みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

「もうひとりの自分4」

2011-06-06 20:25:19 | ブログ短編
 さおりは落ち着かない様子で摩天楼に入って行った。今までこんな華やかなドレスは着たことがなかったのだ。神谷はもう先に来ていて、手を挙げてさおりを呼んだ。
 二人だけの食事はとても楽しいものだった。神谷は女性の扱いがうまくて、話題も豊富で飽きさせることがなかった。きっと、何人もの女性と付き合ってきたのだろう。
 食事の後、さおりはバーでほろ酔い気分で神谷のおしゃべりを聞いていた。その時、
「あら、裕二さん」と妖艶な女性が話しかけてきた。「今日はどうしたの?」
「ああ、麗華さん」神谷はちょっと気まずい感じになった。
 麗華はさおりをちらっと見たが、「ねえ、向こうで一緒に飲みましょ。お話ししたいこともあるし。ねえ、いいでしょう?」麗華は甘えるように神谷にしなだれかかった。
「ごめん」神谷はさおりに、「得意先のお嬢さんなんだ。今日はこれで」
 神谷はさおりの返事も聞かずに立ち上がり、麗華と一緒に行ってしまった。
「あらら」もうひとりの自分が口をはさんだ。「残念だったわね」
「何よ」さおりは周りを気にして小声で言った。「いいのよ、どうせ…」
「もし悪女になる度胸があるんだったら、奪い返してあげてもいいのよ」
「わたしは、そんな…」さおりは目をそらし、うつむいてしまった。
「そうね。悪女ってタイプじゃないわよね。じゃ、あきらめなさい。どうせ、そんなに好きじゃなかったんだし。別の男にしようよ。そうだ、ちょうどいいのがいるじゃない」
<つぶやき>今度は何をしようとしているのか。気が気じゃないさおりであった。
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