創元推理文庫
1998年文藝春秋より刊行された作品を再編集した上、文庫化
2013年11月 初版
解説・日下三蔵
352頁
1991年から1998年にかけて発表された幻想小説18編を収録
印象に残ったのは
表題作「結ぶ」
まるで江戸川乱歩の世界
身体のあちこちを縫われ最終的には球にさせられてしまう、という懲罰
「水色の煙」
寓話と折り紙を介した叔母と甥の戯れ
「薔薇密室」
老いたバレリーナが、発表会を手伝ってくれた若い男性に寄せる一方的な想い
「心臓売り」
古い心臓を買い取り、それから様々な情景を読みとる少女の独白
「メキシコのメロンパン」
小さな画廊でお茶を楽しむ生者と死者の奇妙な交流
じんわりとやってくる恐怖だったり、優しさだったり、郷愁だったり
皆川さんの、少しずつ味わいの違う幻想世界を堪能できる短篇集でした