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ジュンパ・ラヒリ「その名にちなんで」

2016年10月16日 | 海外の作家

 

原題 THE NAMESAKE
訳・小川高義
新潮文庫
2007年11月 発行
461頁

 

 

主人公の名はゴーゴリ・ガングリー
カルカッタ出身の両親がアメリカで結婚して生まれた移民2世です
姓はインド系としてはおかしくなのですが、名のゴーゴリはロシアの作家ニコライ・ゴーゴリの姓と同じでかなり珍しいことです
こんな名前が出来上がったのは両親が正式名とニックネームのような名の2つを持たせるベンガル式の命名法にこだわった結果でもあり、父親が若い頃「ゴーゴリ」に命を救われた経験を忘れられないからでした

 

結婚前のゴーゴリーの両親を描くことから物語は始まります
アメリカでの生活
ゴーゴリの誕生
“ABCD”American-born confused deshi アメリカ生まれで混乱したインド系の人間
その言葉は、まるで自分のことだと思いながら成長するゴーゴリ
両親のようにはインドへの親しみを感じず、さりとて昔からアメリカにいるアメリカ人のようにもなれない
インドとアメリカとどちらを向いて生きるか、わからないままに付き合うが故、恋愛も上手くいきません
父の急死後、母が未亡人として家を離れようとする日、進学で家を出るまで過ごした自分の部屋で昔父から誕生日のお祝いに贈られたニコライ・ゴーゴリ『外套』を初めて読むのでした
切ないラストですが、ゴーゴリの様子を想像するに、多分とても穏やかなのではないでしょうか

 

長いですが下記引用します
ほぼ本書の総括となっていますので未読の方はスルーしてくださいませ

この家族の歴史は偶然がつながってできているように思える節も多々ある
予測がつかず、意図したものではなく、一つの偶発事が次の偶発事を生んでいる
そもそもの始まりは父の列車事故だった
しばらくは父を麻痺させた事故が、逆に父を動かす精神力になって、地球の反対側で新しい生活を求めさせた
すると曾祖母の選んだ名前が、カルカッタからケンブリッジに郵送される途中で消えた
だからゴーゴリという名前がついて、長年、彼という人間を決定し、苦しめた
そういう成り行きまかせのいいかげんさを、彼が正そうとしたことになる
だが、まったく違う自分を作り上げ、不似合いな名前と絶縁しようとしても、それは不可能なことだった
彼の結婚もまた同じような過誤だったといえる
そして父があのように急にいなくなったことを思えば、その死こそが最悪の偶発事だったに違いない
ずっと何年も前の死にかけた事故の夜が、あの急死の前段だったようでもある
突然すっと消える日を迎えることしかできなかったのかもしれない
何はともあれ、そういうことが重なって、ゴーゴリという人間が出来あがり、どんな人間かを決められた
予習しておけるものではない
あとになって振り返り、一生かかって見つめ直し、何だったのかわかろうとするしかない
これでよかったのかと思うこと、まるで話にならないようなことが、しぶとく生き残って最終結末になってしまう

 

 

 

ひとつの家族の歴史が味わい深い言葉で綴られています
訳者の小川さんの力量・大ですね

訳者あとがきより
『ラヒリを訳すのは手間がかかる。その文章が動かない。ああだこうだと押してみて、どうにか日本語までお越し願う。』

ありがとうございます

 

映画化されています
観たい!

 

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