みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「しずく19~呼び出し」

2014-07-29 11:20:26 | ブログ連載~しずく
 月島(つきしま)しずくはゆっくりと立ち上がった。でも、何も言えないまま俯(うつむ)いてしまった。それを見かねて、隣(となり)の席の神崎(かんざき)つくねが立ち上がり、はっきりとした口調で言った。
「前の担任(たんにん)がどうして学校を辞(や)めたのか教えてください」
 柊(ひいらぎ)先生は意味深(いみしん)な笑(え)みを浮(う)かべて、「神崎さん、それを知ってどうするの? あなたたちには関係のないことよ。そうじゃない?」
「でも、変な噂(うわさ)が流れてて、あたしたち、勉強に集中できません」
「そう。じゃあ、直接訊(き)いてみればいいじゃない。でも、この中で前の担任に会いに行こうなんて思ってる人、いるかしら?」
 柊先生は教室を見回した。生徒(せいと)たちは先生と目を合わせないように顔を伏(ふ)せる。誰(だれ)一人、声を上げる者はいなかった。柊先生は教科書を開くと、
「そうですね、賢明(けんめい)な判断(はんだん)だわ。そんな暇(ひま)があるんなら、単語の一つでも憶(おぼ)えたほうがいいものね。そうでしょう、月島さん」
 突然呼ばれたしずくは、慌(あわ)ててそれに答えて、「は、はい。……」
 柊先生はしずくの顔を見つめて、「月島さん、授業が終わったら職員室へいらっしゃい。大事(だいじ)なお話があります。必(かなら)ず一人で来ること。いいわね」
<つぶやき>いきなりの呼び出し。柊は何をしようというのでしょう。しずくはどうする?
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「男子会」

2014-07-26 19:54:28 | ブログ短編
「俺(おれ)は今学期(こんがっき)中に彼女をつくるからな。見てろよ」
 建太(けんた)は、友達を前にして言った。友達はまた始まったとばかり呆(あき)れた顔をする。
「嘘(うそ)じゃねえぞ。今までの俺はやみくもに狙(ねら)いすぎたんだ。だが今度は違(ちが)うぞ。――俺は女子をクラス分けしたんだ。美人過(す)ぎて俺なんか絶対に相手にしない女子をAクラス。そこそこ可愛(かわい)いけどガードが固(かた)そうなのがBクラス。Dクラスはブスすぎて問題外。だから、俺はCクラスを狙おうと思うんだ」
「Cクラスって何だよ? だいたいお前さ、女子なら誰でもいいんだろ」
「そんなことねえよ。お前もさ、一緒(いっしょ)に彼女つくろうぜ。そんでさ――」
「俺はいいよ。そんな暇(ひま)もないし。まあ、彼女できるといいな。がんばれや」
「何だよ。その上から目線。お前だって彼女ほしいって言ってたじゃないか」
「俺、いるから。彼女。だから、これからは、お前とあんまり付き合えないかもな」
「嘘だろ? 俺、聞いてねえぞ。誰だよ。教えろよ! 俺たち友達だろ」
「まあ、いいけど。――隣(となり)のクラスの、神崎智美(かんざきさとみ)だよ」
「か、神崎智美?! 何でだ。めちゃくちゃAクラスじゃねえか。何でそんなAクラスの女子と付き合えるんだ。おかしいだろ? お前、何やったんだよ」
「何もしてねえよ。向こうから、付き合ってくれって…」
「じゃあ、あれか…。俺にも、Aクラスの女子と付き合える可能性…、あるよな?」
<つぶやき>それはどうでしょうか? 可能性はゼロじゃないと思うけど。難しそうよ。
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「又三郎?」

