みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0042「美味しいもの倶楽部」

2017-06-14 19:28:39 | ブログ短編
「ここのケーキ、美味(おい)しいねぇ」
 陽子(ようこ)はケーキをひとくち食べて幸(しあわ)せな気分(きぶん)になった。
 政夫(まさお)は陽子の笑顔を見るのが好きだった。だから、美味しいお店を見つけると、それを口実(こうじつ)に陽子を連れ出していた。彼女とは学生のときからの付き合いで、初めて会ったときから恋(こい)に落ちてしまった。陽子の方は、そんなことまったく気づいてはいなかったが…。
 陽子はケーキを食べ終わると、「ねえ、何か話があるって言ってたけど。なに?」
「それがね。あの…」政夫は今日こそ、告白(こくはく)しようと決心(けっしん)していたが…。
「私もね、田中(たなか)君に言わなきゃいけないことがあるんだ」陽子は改(あらた)まって切り出した。
「私ね、来月(らいげつ)からパリに行くの。向こうで、本格的(ほんかくてき)にパティシエの修業(しゅぎょう)をしようと思って。今のお店の店長ね、若いころパリで修業してて。知り合いのパティシエを紹介(しょうかい)してもらったの。その人のお店で働(はたら)けることになっちゃったんだ」
「えっ、そうなの…」政夫は、頭の中がまっ白になった。
「最低(さいてい)でも四、五年は頑張(がんば)ろうと思って。だから、美味しいもの倶楽部(くらぶ)はお休みさせて下さい。また日本に戻ってきたら復帰(ふっき)するから、お願い」陽子は手を合わせた。
「そうか…。陽子の夢だったもんな…。よかったじゃないか、頑張ってこいよ!」
「うん、ありがとうね。あっ、私が戻ってくるまでに、ちゃんと部員増(ふ)やしといてよね」
<つぶやき>彼女の夢を叶(かな)えるため、男はじっと我慢(がまん)するのです。つらいっす、ほんとに。
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