みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「もうひとりの自分5」

2011-06-09 20:44:56 | ブログ短編
 次の日のこと。もうひとりの自分の行動は素早かった。出社するなり、後輩の男性社員にメモをはさんだ書類を手渡して、「よろしくね」と言って微笑んだ。もちろん、これはさおりを意のままに操ったもうひとりの自分の仕業なのだが。
「ねえ、どういうつもりよ」さおりはトイレに駆け込み訴えた。「昨夜も言ったじゃない。吉田君はダメだって。幾つ歳が離れてると思ってるの。五つよ、五つ!」
「それが何よ。大した問題じゃないわ。あの子ね、入社したときからあなたのこと気にしてたのよ。あなたは気づかなかったかもしれないけど」
「あのね。それは、わたしが隣の席にいて、いろいろ仕事を教えてあげてたからで」
「もう、いつまでぐちぐち言ってるの。さあ、行くわよ。待たせちゃ悪いでしょ」
 もうひとりの自分は操り人形のようにさおりの体を動かした。さおりにはどうすることもできなかった。手鏡を取り出そうにも、手すら自由にできないのだ。
 会議室の前でさおりは吉田と鉢合わせした。吉田は身をこわばらせた。
「あの…」彼はしどろもどろになりながら、「今日は良い天気ですね。ははは…」
「そうね。ふふ…」さおりもどうすればいいか分からず相槌を打った。それを見かねたもうひとりの自分は、吉田の腕をつかむと会議室に押し込んでドアを閉めた。
<つぶやき>おいおい、ちょっとやり過ぎじゃないの。この話の結末はどうなるの?
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