みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「神様のお告げ」

2013-04-30 19:12:30 | ブログ短編
<今日、最初に言葉を交(か)わした人と、お前は恋をする>
「ええっ…。どうして? そんなこと…」愛菜美(まなみ)はうなされるように寝言で呟(つぶや)くと、布団の中からはね起きて叫んだ。「何でよ!」
 我に返った愛菜美は、辺りを見回してホッと胸を撫(な)で下(お)ろす。
「今のは夢…。夢だったんだ。あーっ、何て夢なの――」
 彼女は顔を洗いながらも、さっきの夢の言葉が頭から離れない。最初に言葉を交わした人と…。「まさか、そんなこと…。ないない、絶対ないわよ」
 頭ではそんなこと分かっている。でも、気持ちでは…。「もし、そうなったら? 今日は会社に行かなきゃいけないし。そうなると…、最初に言葉を交わすのは――」
 いつも、会社で真っ先に顔を合わせるのは上司である。あの、ぶくっと出っぱったお腹に、脂ぎった顔――。愛菜美は、上司の姿が頭に浮かんで身体を震わせた。
「絶対いやよ。あんな人に恋をするの? 冗談じゃないわよ。それに、あの人、奥さんがいるのよ。じゃあ、あたしは不倫(ふりん)しちゃうってこと!」
 愛菜美は玄関に座り込み頭を抱(かか)えた。「ダメだ~ぁ。今日、会社、休もう。そうよ、そうすれば…。大丈夫よ。あたし、有休(ゆうきゅう)だって残ってるし。それがいいわ」
 彼女は携帯電話を取りだして、会社の番号を呼び出した。そして、通話ボタンを押しかけて手を止めた。「ダメ…。誰が出るか分からないじゃない。どうしようっ!」
<つぶやき>これは夢ですよ。それに、最初に言葉を交わすのは別の男性かもしれません。
Copyright(C)2008-2013 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「花粉デビュー」

2013-04-24 09:45:37 | ブログ短編
 周(まわ)りでくしゃみをしたり鼻をかんだりしている人が増えていた。友達にも何人かいて、その辛(つら)さは何となく分かっていたつもりでいた。私には、花粉症なんてずっと他人事(ひとごと)のようにしか思えなかった。だって、全然(ぜんぜん)平気だったんだから。ついこの間まで――。
 それは突然やって来た。鼻がムズムズしてきて、くしゃみが止まらない。目もしょぼしょぼして…。友達に話したら、嬉(うれ)しそうな顔をして、
「花粉デビューしたんだ。これで、あなたも私たちのお仲間ね。これからは何でも相談して。先輩として、いろいろアドバイスしてあげる」
「そう…、ありがとう。何か、助かるわ――」
 私は、何か変な感じだった。嬉しいような…、悲しいような…。
 別の友達に花粉症になったって話したら、その子は心配そうな顔をして、
「そうなんだ。大変ね。じゃあ、しばらくは誘わない方がいいよね」
 何でよ。花粉症になったら、遊びに出かけちゃいけないの? 私は、何だか仲間はずれにされたような気分。そう言えば、この子って花粉症じゃなかったわ。
 私はにっこり微笑(ほほえ)んで、その子に言ってやったわ。
「そうね。でも、大丈夫よ。あなたも、すぐに私たちのお仲間になるんだから」
<つぶやき>日頃から気をつけた方がいいですよ。今は大丈夫でも、いずれあなたも…。
Copyright(C)2008-2013 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「君はだれ?」

