みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「離婚保険」

2012-07-29 19:02:26 | ブログ短編
 とある結婚相談所でお相手を見つけた二人。今日は、系列会社の結婚式場に式の打ち合わせに来ていた。一通り打ち合わせが終わると、担当者はニコニコしながら言った。
「私どもでは、離婚保険も手がけておりまして、もしよろしければ、ぜひご検討(けんとう)を…」
「離婚って、私たちこれから結婚するんですよ。そんな縁起(えんぎ)でもない」
「しかしですねぇ、現在10組のうち4組は離婚をされておりまして…」
「あたしたちは、そんなことしないわ。だって、愛し合ってるんですもの」
「それはもちろんでございます。これは、あくまでも保険ですから。月々の掛金も、ご予算に合わせていろんなコースをお選びいただけます。それに、ご加入いただければ、10年ごとの節目(ふしめ)にお祝い金が出ることになっております」
「へえ、お金がもらえるんですか?」ちょっと興味(きょうみ)を抱(いだ)いた男性。
「ただし、ご結婚から3年以内に離婚をされますと、保険料は支払われませんのでご注意下さい。それと、もし万が一、三年を過ぎてから離婚された場合、我が社では特別保障といたしまして、次のお相手を責任を持って捜させていただきます」
「ええっ、もっと素敵な男性を捜していただけるの?」女性の目が輝(かがや)いた。
「はい、もちろんでございます。二度目の結婚式は、格安のお値段でやらせて――」
<つぶやき>結婚は博打(ばくち)なのかも。でも、その価値を上げるのも下げるのも当人同士です。
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「あたしの彼はストーカー」

2012-07-26 19:58:23 | ブログ短編
「で、あたしが酔っぱらいに絡(から)まれてるとこ助けてくれて。でも、お礼も言えなかったの」
「あんた、何で一人でそんなとこ歩いてたのよ。気をつけなきゃダメじゃない」
「でも、人けのない所じゃないと、どんな人だか分からないじゃない」
「何考えてんの? あんたの方からストーカーを誘ってどうすんのよ」
「だって…。そんなに悪い人じゃないと思うわ」
「ストーカーに良い人なんていないわよ。もう、二度とこんなことしないで。いい」
「うん。でもね…、あたし分かっちゃった気がする。たぶん、あたしを助けてくれた人よ」
「もう、何がよ?」
「だから、あたしのことずっと見てる人。だってその人、何となく見覚えがあるもの」
「えっ、そいつがストーカーってこと?」
「きっとそうよ。今度見かけたら声をかけてみようかな」
「ダメよ、そんなこと。何されるか分かんないでしょ」
「大丈夫よ。それに、助けてもらったお礼を言わないといけないし」
「だったら、私も一緒に行く。私から言ってやるわ。大事(だいじ)な親友に付きまとうなって」
「やめて。そんなことしたら、もう会えなくなっちゃうわ。彼って、シャイなだけなのよ」
「だから――。まさか、あんた、その人のこと……。絶対、やめなさいよ」
<つぶやき>危ないことはよしましょう。でも、世の中悪い人ばかりじゃないと信じたい。
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「彼女の挑戦」

2012-07-24 20:22:41 | ブログ短編
 ――時間がない。彼女はいつも追われていた。あたふたと焦(あせ)りまくって、気の休まる時がない。それにいつも空回りして、悪い方へと転がっていく。これは、仕事ばかりのことではなさそうだ。
 こうなった一番の原因は、付き合っていた彼と別れたこと。何で振(ふ)られたのか、彼女自身まったく納得していない。自分はこんなに彼のことを愛していたのに――。彼女はそのうっぷんを仕事にぶつけていたのかもしれない。自分はこんなに仕事ができて、振られるようなダメな女じゃないと。でも本当のところは、彼がいなくなった心の寂(さび)しさを埋めようとしていただけなのだ。
そんな時、誰かがポツリと呟(つぶや)いた。「もうやめちゃえば…」
 誰が言ったのか分からない。彼女の空耳(そらみみ)なのかも…。でも、彼女には確かに聞こえたのだ。もうやめちゃえば…、って。彼女は全身の力が抜けてしまった。へなへなと座り込み、勝手に涙があふれてきた。彼女は周りのことなど気にせずに、わんわんと泣いた。
 それからしばらくして、彼女は会社を辞めた。三十過ぎての転職は無謀(むぼう)なのかもしれない。でも、彼女は新しい生き方を捜し始めた。後悔(こうかい)はしていない。自分で決めたことだから。これからいろんなことに挑戦して、自分の道を切り開いてみせる。
<つぶやき>行き詰まったら、肩の力を抜きましょう。新しい考えが浮かんでくるかも。
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「迷い道」

