集英社文庫
1982年2月 第1刷
1998年11月 第12刷
2008年7月 改訂新版 第1刷
解説・星新一
507頁
広瀬正さんは昔々「鏡の国のアリス」を読みました
なので本作は、ン十年を経て2冊目ということになります
1945年東京
空襲の最中、隣家の「先生」の様子を見に行った浜田少年は先生の今際の際「18年後の今日、この時間、この場所に来て欲しい」と頼まれる
そして18年後、浜田は約束の場所を訪れる
タイムトラベルものです
18年後、1963年、その場所には及川という老人が住んでいた
及川は浜田の不思議な頼みに不審を抱く様子もなく快く迎え入れてくれる
そして浜田の目の前に現れたのは、なんと18年前隣家に住んでいた先生の娘・啓子であり、彼女は昔のままの若さを保っていた
エンジニアの浜田は情報を整理した結果、啓子はあの空襲の夜からタイムマシンに乗ってきたに違いないと考える
面白かったです
浜田はエンジニアらしい探究心から1934年の「先生」に会いに行こうとタイムマシンに乗りこみますが、時間の設定を誤り1932年に降り立ってしまいます
さらにトラブルに巻き込まれ浜田を置いてけぼりにしてタイムマシンだけが1963年に戻ってしまいました
仕方なく、浜田はその時代で中河原伝蔵として生きることにします
タイムトラベルの色々も実に面白いのですが
突然現れた不思議な男を気持よく面倒みてくれる「カシラ一家」の人情、当時の銀座など東京の描写に広瀬さんの愛した「昭和」がよく伝わってきて、楽しめました
及川の妻・美子が、失っていたある時期の記憶を思い出すことで、浜田、啓子、及川、美子の相関関係がはっきりし全ての話が収束します
タイムパラドックスの問題で、これってマズくないのかしら、と思うところもありましたが、全体にうまく話を循環させています
ラストの2文が印象的でした
新しい未来が開かれようとしている
そして、新しい過去が開かれようとしていた










