みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「ナレーション」

2017-05-19 19:20:07 | ブログ短編
 彼女は悩(なや)んでいた。何時(いつ)からか、ナレーションの声が聞こえるようになってしまったのだ。ことあるごとに、彼女の頭の中に鳴(な)り響(ひび)く。今日もまた、友だちから初めて紹介(しょうかい)された男性を前にして、あの忌(いま)まわしい声が始まった。
<さあ、これは運命(うんめい)の出会(であ)いだ。このチャンスを逃(のが)したら、次はいつ来るか分からない。彼女は、この出会いをものにすることが出来るのか? さあ、どうする、どうする>
 彼女は頭の中で否定(ひてい)した。――これは、運命でも何でもないわ。だって、この人、あたしのタイプじゃないし…。もう、変なこと言わないでよ。
 ナレーションは彼女をからかうようにさらに続けた。
<だって、あたしのタイプじゃないしぃ。なんて余裕(よゆう)をかましてる場合なのか? 最初は誰だってそう言うんだよ。それが定番(ていばん)ってやつなんです。しかし、何度(なんど)か会ってるうちに変わって来ちゃうんだよねぇ。さあ、君の場合はどうなんだ?>
 彼女はイライラしながら――もう止めなさいよ。いい加減(かげん)なこと言わないで!
 彼女は、思わず声に出してしまったようだ。目の前にはさっきの男性が話しかけようとしていた。男性は戸惑(とまど)った顔をして彼女に言った。
「あっ、ごめんなさい。なんか、お邪魔(じゃま)でした、か…」
 彼女は慌(あわ)てて、「いえ、違うんです。あの…、別にあなたに言ったわけじゃ…」
<つぶやき>思っていることが、つい言葉として出てしまう。これは要注意であります。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 0033「公園友達」 | トップ | ホームページで新作を公開し... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。