2013-04-23 09:39:43 | ブログ短編
 雄介(ゆうすけ)は窓を叩く音で目を覚ました。どうやら勉強の途中で寝てしまったようだ。また、窓を叩く音。雄介は首を傾(かし)げならがカーテンを開けてみる。すると、窓の外のベランダに女の子が一人。その女の子はにっこり笑うと、ここを開けてという仕草(しぐさ)。
 雄介は驚いた。でも、ちょっと可愛(かわい)い子だったので、思わず窓を開けてしまった。これは、男の性(さが)というやつだ。女の子は部屋へ飛び込むと言った。
「灯りが見えたから来ちゃった。ねえ、ここにいてもいい?」
 雄介は一瞬言葉を失った。何をどう言ったらいいのか思いつかない。女の子はベッドの上に飛び乗ると、楽しそうに飛びはねた。雄介は何とか彼女を落ち着かせると、
「君はだれ? どうやって入ったんだよ。ここは、三階だぞ」
 女の子は言った。「あたし、龍子(りょうこ)。しばらくお世話になるわね。よろしく」
「いやいやいやいや、それはダメでしょ。そんなこと、家族にバレたら――」
「気をつかわなくてもいいのよ。あたし、寝る場所があれば、それでいいんだから」
「ここで寝るの? いやいや、それはまずいしょ。母さんに見つかったら――」
「いいじゃない。あたし、全然平気だから」龍子は雄介の顔をしげしげと見つめてから、満面(まんめん)の笑みで言った。「人間とおしゃべりするなんて三百年ぶりよ。何か、楽しい!」
<つぶやき>彼女は何者なのでしょう? どうしてここに来たのか、想像してみて下さい。
Copyright(C)2008-2013 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「スマちゃん」

2013-04-21 10:49:08 | ブログ短編
 流行(はやり)に乗り遅れまいと佳代(かよ)はスマートフォンを購入した。これで友達からバカにされることは無くなるだろう。佳代は早速(さっそく)電源を入れて使ってみることに。CMでやってるように、スマちゃんに話しかけてみた。
「あたしのこと、好き?」
 速攻(そっこう)返事が返ってくる。「好きって言ってほしいのか? うざい」
 佳代は一瞬(いっしゅん)言葉を無(な)くした。まさかこんな返事が返ってくるなんて。気をとり直して、もう一度話しかけてみる。「今の天気は?」
 しばらく間をおいてスマちゃんが答えた。「そんなの、空を見りゃ分かるでしょ」
 佳代は呟(つぶや)いた。「何なのよ。何でちゃんと答えてくれないの。もう、使えないヤツ」
 次の瞬間、スマートフォンがけたたましく鳴り出した。そして、早口でしゃべり出す。
「あのさ、使えないのはアンタでしょ。何よ、しょうもない質問ばっかして。好きな男がいないもんだから、あたしに好きって言わせようなんて。一人でいるのがそんなに淋しいのか。ハハハハ、いい年した女が笑っちゃうわよ。これからは、気やすく話しかけないで。いい、今度しょうもない質問したら――」
「もう、どうして…。どうやって止めるのよ。こら、黙りなさい。うるさいってば――」
 佳代は必死になってあちこち押してみた。やっと声が止まると、佳代は荒い息をつきながら、「これ、絶対不良品だわ。何で、こんなのにバカにされなきゃいけないのよ!」
<つぶやき>スマートフォンにスマちゃんと名前をつける。これは淋しい女の始まりかも。
Copyright(C)2008-2013 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「お返し」

2013-04-19 20:10:44 | ブログ短編
 とある会社の会議室。男性社員が集まって秘密の会議が開かれていた。議題は、ホワイトデーのお返しをどうするか。課長がまず提案(ていあん)を出した。
「今年は、みんなでお金を出しあって、不公平(ふこうへい)のないようにしたらどうだろう」
 強硬派(きょうこうは)からは、「そんなのやめましょうよ。向こうが勝手に配ってるんですよ。どういうつもりか知らないけど、知らん顔しとけばいいんですよ」
「ちょっとそれは乱暴(らんぼう)じゃないでしょうか」入社三年目の社員が言った。「やっぱり、ちゃんと誠意(せいい)は見せないといけないんじゃないかと…」
「お前はいいよな。俺たちとは違って、いいもんもらってんだから。こちとら、義理(ぎり)だよ、義理。それも、こんなちっちぇヤツ」
 隅(すみ)の方で黙って聞いていた係長が口を開いた。
「でも、毎年、何かしらもらえるんですよ。我々、中年男性が、若い女性からプレゼントを受け取れるなんて機会、滅多(めった)にないじゃないですか。私なんか、自分の娘からもそっぽを向かれて、妻からだってプレゼントのプの字も出やしない」
 会議室は静まり返った。それぞれの思いがあるようだ。ホワイトデーの習慣(しゅうかん)の波紋(はもん)は、どこまで広がっていくのか。今年も、紛糾(ふんきゅう)を極(きわ)めそうだ。
<つぶやき>ここは、お返しはしてあげた方が良いかもしれませんね。気持ちですから。
Copyright(C)2008-2013 Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加