2014-07-23 20:11:35 | ブログ短編
 かずちゃんは、お家(うち)に帰ろうと急いでいた。心地(ここち)いい風がかずちゃんの頬(ほお)をなで、手にした風車(かざぐるま)をカタカタと鳴(な)らした。
 突然(とつぜん)、木の陰(かげ)から大吉(だいきち)が飛び出した。大吉はいつも威張(いば)っていて、周(まわ)りのみんなから嫌(きら)われていた。だから、大吉もますます横柄(おうへい)になりいじめっ子になってしまった。
「おい、その風車、俺(おれ)によこよせ。俺がもっと勢(いきお)いよく回してやるよ」
 大吉は今にも手を出す勢いで言った。かずちゃんは後ろ手に風車を隠(かく)すと、
「イヤよ。あんたに渡したら壊(こわ)れちゃうわ。これは、ゲンちゃんからもらった…」
「うるせい、俺に貸(か)せよ。言うこときかないと、こうだぞ!」
 大吉は拳(こぶし)を振(ふ)り上げた。かずちゃんは恐(こわ)くて目をつむる。
 その時、つむじ風が巻(ま)き上がった。かずちゃんのスカートをひるがえし、大吉がかぶっていた野球帽(やきゅうぼう)を吹(ふ)き飛ばした。帽子(ぼうし)は木の葉のようにフワフワと舞い上がり、高い木の梢(こずえ)に引っかかって止まった。大吉はいまいましそうに帽子を見上げる。
 今度は北風がぴゅーっと吹いた。北風は梢の帽子を河原(かわら)のほうへ吹き飛ばした。大吉は慌(あわ)てて帽子の後を追(お)いかけた。かずちゃんの風車が、まるで笑っているようにケラケラケラケラと軽快(けいかい)に回り出した。
<つぶやき>又三郎はいつも子供たちのそばにいて、一緒に遊んだり、かけっこしたり…。
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「明晰夢」

2014-07-20 09:11:45 | ブログ短編
「あれ、須藤(すどう)先輩? どうしたんですか?」
 部室でしょげ返っている先輩を見て、翔太(しょうた)は訊(き)いた。そばにいた淳史(あつし)が答えて、
「あゆみちゃんの夢を見たんだってさ。そしたら、夢の中で綾部(あやべ)先輩が出て来て――」
「えっ、綾部先輩って、あゆみちゃんと付き合ってるんじゃないかって噂(うわさ)の?」
「なんか、夢の中であゆみちゃんに告白したら、綾部先輩が出て来て『俺の女に手を出すな』って。それで、あゆみちゃんからも『先輩とは無理(むり)です』って速攻(そっこう)で返されて」
 翔太は呆(あき)れて言った。「先輩、たかが夢じゃないですか。元気出してくださいよ」
 須藤は顔を引きつらせながら、「たかが…。たかがだと! 俺があゆみちゃんの夢を見るためにどれだけ苦労したと思ってるんだ。せめて夢だけでも、あゆみちゃんの笑顔を…」
「じゃあ、告白しましょう」淳史が言った。「俺、同じクラスなんで、呼び出しますから」
「バカヤロ。そんなことしたら、何もかも終わりだぞ。俺なんかと付き合うわけないだろ」
「そんなこと分かんないじゃないですか。綾部先輩のことだって、ただの噂で――」
「お前、想像できるか? 俺とあゆみちゃんが、二人並んで歩いてることを!」
 いきり立つ須藤をなだめながら翔太が言った。
「先輩。俺、先輩にピッタリの彼女探しますから」
 須藤は矛先(ほこさき)を翔太に向けて、「お前、なめとるんか? あゆみちゃん以上の女がいるわけないだろ。お前らに、俺の気持ちが分かってたまるか!」
<つぶやき>一途(いちず)な純情(じゅんじょう)ってやつですね。あゆみちゃんってどんな娘(こ)か見てみたいです。
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「恋ばな?」

2014-07-18 15:50:01 | ブログ短編
「彼ったら、わたしにべったりで、もうイヤになっちゃうわ」
 まなみは嫌(いや)だと言いながらも、それでも嬉(うれ)しそうに彼のことを話した。それを聞いていた好恵(よしえ)は、ちょっと羨(うらや)ましそうだ。今度は、まなみが好恵に彼の話を聞かせてとせがんだ。最近、彼ができたと聞いていたからだ。好恵は、ちょっと迷(まよ)いながらも、
「あのね…、今度、彼とデートすることになってるのよ。この近くの古墳(こふん)なんだけど…。彼って、歴史好きなのよ。だから…、私も歴史好きになろうかなって」
「古墳でデートって、変わってるわね。まあいいわ。で、彼はもちろん好きって…」
 好恵は言い淀(よど)みながらも、「もちろんよ。彼、歴史好きだから」
「で、なんて告白されたの? 教えなさいよ」
「告白って…。だから…、暇(ひま)だったら、古墳、見に行きませんかって」
「え? それって、誰が言ったの? まさか…」
「私よ。だって、彼、歴史好きだから」
「あの、何か見えてこないんだけど…。それって、デートってことじゃなくて、ただ古墳を見に行くだけってことなのかな? それじゃ、普通(ふつう)の友達ってことだよね」
「違(ちが)うわよ。私たち、歴史好きなのよ。これって、凄(すご)いことなんだから」
<つぶやき>恋の基準は人それぞれ。彼女の恋がかなうといいね。古墳デート、素敵(すてき)かも。
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