2012-07-22 20:12:02 | ブログ短編
 草むらの中をかき分けて歩く調査隊。先頭を行くのは隊長の村雨(むらさめ)。その顔は真剣そのものである。どこかから「キィーン」と大きな鳴き声がした。隊長は立ち止まり、辺りをキョロキョロしながら言った。
「気をつけろ。どこから…、何が飛び出すか…、分からんからな」
「でも、隊長」すぐ後ろを歩いていたヨリ子が言った。「大丈夫だと思いますけど」
「何を言ってる。今のを聞いたろ。あの鳴き声がするということは、怪獣が出現する…」
「隊長!」列の後ろの方から叫ぶ隊員の声。「後ろがつかえてるんで、早く行って下さい」
 ヨリ子は隊長をなだめるように、「あの、ウルトラマンじゃないんですから。それに、今の声はキジの鳴き声ですよ。――もう、こういうのやめませんか、教授」
「何を言ってるんだ。人跡未踏(じんせきみとう)のこのシチュエーションなんだぞ。怪獣が無理だとしても、恐竜とか、巨大昆虫、それから…、そうだ、巨大アナコンダなんてのもあるぞ」
「映画じゃないんですから」ヨリ子はため息をつき、「それに、ここは日本です。私たち、ただ道に迷ってるだけじゃないですか。教授がこっちだって言い張るもんだから…」
「私のせいだと言うのかね。ヨリ子君、君はなぜこのシチュエーションを楽しまないんだ」
「だから、私たち昼食も食べずに歩きつづけてるんです。誰かさんが、お弁当を車の中に置き忘れるから。――これ以上、何かゴタゴタ言ったら、私、切れますよ。いいんですか?」
 教授はヨリ子のひと睨(にら)みで口をつぐみ、すごすごと歩き出した。
<つぶやき>無事に車まで辿(たど)り着けたのでしょうか。それにしても、何の調査だったの?
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「サプライズ」

2012-07-19 19:59:57 | ブログ短編
 私の彼は、あまり感情を表に出さない。彼の誕生日にサプライズで驚(おどろ)かせてあげた時も、ちっとも期待通りの反応を示さない。「ああ、ありがとう」って言っただけで平然としている。私としては全く面白(おもしろ)くない。彼の告白にOKした時もそうだ。嬉しくて飛び上がるとか、叫んじゃうとかすればいいのに。この時も、「ああ、ありがとう」で終わってしまった。
 だから、今度の日食のイベントには友だちを大勢集めることにした。だって、私一人で盛り上がってもつまんないじゃない。
 日食の当日。案(あん)の定(じょう)、彼はいつも通りにやって来た。他の友達はわいわい騒いで、期待で胸をふくらませているのに――。辺(あた)りが少しずつ暗くなって日食のリングが見えた時、周りからは歓声がわき上がった。彼はと見ると、やっぱりいつも通り…。
 でも、すぐ横にいた私は気づいちゃった。彼が小さな声で、「おおっ、すごい。すごい」って何度も言っているのを。たぶん、これが彼にとって最上級の感動の仕方なんだよね。
 そんなことを思いながら彼を見つめていると、突然彼が私に振り返った。彼と目が合う。――何なのこれ。周りのみんなは太陽の方を見つめている。彼は、私だけに聞こえるようにささやいた。「結婚しよう」って。ひどいよ、こんな不意打(ふいう)ちをするなんて。私は涙があふれそうになるのを必死にこらえて、コクリと頷いた。
<つぶやき>感動の仕方も人それぞれ。でも、嬉しさはみんな同じなのかもしれません。
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