みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「とばっちり」

2014-03-30 10:37:08 | ブログ短編
「誰(だれ)のせいでこうなったと思ってるの?」佑希(ゆうき)は怒(おこ)っていた。
 花梨(かりん)は泣きそうな顔で、
「そんなの知らないわよ。あたしには関係ないわ」
「関係ないって…」佑希は開いた口がふさがらない状態で、「あたしが、あなたのためにどれだけ…。それを、関係ないって、あっさり言っちゃうんだ」
 花梨は吉岡(よしおか)君の影(かげ)に隠(かく)れるようにして、「佑希が、勝手にやったことじゃない」
「なにそれ? あたしのせいだって言うの? あなたが何とかしてって、あたしに泣きついてきたんじゃない。それを…、もう許(ゆる)さないから!」
 佑希は花梨に掴(つか)みかかった。だが、花梨は吉岡君を盾(たて)にして…。盾にされた吉岡君は、二人の間に挟(はさ)まれてグルグルと振り回された。しばらくすると二人とも疲れたようで、
「花梨、いつまで逃げるつもりよ。――吉岡、邪魔(じゃま)なのよ。そこ、どきなさいって」
 吉岡君もフラフラ状態で、どきたいのはやまやまだけど花梨が離してくれないのだ。
「吉岡君はとっても優しいんだから。お姉ちゃんとは大違いよ」
「吉岡はね、あたしの彼氏よ。あんたのじゃないんだから。離しなさいよ!」
「イヤよ。お姉ちゃんは、すぐ手を出すんだから。そんなんだから、いつまでも――」
 ここで吉岡君は口を出した。「あの、もう止めましょう。こんなことをしても…」
 佑希は吉岡君を睨(にら)みつけて、「あなたも、あたしのこと、そんな風に思ってるの?」
<つぶやき>痴話喧嘩(ちわげんか)のとばっちりだけは避(さ)けたいですね。でも、何でもめてるのかな?
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「しずく10~おんぼろ」

2014-03-26 19:07:35 | ブログ連載~しずく
 そのアパートは二階建(だ)てで、昭和(しょうわ)って感じの建物だった。トタン張(ば)りの屋根(やね)や外壁(がいへき)には錆(さび)が浮き出ていて、それが奇妙(きみょう)な模様(もよう)になっている。ちょうど西向きに建っているせいで、今の時間、夕日に染(そ)まってセンチメンタルに輝(かがや)いている。
「こんなところに、人が住んでるの?」月島(つきしま)しずくは思わず呟(つぶや)いた。
 部屋の番号は201になっている。だとすると二階なのか? しずくは二階へ上がる階段の前に立った。長い間の風雨に晒(さら)されていたのだろう。補修(ほしゅう)もしていないようで、ここもかなり錆びついている。ところどころ鉄板が腐食(ふしょく)していて、小さな穴(あな)が空(あ)いているのが見えた。かなり危険な状態になっている。
 しずくは恐る恐る階段を昇(のぼ)り始めた。階段は、踏(ふ)みしめる度(たび)にギシギシと嫌(いや)な音をたてた。しずくは心の中で呟いた。
「大丈夫、大丈夫よ。彼女だってここを使ってるんだから…」
 階段の中程(なかほど)を過ぎたところで、突然、「止まって!」と上の方から鋭(するど)い声がした。
 しずくは上げた足を止めるために、必死(ひっし)に手すりにしがみついた。上を見上げると、そこには寝巻姿(ねまきすがた)の神崎(かんざき)つくねが立っている。つくねは穏(おだ)やかな声で言った。
「そこに足を乗(の)せると落っこちるわよ。気をつけて上がって来て」
「そ、そうなんだ。…分かったわ。気をつける。これくらい、平気(へいき)よ。私……」
<つぶやき>つくねはどうしてこんな所に住んでいるんでしょうか? 謎は深まるばかり。
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「待ち合わせ」

