂(ざか)になっていく。茂(しげ)みはどんどん深くなり、自分たちがどこにいるのかさえ分からなくなっていた。頼みの綱(つな)は、獣道(けものみち)のような細い道だけ。
 三人は息を切らしながら歩き続けた。どのくらい歩いたろう。急に視界が広がった。目の前に開けた場所が現れたのだ。三人はホッと息をついた。空を見上げると、満天の星空に半月(はんげつ)が顔を出していた。月明かりで、目の前に小さな祠(ほこら)があるのが目に入った。
「ここか…」伊集院(いじゅういん)は小さく呟(つぶや)いて、祠の方へ歩き出した。
 その時だ。久美子(くみこ)が急に悲鳴を上げて倒(たお)れ込む。彼女は震えながらある方向を指さした。伊集院と林田(はやしだ)は、その方角へ懐中(かいちゅう)電灯の明かりを向けた。――二人も一瞬(いっしゅん)息を呑(の)む。そこには…、木々の間に隠(かく)れるように、人の姿があったからだ。
 しばらくそれを見ていた林田が言った。
「何だよ、脅(おど)かすなよ。ありゃ、マネキンか何かだろ。悪ふざけにもほどがある」
 林田はそう言うと、マネキンと覚(おぼ)しき方へ歩き出した。――近づくにつれて、林田の顔が曇(くも)りはじめた。広場の端(はし)まで来た時には、顔面蒼白(がんめんそうはく)になり転げるように駆(か)け戻って来て叫(さけ)んだ。「ありゃ、し、死体だ! 人が縛(しば)られて…」
 林田は急に口を押さえて走り出し、近くの木の根元でぜいぜいと吐(は)いてしまった。
<つぶやき>宝物じゃなくて死体を発見するなんて…。これから、どうなっちゃうのかな。
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「海賊島7」

2015-04-01 19:29:38 | ブログ短編
 三人は、民宿(みんしゅく)をこっそり抜(ぬ)け出した。伊集院(いじゅういん)は民宿を出たところで、あたりをぐるっと見回した。――まあ、小さな外灯が点(つ)いているだけなので、誰かいたとしても見つけることは難(むずか)しいのだが…。三人は足音を忍(しの)ばせて、その場を離れて行った。
 どこをどう歩いたのか、林田(はやしだ)と久美子(くみこ)には分からなかった。先頭を行く伊集院を見失わないように必死について行くだけだ。どのくらい歩いただろう、急に伊集院が立ち止まった。伊集院の持つライトが、道をふさぐように横たわるロープを照らし出した。そのロープには“立入禁止”の札(ふだ)が下がっている。久美子が呟(つぶや)いた。
「ここって、民宿のおばちゃんが言ってた…」
「崖崩(がけくず)れで立入禁止になっている場所だ。ここが一番あやしいのさ」
 伊集院は背負っていたリュックをおろして、中から紙包みを取り出して言った。
「さあ、腹ごしらえだ。夜明けまでに、片づけなきゃならない」
 紙包みの中にはおにぎりが入っていた。林田はおにぎりにかぶりつきながら、
「何だよそれ。宝探しなら、昼間のほうが見つけやすいだろ。それを…」
「それじゃだめなんだ」伊集院はおにぎりをつかむと、「俺たちはずっと見張られている。この島に上陸したときからな。気づかなかったか?」
<つぶやき>誰が何のために? この島には、何か特別な秘密があるのかもしれません。
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