みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「重大事件発生」

2011-06-30 20:38:38 | ブログ短編
「うーん」探偵は首をひねった。「これは…」
 と言ったなり黙り込む。そばにいた警部は心配そうに、探偵の次の行動を見守った。
 探偵はいくつもの難事件を解決にみちびき、警察からも一目置かれていた。その彼をもってしても、今回の事件は先が見えなかった。何ひとつ、手掛かりになるものがないのだ。
「どこかに出口があるはずです。この問題を解決する」
「出口……見つかりそうですか?」
 警部は探偵を見つめた。もし、この事件が解決できないと、警部の命運も尽きてしまう。
 「まず謝るべきです」探偵はおもむろに口を開いた。「きっと奥さんもわかってくれます」
「それができないから、こうしてたのんでるんじゃないですか。あいつは、うちのやつはですね、そんな生易しいやつじゃないんです」
「鬼警部と恐れられているあなたよりも、ですか?」
「私なんかね、あいつの前ではネコ同然ですから」
「しかし、この状態では…」探偵は足の踏み場もなく散らかっている部屋を見回した。
「どうしても思い出せなくて、つい…。でも、この部屋にあることは間違いないんです」
「まず落ち着いて、ゆっくり思い出しましょう。結婚指輪をどこに置いたのか」
<つぶやき>あなたは好きな人からどう思われてますか。優しい気持ちを忘れないでね。
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「魅惑の宴」

2011-06-27 20:12:57 | ブログ短編
「これ、美味しいね」ステーキをほおばりながら、由香里は嬉しそうに言った。
「そうでしょ」百合恵は得意気に、「この料理で三千円よ。しかも、食べ放題のバイキング」
「もう、あたし幸せすぎて」由香里の手は止まらなかった。次々と料理を口へ運んでいく。
 どこからか、かすかに声が聞こえてきた。でも、二人には聞こえない様子。
<もう、やめなって。昨日、あんなに後悔したのに。ダイエットするんじゃなかったの>
 どうやら、これは由香里の心の声。由香里は聞こえているのか、それとも無視しているのか。心の声はあまりにもか細く、彼女の食欲に打ち勝つことはできなかった。
<いつまで食べるつもりよ。もう元は充分とったんだから、いい加減にしなよ>
 由香里は取り分けてきた料理をすべて平らげてしまった。でも、まだ物足りないのか、目の前の百合恵にささやいた。
「ねえ、今度はデザートいかない? さっき、美味しそうなの見つけといたの」
「いいわねぇ。あたしの分もお願い」
<冗談じゃないわよ。これ以上食べたら取り返しのつかないことになるわよ>
 由香里は立ち上がり、デザートの方へゆっくりと歩き出した。
<ダメよ。ダメだってば。止まりなさい。そっち行っちゃダメ。ブタになるわよ!>
<つぶやき>食べることは楽しみのひとつ。でも、たまには心の声に耳を傾けましょう。
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「髪の長い彼女」

2011-06-24 16:31:10 | ブログ短編
 僕は髪の長い女性が好きだ。それも、黒髪のストレート。こう、髪をスーッとかき上げる仕草はたまらない。なぜ女性の好みがかたよってしまったのか。それは、姉の影響が大なのだ。姉は子供の頃から髪を短くしていて、よく男の子と間違われていた。性格も男勝りで、僕はいつも泣かされてばかり。大人になった今でも、頭が上がらない。だから、姉とは正反対の女性に惹かれてしまうのだろう。
 今の彼女は、やっぱり髪が長くて、優しくて、思いやりがあって…。彼女のそばにいるだけで、心が癒されてしまう。彼女を見ているだけで、幸せな気分になる。今夜も…。
「今日はありがとうね。これでやっとテレビが見られるわ。あたし、配線のことよく分からなくて。夕飯、食べていくでしょ。じゃ、ちょっと着替えてくるね。待ってて」
 彼女はそう言うと隣の部屋へ。僕は彼女の部屋に入るのは初めてだった。何だか落ち着かない。彼女が出て来るまで、僕は何もできずにじっと座っていた。
 扉の開く音で僕は振り向いた。そこにいた彼女は…。
「どうしたの?」彼女は唖然としている僕を見て、「どう、似合うでしょ。これが、あたし」
「えっ…、何で? か、髪が…」
「短いほうが楽なのよ。仕事に行くときはウイッグにしてるけど、こっちの方が気に入ってるの。さて、なに作ろっかなぁ。これでもあたし、料理は得意なのよ」
<つぶやき>あなたはどんな基準で恋人を選びますか。きっとひとつではないはずです。
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「まだ早い」

2011-06-21 20:08:15 | ブログ短編
「あかり、風呂入るぞ」泰造は愛娘(まなむすめ)と過ごすこの時間を、何よりも楽しみにしていた。
 いつものあかりだったら喜んで父親に駆け寄っていくのだが、今日はどうも様子が違う。泰造から隠れるように、母親の恵理の後ろにくっついた。
「どうした? パパ、先に入っちゃうぞ」
「いいもん」あかりは半分顔を覗かせて言った。「あかり、ともくんがいい」
「ともくん?」泰造は首を傾げて恵理に訊いた。「誰のことだよ、えっ?」
「ほら、この間、近所に引っ越してきた吉村さんとこの…」
「聞いてないよ、そんなこと」泰造はムッとして言った。
「そうだった? 何か、すっごく仲良しになっちゃって」理恵は楽しそうにあかりに声をかけた。「ねっ、あかり。ラブラブだよねぇ」
「うん、ラブラブだよねっ」
「冗談じゃないよ」泰造は顔色を変えてあかりに駆け寄り、「お前には、まだ早い。何が、ラブラブだよ。パパは絶対に…」
「あなた、なに言ってるのよ。あかり、怖がってるでしょ」
「お前も、お前だ。何で、そんな男と遊ばせるんだ。それでも、母親か」
「もう、いい加減にして。あかりはまだ幼稚園よ。今から、そんなこと言ってどうするの」
<つぶやき>父親にとって、娘は特別な存在なのかもしれません。でも、ほどほどにね。
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「好きの条件」

2011-06-15 11:00:45 | ブログ短編
「ねえ、最低の男でしょ。何であんなやつ、好きになったのかな」
 あすみは親友の芳恵のマンションに押しかけて、愚痴をこぼした。
「それって、普通のことだと思うけど」芳恵はまたかと思いながら、「そんなことで別れてたら、あんた絶対結婚できないよ」
「でもぉ、あんなだらしない人だとは思わなかったの」
「あすみは几帳面すぎるのよ。うちの旦那なんか、いつものことよ。もう少しさ…」
「あたしは、ほんの少しでいいから気を使って欲しいだけなの。そんな難しいことじゃないわ。使ったタオルは四角く掛けておくとか、脱いだ靴はきれいにそろえる。それと、服とかそこら辺に脱ぎ捨てない。あと、部屋の中を散らかさない、食べこぼしは…」
「はいはい、わかったから」芳恵はそう言うとハーブティーをあすみの前に置いて、「これ飲んで、少し落ち着こう」
 あすみは言われるままにハーブティーを口にする。芳恵はそれをしばらく眺めてから、
「そんなに嫌なら、別れちゃいなさい。それがいいわ。もっと他に良い人がいるかも…」
「えっ、なに言ってるのよ。あたしは別に…、そこまで…」
「経理の山田君なんてどう? 面白味はないけど、几帳面よ。あすみにぴったりかも」
<つぶやき>嫌なところばかり見ていると、良いところが見えなくなってしまうかも…。
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