2014-03-23 19:04:44 | ブログ短編
 大好きな彼との待ち合わせ。彼女は、この待ち時間を気に入っていた。だから少しだけ約束の時間より早く行く。そして、ドキドキしながら彼の到着(とうちゃく)を待つのだ。
 彼女は待ちながら、今日の服(ふく)は気に入ってくれるかな? とか、髪(かみ)を少し切ったの気づいてくれるだろうか…。そんなことを考えていると、時間はあっという間に過ぎていく。そして、ずっと向こうから歩いて来る彼を見つける。思わず頬(ほお)がゆるむ瞬間(しゅんかん)だ。
 でも、現実(げんじつ)は思い通りにはいかない。彼女は腕時計を見る。約束の時間を10分も過ぎている。彼女は呟(つぶや)く。「今日もまた遅刻(ちこく)? もう、許(ゆる)さないから」
 そう言いながらも、彼女は楽しそうだ。彼を待つ時間が、今日も少しだけ増えたのだから。普通の娘(こ)なら怒(おこ)って帰ってしまうかもしれない。でも、彼女は大(おお)らかな性格だ。どんなことでも良い方に考える。たとえ、彼が彼女の服を褒(ほ)めなくても、髪を切ったことに全く気づかなくても、多少の遅刻すら笑って許すことができる。
 でも、これってどうなの? 彼女の顔が一瞬曇(くも)った。私って本当に彼に愛されているのかな? 都合(つごう)の良い女になってるだけじゃ…。彼女は心の中で葛藤(かっとう)する。でも、彼が遠くから駆(か)けて来る姿を見つけると、そんなことすぐに頭から消えてしまうのだ。やっぱり、彼女は彼を愛している。心から愛しているのだ。
<つぶやき>あなたの彼女もこんなことを考えているかもしれません。褒めてあげてね。
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「町の探偵さん」

2014-03-21 16:13:10 | ブログ短編
 小さな町の小さな探偵(たんてい)事務所。そこへ三十路(みそじ)を少し越(こ)えたくらいの女性がやって来た。
「あの、探偵さん。今日は、お仕事しないんですか?」
 探偵はプラモデルを作る手を止めて、「ああ、これは大家(おおや)さん。どうしたんですか?」
「どうしたかって…。私はあなたのことが心配で。ちゃんと仕事して下さい」
「いや、こればっかりは…」探偵は頭をかきながら、「このあたりは平和ですからね。探偵を雇(やと)うようなことなんか起きませんよ」
「そんなことでどうするんです。仕事が無(な)ければ、こっちから捜(さが)しに行くくらいの気概(きがい)を持って下さい。そんなんで、どうやって生活していくんですか?――夫を亡(な)くして、私たち親子が暮(く)らすのに、ここの家賃(やちん)が必要なんです。子供たちもまだ小さいし…」
 探偵は困った顔をして、「大丈夫ですよ。家賃はちゃんとお支払いしますから」
「当たり前です! そもそも、どうしてこんな所で探偵事務所なんか」
「それは、あれです。ここなら面倒(めんどう)な依頼(いらい)も来ないだろうし、思う存分(ぞんぶん)趣味(しゅみ)に没頭(ぼっとう)できるかなって…。あっ、多少は貯(たくわ)えもあるし。僕、こう見えて節約(せつやく)は得意(とくい)なんです」
「仕事をする気ないんですか? じゃ、私が事件を起こして――」
「ちょっとやめて下さい。そんなことして逮捕(たいほ)されたら…」
「そんなことしませんよ。事件が起きてないか、聞き込みをするんです」
<つぶやき>これは世を忍ぶ仮の姿で、本当はものすごい名探偵なのかもしれませんね。
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「コクられる」

2014-03-18 09:57:06 | ブログ短編
「ねえ、あたしどうしたらいいと思う?」愛子(あいこ)は真剣(しんけん)に悩(なや)んでいた。
「そんなの悩むことじゃないでしょ。向こうから告白(こくはく)してきたんだから」
 沙和(さわ)は焼き鳥を頬張(ほおば)ると、「やっぱここのは美味(おい)しいわ」と呟(つぶや)いた。
「だって、社内で一番人気の彼よ。彼と付き合いたいって娘(こ)、一杯(いっぱい)いるのよ。何であたしなの? こんな、何の取り柄(え)もなくって、不細工(ぶさいく)な女に…」
「あんたさ、自分が思ってるほど不細工じゃないと思うよ。――そんなに気になるんだったら、その彼に訊(き)いてみればいいじゃない」
「訊いたわよ。そしたら、彼ね、好きになるのに理由(りゆう)なんかいらないだろ、って」
「へぇ、格好(かっこ)いいこと言うじゃない。それは、相当(そうとう)なプレーボーイよね」
「でしょ。あたしなんかと付き合っても、彼、絶対満足(まんぞく)しないと思うの。だから…」
 沙和はビールを飲み干して、
「あんた、ばっかじゃないの。向こうがいいって言ってるんでしょ。だったら、うじうじ考えてないで飛び込んじゃいなさいよ。私だったら、そうするけど。そんなに良い男だったら、一度は付き合ってみたいじゃない」
「ムリムリ、絶対無理(むり)よ。だって、あたし、彼の横でどんな顔をすればいいの? 彼とあたしじゃ、つり合わないわよ。もう…、あたし、どうしたらいいの…」
「そんなの簡単(かんたん)じゃない。良い女になればいいのよ。あんたらな、大丈夫よ!」
<つぶやき>最初は不安なことばかりだよ。付き合いながら一つずつ確かめていきましょ。
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